Odyssey

(おでっせい)
初演日:0/0 作者:山上物語産業
.Odyssey はりとら
Odyssey

    はりとら
    
    
    山上祐輝
    
.登場人物
登場人物

〇マーリン(28)/バーにいつもいる青年。実はバーの出資者。アシェット社の令嬢エリンと恋人関係で、自身もアシェット社の常務として日々活躍し、まだ若いながら、既に社長の信頼も厚い。3年前にエリンを事故で失って生き甲斐を失い、重要なことはコインで決めるようになる。社長は次期社長として、また娘の元婚約者として、マーリンに声をかけているが、自分なんかがしてはいけないと断り続けている。ルイーダのことも気になっているが、エリンのことがずっと心に残っていて、次の恋愛には踏み出せないでいる。また、エリンのお墓参りにも、初めに行った後、3年間行けていない。エリンを思い出すのを避けている。自分の悲しみや怒りを収めるために、格闘技を3年前から時間をかけて学んでる。

〇ルイーダ(24)/バー”ノーザンクロス”の運営を任されているバーテンダー。エリンの高校時代からの親友で、マーリンとも面識があった。エリンが亡くなって生き甲斐を無くしたマーリンが心配で、ずっとそばで支え続けていた。そしてマーリンに自分の夢を語ったところ、コイン勝負を挑まれ、ルイーダはそれに勝ってバーオープンの資金を出資してもらった。マーリンに想いを持っているが、エリンを失った彼の悲しみを理解しているので、じっとその時を待っている。日夜ノンアルコールカクテルに挑戦していて、よく変な味の飲み物をマーリンに飲ませている。ノンアルコールなのは、エリンが酔っぱらいの運転による事故にあった為。

〇アンジェ(17)/バー”ノーザンクロス”に転がり込んできた少女。本名、”アンジェリカ=アシェット”アシェット家の次女で、エリン=アシェットの妹に当たる。姉妹の仲が良く、しつけの厳しいアシェット家でも、姉が支えだったが、3年前に事故で姉がいなくなってからは、ただ一人のアシェット家令嬢として寂しい毎日を過ごしている。
ニューヨークにあるエリンのお墓に行きたい衝動にかられて、何も持たずに家を飛び出すが、お腹が減ってパンを盗んでしまい、警察に追われることに。実は歌が得意で、もっと歌いたいと思っている。当然だがエリンに似ている。やや大人しい性格で、真面目。マーリンとは実家が離れているので、会ったことがない。

〇ディーディ(30)/バーの常連客の女。恋多き性格。青年にもいつもアタックしているが振られ続けている。実はブロードウェイで活躍する舞台女優で、顔があまり知られていないここで時間を過ごしている。アンジェの歌に才能を見出す。基本的には陽気。最近は舞台の担当プロデューサーとの恋が奥さんにばれそうになり、舞台をしばらく休んで距離を取っている。

〇ポリス1(25)/パン泥棒の少女を探している警官。その後、少女がアシェット家から探されていることを知り、少女を連れ去ろうとする。ただ、悪評もかなり多く、地元の人からも煙たがられている。ピザが大好き。アンジェを見つけた時に出る報奨金で沢山ピザが食べたいと考えている。

〇ポリス2(23)/ポリス1の元で一緒に仕事をしている部下。まだ現場に入って間もなく、警察1のことを上司として従っている。手錠や縄を使うのがとても下手。ピザがとても好き。よくポリス1と一緒にピザを食べながらパトロールしている。

○エリン(24)/亡くなっている。マーリンの婚約者。エリンの姉。ルイーダの親友。アシェット家の長女。実家のロサンゼルスから、ニューヨークの大学に留学していた。4年前、20歳。大学2年の時、街角で偶然マーリンと出会い、恋に落ちる。しかしその1年後、酔っぱらい運転の事故に遭い、命を落とす。お墓はニューヨークにある。マーリンは、葬儀の時にこそっと一度顔を出してからは、ニューヨークのお墓には参れていない。ルイーダが半年に一度位、マーリンの代わりにお墓参りに来ている。

○アシェット家  ロサンゼルスを中心に、家電業で業績を伸ばしている大企業。家具や家電におしゃべりするAIを導入することで、爆発的なヒットを取った(マーリンの発案)。本社はロサンゼルスにある。家出したアンジェについて、報奨金付きの捜索願を出し、広報している。社長で2女の父でもあるルイス=アシェットは、仕事がとてもできるマーリンを高く買っていて、また娘の婚約者だったマーリンを息子のように考えている。
.1:追われる少女
1:追われる少女

アメリカのとある街角。
日も暮れたころ。
バーの前の道路にパトカーのサイレンが響き渡る。
アップテンポなジャズの音楽。
サイレンを潜り抜けて、一人の少女が走りこんでくる。
しかし、どの方向にもポリスの影が。
少女、丁度後にバーの看板とドアを見つける。
少女は少し考えるが、ポリスの近づく気配を察し、意を決してドアの中に飛び込み、中から鍵を閉める。

一息ついて周りを見回すと、バーの奥のカウンターに、バーテンダーを見つける。バーテンダーは黙々とグラスを拭いている。カウンターには、一人の青年がグラスを傾けている。少女、

ルイーダ「お店、一応オープンしてるんで、鍵は開けといてもらえたら。」
アンジェ「・・・。(何か言いたそうにするが、辞める)」
マーリン「エリン?いや、彼女は・・・」
アンジェ「?(聞いたことがある名前に少し戸惑う)」
ルイーダ「そっくりさん、ですかね?」

その時、外でポリス1とポリス2がやってくる。

ポリス1「おい、確かにここに追い込んだんだろうな。」
ポリス2「はい。間違いありません。」
ポリス1「だったら、どこかに隠れてるって訳か。どこだ。」

少女、ドアの向こうでポリスの声を聞いて慌てる。

アンジェ「・・・!(慌ててカウンターへ走る)」
ルイーダ「ちょ、ちょっと。」

言い終わるか終わらないか、少女はカウンターの影に隠れる。
ポリス、ドアを叩く。ルイーダ、開ける。
そして入れ替わりに、ポリス1、ポリス2がドアを開けて入ってくる。

ポリス1「おい、ちょっと聞きたいことがあるんだが。」
ルイーダ「お客さんですか?」
ポリス1「いや、人を探している。若い女がこっちこなかったか?」
ルイーダ「・・・警察の方は皆失礼ですね。」
ポリス2「おい、どうなんだ?」
ルイーダ「(青年に)どうします?」
マーリン「いつもと同じ。」

マーリン、コインをはじいて受け止める。
マーリン、表カウラかを確認する。

ポリス1「ここを調べてもいいんだぞ。」
マーリン「一体そいつは何をやったんだ?」
ポリス2「ただのこそ泥だ。パン屋のパンを盗んで逃げた。」
マーリン「そうか。いくらだ?」
ポリス1「なんだ、お前が代わりに払ってくれるのか?引っ込んでろ!おい、捜せ!」

マーリン、ポリスの前に立つ。

ポリス1「俺とやろうってのか?痛い目みるぜ!」

ポリス1、2、マーリンに殴りかかるが、マーリンに軽くねじ伏せられる。

マーリン「・・・(コインを一枚、ポリスに投げる)それで足りるか?」
ポリス1「こ、これは。」
ポリス2「十分すぎますね、これは。」
ポリス1「ま、まあこれなら。確かに。」
マーリン「女はここに来ていない。パン代にお小遣いまで手に入った。これで十分だろ。」
ポリス1「そ、そうだな。おい、いくぞ。」
ポリス2「いいんですか?あの女は見つけないと、確かアシェットの・・・」
ポリス1「ここにはいないって言ってるんだからいいだろ。後でピザでも食おうぜ。」

ポリス1、2、話ながら去っていく。
マーリン、ルイーダ、ポリスを見送る。
音楽、落ち着く。

マーリン「出ておいで、パン泥棒さん。」

少女、不思議そうな顔をしながら出てくる。


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