コント「恋文屋」

(こいぶみや)
初演日:2015/4 作者:岡田昌悟
なつ、机の前に座り、ペンを走らせている。しかし、気に入らず便箋をやぶり、くしゃくしゃに丸めて放り投げる。辺りは丸まった紙屑の山。溜息をひとつ。そこに、突然スーツ姿の女が出現

女  「お困りのようですね」
なつ 「(驚きの声)ど、どなたですか?」
女  「私、こういうものでございます」
なつ 「えっ、なに?どっから入ってきたんですか?」

    女、名刺を差し出す

女  「そんなことはどうでもいいですから」
なつ 「どうでもよくない!警察…警察!警察!」
女  「いいから、とりあえず名刺をね、名刺受け取って」
なつ 「やだ…なんかヌルヌルしてる…」
女  「わざとでしょ」
なつ 「なんですか?わざとって、なんでわざと名刺をヌルヌルにする必要があるんですか?」
女  「好きかと思って」
なつ 「いいえ全く!サラサラの下さい!サラサラの!」
女  「はい、サラサラの」
なつ 「もう、手にさっきのヌルヌルが付いてて、結局ヌルヌル!」
女  「もう、ヌルヌルは良いから!私、こういう者でござんす。怪しい物ではござりません」
なつ 「恋文屋…なんです?恋文屋って…」
女  「ですから、その名の通りです」
なつ 「警察!警察!」
女  「あなた、今書いてたんでしょ!恋文!」
なつ 「えっ…」
女  「でも、なかなか上手く書けなくて困ってた。恋文」
なつ 「私が書いてるのは恋文じゃなくてラブレターです」
女  「いや、まぁ、だから同じよ」
なつ 「恋文ってあまりにも古臭いし」
女  「日本人なら日本語使いなさいよ」
なつ 「私は、恋を文にしてるんじゃなくて、ラブをレターにしてるんです!」
女  「意外に偏屈な人なのね、あんた。とにかく!私はあなたのお手伝いをしに来たんです。困ってるんじゃありませんか?愛する人への気持ちがなかなか文字にできなくて」
なつ 「たしかに、そうですけど…」
女  「私がお手伝いします。恋文屋の高瀬川です」
なつ 「でも、私、お願いしてませんよ、高瀬川さん」
女  「別にお願いなんかされていませんよ」
なつ 「清々しいほど無意味な開き直りだ」
女  「私が勝手に押しかけたんですよ。しかも土足で」
なつ 「本当だ!礼儀知らないんですか?」
女  「あなたこそ、礼儀知らないの?!お茶くらい出しなさいよ!」
なつ 「なんなんですか…本当に」
女  「この辺に、愛にこんがらかってる人がいるなぁと私のセンサーが反応したんです」
なつ 「センサー?」
女  「そうです、手前どもの恋文センサー」
なつ 「恋文センサー……」
女  「私が来たからにはもう安心。書けるわ。最高の恋文」
なつ 「なんだろ。なぜだか書いてくれそうな気がする。ダメよ、なつ、この人の無駄な自信に負けちゃ」
女  「そうでしょ。段々分かってきたみいね。私には実績があります。今までに何万人という人々の恋文作りをサポートしてきましたから。私にお任せを。絶対にその恋、成就します」
なつ 「はぁ…」
女  「じゃあ、早速行きましょう」

    女、くしゃくしゃに丸まった紙の一枚を広げる

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。


ホーム