木刀侍 -BOKUTO ZAMULAI- 短編vr.

(ぼくとうざむらい)
初演日:0/0 作者:池神和貴
   木刀侍 ‐BOKUTO ZAMULAI‐

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キャスト
 ○宮野 畋三郎(ミヤノ デンザブロウ)
 ○宮野 倖(ミヤノ ユキ)
 ○宮野 幸(ミヤノ サチ)
 ○俣吉(マタキチ)
 ○秣爲(マツナリ)
 ○鈴(スズ)
 ○手下壱
 ○手下弐
 ○ナレーション
 ○アンサンブル 5人〜6人

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 ○第壱幕〆プロローグ

   夜。鈴虫の鳴き声や草がさわめく音がする中、電光月下一同登場。

秣爲「くっそ!ここんとこ何も面白ぇことがねぇ!そこらへんにフラッと、面白ぇ侍でもいねぇのか!」

手下壱「落ち着いてください!秣爲様!騒いでもなにも変わりませんよ!」

秣爲「黙れ!この名無しのごんべぃ!」

手下壱「あっ!名無しって言った!何回も言いますが私名無しじゃないですから!(いろんなことを言い続ける)」

手下弐「落ち着け!落ち着けって!」

鈴「秣爲。」

秣爲「あ?どうした鈴。」

鈴「この先の江戸に、それは腕の立つ侍が住んでいることをご存じ?」

秣爲「腕の立つ侍?」

鈴「見事な刀さばき、それは幕府すらも認めるほどよ。しかも、刀を持たずして、木刀1本で戦うとかなんとか。」

秣爲「変わった野郎だ。会ってみてぇな。」

鈴「木刀1本で、すべてを切り裂き斬り開く。その男の名は・・・木刀侍。」

秣爲「木刀侍・・・。」

   鈴と秣爲の視線の先には、木刀を持った1人の侍のシルエットが浮かんでいる。2人ともその影を、じっと見つめていた。

 ○第弐幕〆木刀を持つ侍

ナレ「西暦1720年。江戸中期。江戸の町にただ一人、刀を持たずして木刀1本で戦う侍がいた。人は皆、彼をこう呼んだ。木刀の名士、その名も!」

畋三郎「木刀侍じゃ!」

   場所は江戸の町の広場。俣吉が見守る中、
   畋三郎は街の人に刀の稽古をしている。

ナレ「宮野畋三郎、またの名を木刀侍。妻と子を持つごく普通の民。彼の動き、刀さばきは幕府すらも認めるほどの腕前。だがしかし、彼は決して刀を持とうとしない。それには畋三郎なりの、とある理由があった。」

畋三郎「止め!お前らまだまだ修行が足りん!侍になろうなんぞ100年早い。次の稽古までに、もっとマシな動きを身に付けろ!」

アン「はい!ありがとうございました。」

   街人は広場を去る。

俣吉「相変わらずの腕前だな、畋三郎。」

畋三郎「いや、俺もまだまだだ。」

俣吉「その木刀も使ってだいぶ経つし、そろそろ新しい木刀に変えてみたらどうだ?それとも、これを機に、刀を握るか?」

畋三郎「バーカ。俺は木刀だけで十分だ!」

俣吉「そうか。」

畋三郎「あ、そうだ。木刀で思い出したんだが、お前に頼みてぇことがあるんだ。」

俣吉「頼み?」

   畋三郎が話だそうとすると、そこに倖が登用する。

倖「畋三郎〜!お弁当持ってきたよ〜!」

畋三郎「おう、倖!」

   倖はバスケットを抱えて小走りで広場へ向かってくる。
   すると足元の石につまずいて転びそうになる。

倖「あっ!」

畋三郎「危ない!」

   畋三郎、倖を支える。

畋三郎「大丈夫か?」

倖「ええ。」

   畋三郎、支えたまま離そうとしない。

倖「・・・どうしたの?」

   畋三郎、倖の体を調べるかのように手で体を撫でる。

畋三郎「ん〜・・・これは上から(適当なスリーサイズ)だな。」

倖「え?」

   倖、畋三郎を突き放す。

俣吉「全く、お前は女性に対する言葉の気配りとかはないのか!」

畋三郎「ない!」

倖「馬鹿!相変わらずのド変態ね、あなたって人は。」

畋三郎「別にいいじゃねえぇかよ、減るもんじゃないんだしよ〜。」

俣吉「まぁそうかもしれないけどな?」

畋三郎「なぁ、俣吉ならわかるだろ?男の浪漫とか・・・楽しみたい時もたまにはあるじゃねぇかよ。」

倖「あのね!・・・今更否定はしないけど、あんた毎回しつこいのよ!」

畋三郎「はい、すいませんでした。」

倖「全く・・・。」

畋三郎「悪い俣吉。さっき言いかけたこと、今晩にでも話す。適当なときにまたここで待っててくれ。」

俣吉「あいよ。お幸せにな、2人とも。」

   俣吉、その場から去る。

倖「何か話してたの?」

畋三郎「ああ、ちょっとな。お前が気にすることじゃねぇよ。」

倖「そう・・・。」

幸「お母ちゃん!」

   2人の娘、幸が登場。

倖「あら幸、家でお留守番しててねって言ったじゃない。」

畋三郎「こんだけ天気がいいんだ。ちょっとくらい外で遊ばせてやれ。幸、弁当一緒に食うか?」

幸「・・・。」

畋三郎「どうした?幸。」

幸「何でお父ちゃんは刀を持たんの?」

畋三郎「・・・え?」

幸「お父ちゃんはいっつも刀を持たん。お母ちゃんが出しても、すぐしまう。何でそんなに刀が嫌いなん?」

畋三郎「幸、あのな・・・」

幸「そんなんで、侍っていうのはおかしい。」

畋三郎「・・・。」

幸「お母ちゃん。うち先帰っとる。」

倖「あ・・・うん。気をつけるのよ?」

   幸、その場から去る。

畋三郎「あいつも・・・物を大分はっきり言うようになってきたな・・・。」

倖「そりゃ、あの子もいろいろ学び始める頃だもの・・・ねぇ畋三郎?」

畋三郎「ん?」

倖「私も気になってたんだけど、なんでそこまで木刀にこだわるの?」

   畋三郎、重い表情をしながら木刀を手に取る。

畋三郎「俺は・・・ちっさい頃から刀が大っ嫌いだ・・・。」

倖「それだけ?」

畋三郎「今言う事でもないだろ。それに、幸に話したって、きっと難しすぎて分かりゃしないさ。」

倖「だからって・・・」

畋三郎「街散歩して、適当に帰る。お前も暗くなる前には帰れよ。」


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