清く正しく美しいもの(戯曲)

(きよくただしくうつくしいもの)
初演日:0/0 作者:さわ
清く正しく美しいもの (01)


〈人物〉男8 女7

前田 直哉 私立第一国際高校 三年生
朝日 昇 直哉の担任
斉藤 良太 直哉の同級生
与野 貴史 直哉の同級生
西田 日奈子 直哉の同級生
根岸 さや 直哉の同級生
三島 桜 直哉の同級生
近藤 美代  F組担任
前田 哲夫 直哉の父
前田 祥子 直哉の母
後藤 幸彦 貴史のバイト仲間
生徒1
女生徒1
女生徒2
教員

〈演出メモ〉201712

・無言の暗転はほぼ行いません。暗転と同時にスポットを使用したり、花道や通路を利用したりすることを想定しています。
・全体の4分の3くらいの台詞は、少し早めをイメージして書いています。例えば、一番最初の朝日のモノローグは、一二秒のつもりで書いています。
・卒業歌は好きに作ってください。(一応曲は作ったんですが、提供方法を検討中です)
・人数多めにしていますが、役をまとめたり、削除したり、一人二役にしたりで、キャストは5人くらい減らせます。


一幕
 
 暗い舞台上には複数の机、椅子、ホワイトボードなど。
 生徒役の役者はもう座っている。
 歩いてくる朝日にスポット。

〇道

朝日   新学期だ。新しい春、新しい教室。そして僕にとっては、新しい学校!特別な、学  校。どんなクラスだろう、どんな生徒だろう……最高だな。
 
 歩いてくる直哉にスポット。

直哉   新学期だ。新しい春、新しい教室。新しいクラスメイト。いや、去年と同じ顔触れ  なのはわかってる。私立第一国際高校3年G組。公立に行けなかったやつが、私立  の中で一番学費が安いって理由でここに行く、バカ高校だ。国際高校って名前だけ  ど、もちろん英語を喋れるやつなんて一人もいない。で、俺たちはその最下層のG  組。グズで、ゴミみたいな、貧乏人のクラス。俺たちには価値がない。俺たちは、  価値が欲しい、自信が欲しい。金が欲しい。

 かがんで何かを拾う直哉、舌打ち。

直哉   十円かよ。

 チャイムの音。明るくなる。教室に入る直哉。

〇教室
 生徒達が思い思いに過ごしている。一番後ろの席に座って漫画を読む直哉。
 朝日が入ってくるが、誰も騒ぐのをやめようとしない。
 教壇に立つ朝日、ニヤニヤしながら名簿を開いて、座席を確認している。
 直哉、顔を上げると、朝日と目が合う。

直哉   なんすか。
朝日   いや? 目が合ったから。
直哉   は?
朝日   えーっと、(名簿を見て)前田直哉くん。
直哉   そうですけど。
朝日   よろしくね。
直哉   は? 俺だけ? 俺だけよろしくですか?
朝日   まさか。

   朝日、黒板に「朝日 昇」と大きく書く。

朝日 (笑顔で大声を張り上げる)おはようございまーす!

   驚いて朝日を見る生徒達。

朝日 今日から、G組の担任になりました、と、言うか、今日からこの高校に赴任してきました、朝日昇です。漢字は、朝日が昇る、そのままです。卒業までの1年間せいいっぱいやらせていただきます。好きな言葉は、「清く、正しく、美しく」。よろしくね。

    馬鹿にしたように笑う生徒達。 

朝日  笑ってくれて、良かったー。(へらへらと笑う)

    すぐに朝日を無視して、騒ぎ出す生徒達。

朝日   じゃあ……出席取りまーす。えっと、斉藤良太くん。
良太   はーい。
朝日   西田日奈子さん。
日奈子   はい。
朝日   根岸さやさん。
さや   はい。
朝日   前田直哉くん。
直哉   さっきも呼ばれたけど。
朝日 まあ一応ね。えっと、三島桜さん。
桜    もうだるいんで、帰っていいですか
朝日   えー、まだ始まったばっかりじゃない。
桜    だるい、寝る。
朝日   与野貴史くん、は、いないんだ。
さや   はあ? 与野って3年になれたの、去年全然来てないじゃん。
朝日    あ、そうなの?
桜    じゃ、うちらも来なくてよくない? 

   ザワザワと騒ぎ出す生徒達。

朝日 まぁまあ。えーっと、じゃあさっそくですが、まず委員決めを。委員長やりたい      人! あ、じゃあ、やってくれる人。
さや   ほら、日奈子、呼ばれてるよ?
日奈子   えっ。
さや   ほーら。
日奈子   でも、去年もやったし。
さや   せんせーい、去年日奈子だったんで、また日奈子がいいと思いまーす。ね。
桜    さんせーい。
朝日   あ、そうなんだ? 西田さんは、やりたい?
日奈子   あ……。
朝日   やりたくない?
さや   あ、じゃあじゃあ、多数決にしましょうよ。日奈子が良い人、はーい。
桜    はーい。
直哉  はんたーい。
さや (直哉に)何、急に。
直哉   また西田の「みんな聞いてよー」っての1年聞かされるわけ?
日奈子   ごめん。
桜    じゃあ前田がやれば?
直哉   やるわけねーだろ。
朝日   うーん、困ったな。じゃあ、こうしよう。

 朝日、財布から一万円を出して掲げる。

朝日   一万円で、やる人。

 朝日を見る生徒達。

朝日   早いもの順ね。
良太   うはいっ!
朝日   本当? やってくれる?
良太   え、本当にくれるの?
朝日   うん、委員長だからね。
さや   はあ? 嘘でしょ?
朝日   なんで? 本当だよ。

   良太に1万円を渡す朝日。

良太   え? いいの? え、本当に?
朝日   よろしくね、委員長。清く正しく美しく、頑張って行こう!

   きょきょろ周囲を見渡す良太、震える手で受け取る。
暗転。前田の席にだけスポット。

直哉   1年の時の担任は、3回変わった。2年の時は、1回変わって、そいつも途中で来なくなって、結局、隣のF組の担任が出席だけ取りに来るようになった。今度もそうだと思っていた。それで良かったのに。何が、清く正しく美しくだよ。

○職員室

   明るくなる。
   朝日と美代が向かい合う席で書類作業をしながら話している。

美代   アドバイスって言っても、朝の出席取ってたくらいですからねぇ。
朝日   いや、理科の授業もあるじゃないですか。近藤先生の授業だけは寝ないでおとなし  く受けてるって聞きましたけど。
美代   そんなこともないですよ。大丈夫ですよ、ゆっくり、ご自分のペースでやられたら  いいと思いますよ。
朝日   はぁ。
 
良太が入って来る。

良太    失礼しまーす。
朝日    あー来た、斉藤君。いや、斉藤委員長!
良太   はい、委員長です!
美代  (席を立ち)では、私部活があるので。
朝日  はい。あ、何部なんですか?
美代   ……空手部です。
良太   美代ちゃん先生黒帯だもんね、めっちゃ強えの。逆らうとボッコボコに
美代 (低く)余計なこと言わない。
良太  はいっ!

 美代が出ていく。納得したように頷いている朝日。

朝日   まぁ、座って座って。(と椅子を出す)
良太    はい!
朝日    いい返事だなぁ、さすが委員長。
良太    よく言われます!(椅子に座る)
朝日    うん。あのね、委員長。実はね。
良太   はい。
朝日    残念ながら委員長はね、このままだと留年なんだ。
良太    はい! えっ!?
朝日    うん、留年。このままだともう1回3年生。
良太    え、先生、まだ4月だけど!
朝日    君、2年の時の試験、最高何点。
良太    5点。
   間
良太    え、でも前の先生何も言わなかった。
朝日    きっと色々諦めてたんだろうね。
良太   そんな、じゃあどうしたらいいんですか。
朝日    そうだな、最低でも来月の試験で平均点に届けばいい
良太    平均点って。
朝日    去年は、23点だな。
良太    ……絶対無理だぁ! 
朝日  まぁまぁ、先生が協力するからさ。
良太  本当ですか!
朝日  その代わりって言ったらあれなんだけど、与野くんのバイト先、教えてくれない    かな。彼も留年危ういんだ。
良太  いや、与野君は来ないですよ? 音楽で生きてくらしいんで。
朝日  そうなんだ。まぁでも、話くらいはさ。
良太  いや! いやーでも教えるの無理です! 与野くんに殺されちゃう!
朝日  大丈夫。
良太  なんでですか。
朝日  先生は、東大出だから。
良太  とうだい……あ、まぶし!

   目がくらんで椅子から落ちる良太、後ずさる。
   朝日が去る。

○道
  直哉が現れ、後ずさりしている良太にぶつかる。

直哉    は? だからなんなんだよ。
良太   だって東大だよ!
直哉    それと貴史と何の関係があるんだよ。
良太    ……あ、そっか!

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。


ホーム