バイ・バイ・バースデイ

(ばい・ばい・ばーすでい)
初演日:0/0 作者:新堀 浩司




バイ・バイ・バースデイ




                   作・新堀浩司




登場人物


東尾勇次(トンビ)高校二年生
佐倉聖 (サク)高校二年生
星野心平(ペー)高校二年生
森永澄子(チョコ)高校二年生
天野貴美子(キミー)高校二年生


時・3月末
場所・とある古い倉庫


        音楽。明転。舞台はとある町にある古い小屋。かつては倉庫として使われてい  
        たが今はがらんとしている。東尾勇次(通称トンビ)が舞台中央にいる。ボー
        ドのようなものになにやら書いている様子。傍らには缶ジュース。なぜか鼻メ        
        ガネをかけている。

トンビ  「よし、ま、こんなもんか」

        トンビ、ペンを置く。傍らの缶ジュースを持ち、飲む。     

サク   (声のみ)「トンビ!」
トンビ  「ああん?」
サク   (声のみ)「運ぶの手伝ってよ、私一人にやらせる気?」
トンビ  「ああ、今行く今行く」

        といいつつジュースを飲んでいるトンビ。やがて佐倉聖(通称サク)、登場。

サク   「おいしそうね」
トンビ  「はい」(缶を手渡す)
サク   「飲みたいわけじゃないから」
トンビ  「ま、いいから」
サク   「…空じゃん」
トンビ  「捨てといて」

        サク、空き缶でトンビの頭を叩く。

トンビ  「いて」
サク   「自分のゴミは自分で捨てる。遊んでないで手伝って」
トンビ  「遊んでねえよ。まじめに準備してんだよ」
サク   「まじめ?」
トンビ  「まじめ」
サク   「じゃあその愉快なメガネはなに?」
トンビ  「あ、これ?これは本番までのお楽しみってやつだな」(鼻眼鏡をはずす)
サク   「とにかく、テーブルと椅子、運ぶよ。もたもたしてると主役がきちゃうよ」
トンビ  「へいへい」

        トンビ、サク、テーブルと椅子を運ぶ。

サク   「チョコとキミーは?」
トンビ  「ああ、あの二人には買出し頼んでるから。ま、そろそろ来るだろ」
サク   「そう。椅子が合計5つ必要ね。さっさと運ぼう」
トンビ  「おう」

        トンビ、サク、椅子を運ぶ。

サク   「それにしても…まだあったんだね。この倉庫」
トンビ  「懐かしいだろ。俺たちの秘密基地だ。ガキの頃はさ、みんなで毎日のようにここに集まって遊んでたよな。」
サク   「でも大丈夫なの?勝手に使っちゃって。子供の頃は大目にみてもらえたかもしれないけどさ」
トンビ  「ああそれなら平気だよ。親父に許可とったし」
サク   「そうなの?」
トンビ  「ま、どうせ使ってない倉庫だし、それに…」
サク   「それに?」
トンビ  「ああ…もうすぐ取り壊す予定なんだ」
サク   「そうなんだ…そう聞くとなんか…寂しいね」
トンビ  「まあしょうがねえよ、ぼろいしさ」
サク   「ところでさ、何で急に誕生パーティなわけ?」
トンビ  「ガキの頃からの長い付き合いの友達の誕生日を祝ってやろうとするのは普通のことだろ?」
サク   「去年も一昨年も何もしなかったじゃない」
トンビ  「まあそうだけど」
サク   「それに、まあ別にいいんだけど、私の誕生日が2ヶ月くらい前にあったんですけど、スルーしたよね?」
トンビ  「え?あ、そうだっけ」
サク   「まあ別にいいんだけど」
トンビ  「いや、違うんだよ。今回誕生パーティをやろうと思った理由はさ、ペーの奴を励ましてやりたいからなんだ」
サク   「励ます?」
トンビ  「お前も知ってるだろ?今年のペーがいかについてなかったか。」
サク   「まあね…」
トンビ  「新学期早々バイクにはねられ骨折、入院。」
サク   「痛々しかったね」
トンビ  「退院してすぐオレオレ詐欺にひっかかり貯金を失う」
サク   「不注意だったね」
トンビ  「梅雨の時期には雨の中道を歩いてすべってこけて骨折。再び入院。」
サク   「カルシウムが足りないと思う」
トンビ  「夏休み、海で溺れる」
サク   「同時にクラゲに刺される」
トンビ  「秋、同じクラス女の子に告白してふられる」
サク   「かなり落ち込んでたね」
トンビ  「一ヵ月後、その女の子がよりにもよってペーの隣の席の男と付き合いだしてペーの目の前でいちゃいちゃしだす」
サク   「ダブルパンチ」
トンビ  「冬休み。雪で転んで3度目の骨折」
サク   「もはや風物詩」
トンビ  「初詣で財布をすられる」
サク   「神も仏もいないのか」
トンビ  「バレンタインでもらえたチョコレートはお母さんからの手作りチョコのみ」
サク   「ほろ苦いね」
トンビ  「しかもそのチョコを食べて食あたりをおこす」
サク   「お母さんにはもうちょっと気をつけて欲しかった」
トンビ  「以上が、今年度ペーに起こった主なエピソードだ。どう思う」
サク   「可哀想すぎる!」
トンビ  「だろう?1年間悪いことしか起こってないんだぜ?あんまりだろ?だからさ、今年度の最後の最後にさ、誕生日をパーッと祝ってやって、『ああ、最後の最後にいいことあったな』ってペーに思わせてやろうよ。」
サク   「そうね。でもさ…」
トンビ  「なに?」
サク   「声かけた面子がさ、意外だなと思って。まあ私とトンビは同じ高校だけどチョコとキミーは中学から違う学校で最近全然交流なかったじゃない」
トンビ  「それはしょうがねえよ。だってペー友達少ないし。高校で俺たち以外にいないぜ、友達」
サク   「ああ、そっか…」
トンビ  「ペーはいいやつなんだけどさ、あいつのいいところって分かってもらうのに時間がかかるんだよな」
サク   「確かに」
トンビ  「あいつの良さを本当に理解するには大体4年くらい必要なんだよ」
サク   「理解してもらう前に卒業しちゃうね」
トンビ  「そうなんだよ。いい奴なんだけどなあ…」

        そこに森永澄子(チョコ)が登場。

チョコ  「あーっ!サクちゃん、トンちゃん!」
サク   「チョコ!久しぶり」
トンビ  「チョコ、頼んどいたものは?」
チョコ  「もちろん買ってきたよ。」
トンビ  「サンキュー」
サク   「キミーは?一緒じゃないの?」
チョコ  「キミーもいるよ。今電話してる」
キミー  (声のみ)「だからさ、そうじゃないって言ってるでしょ?」
サク   「なに、もめてんの?」
チョコ  「そうみたい」
キミー  (声のみ)「わかったわよ。もういいわよ、さようなら、永久に!」

        天野貴美子(キミー)登場。

トンビ  「よっ。キミー」
キミー  「…埃くさい」
サク   「久しぶりね、元気だった?キミー」
キミー  「ま、普通よ」
トンビ  「これで主賓のぺー以外は揃ったな」
キミー  「ねえ、本当にここでやるの?」
トンビ  「なにが?」
キミー  「誕生パーティ」
トンビ  「勿論」
キミー  「倉庫じゃん」
トンビ  「秘密基地だ」
キミー  「何年前の話よ。カラオケとかファミレスとか色々あるじゃん。」
トンビ  「駄目だよ」
キミー  「なんで?」
トンビ  「金がかかる」
キミー  「しょぼっ。経済力のない男は嫌ね」
トンビ  「なんだその発言は。いけ好かない女みたいだぞ」
キミー  「こっちは予定調整して参加してんだからね。つまんないパーティなら帰るよ?」
サク   「キミー忙しいの?」
キミー  「まあね」
チョコ  「男の子との約束が詰まってるんだよね。キミーはねえ、もてるんだよ。」
トンビ  「まじで?」
キミー  「心底意外そうなそのリアクションとてもむかつく」
チョコ  「高校入って彼氏5人できたんだよ」
キミー  (まんざらでもない様子で「そんなこといわなくていいから」
チョコ  「平均二ヶ月で振られてるけどね」
キミー  「それは本当にいわなくていいから」
チョコ  「あ、ごめん」
キミー  「それから二ヶ月じゃないから。二ヶ月半だから」
トンビ  「かわんねえだろ」

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。


ホーム