HAPPY BITTER END

(はっぴーびたーえんど)
初演日:0/0 作者:辰巳時
役者
・百瀬 陸(ももせ りく)
20歳、大学三年生。
割りと気弱で人見知りなところがあるが、芯は強い。やると決めたらちゃんとやる。

・風野 真咲(かざの まさき)
享年18歳、高校の制服を着た少女。
我が強く、男勝り。口は悪いが、根はいい子。

・東雲 桐花(しののめ とうか)
18歳、大学一年生。
大人しいが人懐っこい性格、少し抜けている。

・藤堂 皆人(とうどう みなと)
18歳、大学一年生。
社交的で交遊関係も広い、所謂イケてるメンズ。

・真咲の母親
強か、笑顔で夫を尻に敷く。
真咲の男勝りは彼女譲り、根は家族想いでいい人。

・真咲の父親
割りと寡黙、お喋りな妻とは破れ鍋に綴じ蓋。
真咲の口下手で口が悪いところは彼譲り、実はコミュ障。


 * * *


 町中、うろうろとする真咲
 通行人の前に立ったりするが無視される
 下手から百瀬、きょろきょろしていた真咲と目が合う
 百瀬は硬直してから、ゆっくりと目を反らし逃げようとする

真咲 ねえ。

百瀬 ……。

真咲 ねえ、ちょっと。

百瀬 ……。

 真咲、百瀬の前に回り込む

真咲 ねえってば!

百瀬 うわ!?

真咲 今、目合ったよね?

百瀬 ……。

真咲 合ったよね?(キレ気味)

百瀬 ……すみません。

真咲 なんで無視すんのよ、失礼でしょ?

百瀬 いや、あの、はい、すみません。

真咲 まったくなんなのよ、人の顔見て逃げるなんて……。しかも女の顔見て目反らすとか最低だからね?

百瀬 あ、はい、あの、大変すみませんでした。じゃあ俺はこれで……。

真咲 待ちなさいよ!あんた、あたしを無視したんだよね?それ、貸しひとつになんだからね?

百瀬 ……え?

真咲 だから、借りは返すもんだっつってんのよ。付き合いなさい、あんたのさっきの失礼な態度、チャラにしてあげるから。

 上手へ歩いていく真咲
 百瀬、しばらく立ち尽くす

百瀬 ……ええー。

 しぶしぶ真咲の後を追い、暗転

 人のいない空き地
 上手から真咲、遅れて百瀬

百瀬 ……あの、どこまで行くんですか?俺そろそろ帰りたいなーって……。

 真咲、辺りを見回す

真咲 ……まあ、この辺でいいでしょ。言っとくけど、これあんたのためなんだからね?私だってこんな空き地なんかより、パンケーキの美味しい喫茶店にでも行きたいわよ。

百瀬 なんで俺ちょっと逆ギレされてんだろ……。あの、それで、本当に用件はなんなんですか?

真咲 ああ、そうね。……じゃあ手短に言うけどさ、あたし死んでるよね?

百瀬 ……え。

真咲 何よ、その反応。

百瀬 ……あ、いや……その。

真咲 あたしが気付いてないとか思ってた?

百瀬 ……たまにいるんですよ、ふわふわしてて、気付いたらここにいたとか言う人。死んだ時のこと、ショックで覚えてないとか……君もそうなのかなって思ってて。

真咲 ……覚えてるわよ。

百瀬 そうですか……。あ、でもそれなら話は早いです。協力はしますから、成仏の努力してもらえませんか?

真咲 なんか急に手のひら返してきたわね?

百瀬 いや、俺死んだこと説明するの苦手なんですよね。酷い人だと、死んだこと自覚した途端泣いて暴れだしたりして……ポルターガイストってわかります?霊がものを動かしたりする現象のことなんですけど、あれ本当にできちゃうんですよ。鉄骨投げ飛ばされたときは、さすがに死ぬかと思ったなー。

真咲 なんでそんな能天気なのよ……。まあいいわ、あんた同様、あたしも話が早いから。あたし、どうしてもやりたいこと……確認したいことがあるの。それを手伝って。たぶんあたしがここにいる理由って、それが心残りなんだと思うから。

百瀬 そうなんですか?よかった、そこまでわかってるならお安いご用ですよ。俺にできることならやります、任せてください。

真咲 ……あんた、人のこと無視する癖に案外いいやつなのね?

百瀬 それはもう忘れて下さい、咄嗟だったから……。

真咲 まあ、手伝ってくれるんだから許してあげるわ。あたし真咲、風野真咲っていうの。あんたの名前は?

百瀬 俺は百瀬陸です。よろしく、真咲さん。

真咲 百瀬ね、よろしく。それじゃあ早速手伝ってもらうわよ。

百瀬 あんま無理難題なのは、勘弁して下さいね……?

 真咲と百瀬、上手へ
 暗転

 住宅街
 上手から真咲と百瀬

真咲 あたしね、すごく仲の良い幼馴染みがいたの。それで、どうしてもあの子に確認したいことがあるのよ。

百瀬 あの、一応聞きますけど、その幼馴染みさんは真咲さんのこと……。

真咲 ……見えないわよ、きっと。だからあんたが必要なの。あたしが言ったこと、そのままあの子に伝えて。その答えを聞ければ、あたしはそれでいいから。

百瀬 なるほど、それくらいなら俺も頑張ります。

真咲 頼むわね。……あ、ここ。ここがあの子の家……のはずなんだけど?

百瀬 どうしました?

真咲 ……表札が違う。

百瀬 え?

真咲 ……嘘、絶対ここよ!なんで違うの!?

百瀬 あの!とりあえず、この家の人に聞いてみましょう?真咲さんの探してる人の名前ってなんですか?

真咲 ……東雲、桐花。

百瀬 東雲桐花さん……。

 百瀬、インターホンを押す
 インターホンから声

女性 はい?

百瀬 あ、あの、すみません。この辺りに東雲さんのお宅ってありませんか?道に迷っちゃって……。

女性 東雲さん……?……ああ、もしかしてここに前住んでた方かしら?その方でしたら、つい二週間前くらいに引っ越しましたよ。

百瀬 引っ越した!?え、引っ越し先は!?

女性 さあ、そこまではわかりませんねえ……。あ、でも引っ越しの時ご挨拶に来たご夫婦がいましたよ。その人たちを伺ってみたらどうですか?

百瀬 そのご夫婦の名前は?

女性 えっと、確か……風野さん、だったかしら。

 百瀬、真咲に目をやる

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