ナイフの矛先

(ないふのほこさき)
初演日:0/0 作者:仁司じん
ナイフの矛先
  
  二人でできる短い劇を作ろうと思ったのですが、収まりませんでした。
  一応演出次第では二人での劇にも出来ると思います。
  (例えば、一人が主人公、もう一人が業者、友人、恋人、NA)
  
  
  年をとって、価値観が変わる自分。薄汚れていく自分を自覚したところで変えられない現実。それでも生き続けなければならない。醜くても恥ずかしくても、あがいてあがいて生き続けなければならない。
  ナイフの矛先は人の意志を示す。使い道は人それぞれ。使うも使わざるも、あなた次第。
  
  
  1幕・・22歳→引っ越し。新たな生活への期待。希望。若さ。
  2幕・・24歳→社会人二年目。多忙。疲労。癒しを求めて。友人。理想の強さ。
  3幕・・28歳→恋人。思い出。ペット。
  4幕・・32歳→現実。後悔。葛藤。
  5幕・・38歳→別れ。なりたくなかった自分。理想とのギャップ。
  
  ・全て演出はお任せで、改変等自由にしてください。
  
  
  
  
  
  
  
  登場人物
  ・主人公
  ・引っ越し業者
  ・友人
  ・恋人
  ・NA
  
  
  
  
  緞帳アップ
  
  ♪milk tea/福山雅治
  舞台上手、NA独白。
  
  NA 突然ですが、あなた方にとって人生の節目ってなんでしょう?誕生日、七五三、入学式、就職。結婚。その節目には必ず、人との出会いと、別れがつきものです。そして出会いと別れが人を感動させたり、苦しませたりします。
  
    あそこにいる彼のラッキーナンバーは「2」。2の連なる今日2月22日は、彼の今後の人生にとって非常に重要な役割を担う日になる。社会人なりたて、二年目。恋人との出会い。そして様々な決別。2月22日。この日より、「彼」という物語の幕が開ける。
  
  NA終了。
  
  
  →一幕
  
  段ボールが数個おいてある部屋。中央には主人公。段ボールや家具の他に物はなく、閑散としている。
  スマートフォンがスピーカーに繋がれ、薄っすらとBGMが流れている。(♪福山雅治のmilk tea。)
  主人公は来年から社会人で、働き始めるにあたってアパートの一室を借りた。
  そして今日がその引っ越し当日。
  主人公は浮足立っている様子で部屋を見渡し、段ボールを開けては閉め、床をさすりまわしたりしている。とにかく嬉しさが抑えきれない気持ちを表現。
  
  上手から引っ越し業者、積み上げた段ボールを運びながら入場。
  主人公、気づいて姿勢を正す。
  
  
  業者  よいしょ。いっちに、いっちに、いっちに、いっちに。(段ボールを積み上げて)ふぅ〜。これでほぼ終了かな。お客さん!
  
  主人公 はい!
  
  業者  疲れてるところ悪いんだけど、見積もりの確認とサイン、お願いしてもいいかな?
  
  主人公 あ、はい。(スマートフォンを操作し、BGMを止める。書類を受け取り、目を通しながら)本当にありがとうございました。せっかくだし、お茶でも飲んでいきますか?
  
  業者  いやいや、会社からなるべく急いで戻って来いって言われてるし、遠慮するよ。・・・っといいつつ一杯だけもらっていいかな?
  
  主人公 もちろんですよ。(ペットボトルの茶をグラスに注いで)どうぞ。
  
  業者  ありがと。いや〜、しかしお客さん、荷物少なくて助かったよ。これだけ高さのある建物だと、運び込むのにかなり労力がかかるからさ。
  
  主人公 そうですよね、手間かけさせてしまいすみません・・。
  
  業者  いやいや、仕事だからさ。「迅速・スピード・素早さの引越社」がうちのモットーだから、気にしないで。
  
  主人公 めちゃめちゃ早そうですよね。
  
  業者   でも流石にあのときはしんどかったなぁ。50階まである超高層ビルの49階の部屋に引っ越すお客さん。(おもむろに立ちあがって)目の前広がるのは光輝く美しい海。そして青い空。俺はこの無駄におおきーくて無駄によーく見えるベランダから、運んだ家具を全部投げ捨てたい衝動に駆られたね。ふははは!(爆笑)
  
  主人公  ・・・・・。
  
  業者   たとえ話だよ。それだけ大変だったって話。
  
  主人公  そ、そうですよね。
  
  業者   お客さんに対してはそんなこと思ってないよ。息子と同い年だから、話しやすくてついいらん話までしてしまった。
  
  主人公  息子さんも来年度から働き始めですか?
  
  業者   いや〜、うちは大学通わせられるお金が無くて、高校卒業してすぐ働き始めたよ。だからもう(指折り数えて)4、5年は会ってないな。
  
  主人公  そうなんですね。
  
  業者   君は、しっかり休みの日くらい親御さんの元に顔見せなよ。親は子供の顔見るだけで安心するもんだからさ。
  
  主人公  はい、頻繁に顔見せるつもりです。お気遣いありがとうございます。(見積もり書類を書き終え)終わりました。。
  
  業者   (受け取り)はいよ、ありがとう。じゃ、撤収しようかな。お茶ありがとうね。
   
  主人公  こちらこそありがとうございました。
  
  業者   もし何か不備があったら、すぐこっちに電話してよ〜。会社にかけるよりは迅速に対応できるからさ。それじゃ、ありがとね!
 
  主人公  (出ていく間際、業者の忘れ物に気づく)あ、待ってこれ!
  
  
  業者、上手より退出。
  
  
  主人公  ・・・・・。まぁ、後で電話するか。(どこか嬉しそうな表情)
  
  
  主人公、自分の住む家であるのにも関わらず、あたりに人がいないかを確認。
  その後、確認を終えたらソファーへとダイビング。
  満足したら段ボールの一つからカレンダーを取り出し、部屋の下手広後方に飾る。
  2月22日の欄に大きく丸をかき、「一人暮らし記念日」と記述する。
  
  ♪暖かいピアノ曲
  主人公、独白。
  
  主人公  2月22日土曜日。ちなみに現在22歳。本日から僕はこの部屋で一人暮らしを始める。中学高校から漠然と一人暮らしに対する憧れを抱いていた僕にとって、今日は学校の入学式や、卒業式よりも、大切な一日になりそうだ。就職活動で10円はげならぬ500円はげが出来たことも、まさに今そこでゴキブリの死骸を見つけたことも、今の僕にはどうでも良かった。
  
  主人公  とりあえず一人暮らしといえば、酒だよね。だからこれ(コンビニ袋を持って)買ってきた!それでは、わたくし○○の一人暮らしを記念いたしまして、乾杯!うん、うまい!来週にはあいつらも呼んで、オールで遊ぶかな。これぞ一人暮らしの醍醐味ってもんよ。あ〜、一人暮らし最高!!(楽しさを強調)
  
  
  
  主人公、急激にトーンダウン。寂しさ溢れる場。
  間。
  
  
  主人公  疲れたし、寝るか。
  
  
  段ボールの中から敷布団と枕を取り出し、就寝の準備。
  
  
  主人公  それじゃ、おやすみ。
  
  
  主人公、上手く寝付けない様子。
  
  
  主人公  やっぱりまだ寝るには早いか・・。折角だし、商店街の様子でも見に行こうかな。なんだか、人の声が恋しい。
  
  

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