空模様

(そらもよう)
初演日:2016/7 作者:古結靖文
「空模様」                  作:古結靖文(こけつやすふみ)

登場人物:メイン6人 サブ6人 男5:女7
藤本 空 長女 26
藤本 晴香 次女 20
藤本 優雨 長男 18
藤本 彩雪 三女 17
平野 卓海 20
平野 広樹 26
藤本 恵美 母 (旧姓 松田)
藤本 洋介 父
辺野 みどり 17 (彩雪の友達)
谷部 大地 18(優雨の友達)
権堂 光 43 (会社の上司) 男でも女でも可能
松田 優香子 (恵美の姉)


最低人数六人












カラー照明のみ

空  人は嘘をつくものです。だますための嘘。人を傷つける嘘。人を守るための嘘。自分
   を、守るための嘘。皆誰しもが一度は嘘をついたことがあるはずです。嘘をついたこ
   とがないと言い切れる人間は、そこでまた嘘をついているのです。イエス・キリスト
   は、罪を犯したことのない者だけが石を投げるように言いました。しかしその時誰も
   投げることはできませんでした。嘘をついていることを自覚しながらも、人は嘘をつ
   かざるをえないのです。
彩雪 真実を隠そうとすることは罪なのでしょうか。
優雨 真実を黙っていることは罪なのでしょうか。
晴香 真実を知らないことは罪なのでしょうか。
空  嘘をつくことは、罪なのでしょうか。

明転

晴香 エイプリルフール! 一年に一度、嘘をついてもいい日。
卓海 から早三週間。
晴香 どうしよう。
卓海 どうしような。
晴香 また言いだせなかったんだけど。
卓海 そうだな。
晴香 もうエイプリルフールとっくに過ぎてるんだけど。
卓海 三週間前だからな。
晴香 そろそろ本気で......
卓海・晴香  まずい?
卓海 そもそもこういう類の嘘はやっぱりまずかったんだって。
晴香 だってエイプリルフールだよ? ちょっとリアリティのある嘘ついてみたっていい
   じゃない!
卓海 そこに俺を巻き込むなよ。
晴香 何よ、そもそもあんたが姉さんになかなかアタックできないからこの機にちょっと
   でも意識させようってことで
卓海 あーあーみなまで言うなよ! 
晴香 一緒に嘘ついたあんたも同罪なのよ。
卓海 嘘ついてもいい日だったのに罪になるのか......。
晴香 だってあんなに喜ばれるなんて思ってなかったんだもん......。しかもどんどん勝手に話進めて盛り上がっていくし......。残念だったね卓海。姉さんこれっぽっちもあ
   んたのこと意識してないよ。
卓海 んなことわかってるよ。つーか意識されてなくて残念、とかより罪悪感でいっぱいに
   なったから......。
晴香 でもね卓海。
卓海 なんだよ晴香。
晴香 このまま話が進んでしまう前に、どうしてもこの結婚話が「エイプリルフールの嘘」
   ってことを話さなきゃならない。
卓海 でもさ、
卓海・晴香   私達、結婚します!
卓海 ってあんなにわざとらしく言ったのにあっさり信じるっていうのもどうかと思う。
晴香 それは私も重々承知の上よ。
卓海 あれだけ騙され易いと、詐欺とかに引っかかりそうだな。
晴香 私以外がどうにもね......。
卓海 ......藤本家って、なんか危なっかしいよな。
晴香 ちょっと、私の家族の悪口言わないでくれる。
卓海 悪口じゃねえよ心配してんの。
晴香 確かに、姉さんはのんびりやさんだし、優雨は肝心なところ抜けてるし、彩雪はおも
   しろがるだけで自分からは動かないし......。やっぱり私がしっかりしないと!
卓海 これ以上お節介おばさん悪化させてどうすんだよ。
晴香 失礼な。
卓海 事実だろ。で、今日はどうすんの? このままうちで作戦立てんの?
晴香 作戦なんて立てても無駄なのは今までで分かってる。
卓海 じゃあ晴香の家行くか?
晴香 そうだね......うー、今日こそ、今日こそは全部嘘です、って言わないと。
卓海 はあ、言える気がしねえ。
晴香 ちょっと卓海、姉さん振り向かせたいならもっとシャキッとしなさいよ。
卓海 それとこれとは話が別だろ。
晴香 いいから、うち行くわよ。

晴香と卓海はける
同時に空、優雨、彩雪が出てくる

晴香 ただいま。
卓海 お邪魔します。

晴香と卓海登場

空  おかえりー。
彩雪 お、帰ってきた。おかえりー。
晴香 雨降ってきちゃってさ。タオルもらえる? あ、優雨、すぐ洗濯物取り込んできて!
優雨 なんで俺が
晴香 いいから早く!
優雨 痛い痛い痛い! 鞄でぶつなよ!
晴香 あんたが早く行かないからでしょ。
優雨 なんで俺が行かないといけないんだよ。彩雪も暇だろ。
彩雪 いいから兄さん行ってきなって。

優雨はぶつぶつ文句言いながらはける。彩雪もはける。

空  え、そんなどしゃぶりなの?
卓海 結構降ってますよ。

タオルをもって彩雪が戻ってくる

彩雪 はーいタオルどうぞー。
卓海 お、ありがとう彩雪ちゃん。って、え?

彩雪、タオルを卓海に渡そうとして渡さない

卓海 え、ちょっと彩雪ちゃん?
彩雪 はい?
卓海 意地悪しないでくれよ。
晴香 何やってんのよ彩雪。
彩雪 いえいえ別に。はいどーぞ。
卓海 どうも。
彩雪 いえいえ、なんたって未来の義兄様ですから!
卓海 えー、あーまあ、それは......。
晴香 ほ、ほら彩雪、優雨手伝ってきてあげて。

優雨が戻ってくる

優雨 もう終わったけど。
空  早いじゃない。
優雨 かなり降ってたから急いで入れたんだよ。
晴香 あ、卓海、それも洗濯機に入れてくるから。

晴香が卓海からタオルを受け取りはける

卓海 お、サンキュー。
空  あ、そうそうお茶出さなきゃね。
彩雪 私用意してくるよ。

彩雪はける
晴香が戻ってくる

空  ありがとう。
卓海 あー、なんかすみません。
晴香 なんか今更感あるよね。
空  いいでしょ。今日は式場選びして、日程決めるんだから、ちゃんともてなさないと!
優雨 晴姉と卓海さんが決めることなんじゃないのそれ。
晴香 は、ははは......。
空  妹の晴れ舞台なのよ。張り切らないでどうするの!

彩雪がお茶を持って戻ってくる

彩雪 持ってきたよー。
卓海 ありがとな。
晴香 はあ......。
彩雪 晴姉どうしたのそんな重ーいため息ついちゃって。
空  そうよ幸せ逃げちゃうわよ? ねえ卓海君。
卓海 え、あ、ああそうですよね!

晴香、卓海をどつく

卓海 いってえ!
彩雪 晴姉ってばバイオレンス!
晴香 彩雪!
彩雪 なんにも言ってませーん。
優雨 あーあー晴姉はすぐ手が出る。
晴香 優雨?
優雨 なんも。
卓海 まあまあ、俺は大丈夫だから。
彩雪 さて、空姉私達は退散しよう!
空  え?
彩雪 さっき兄さんも言ってたでしょ。こういうのは二人で決めるんだって。
卓海 あー、おかまいなく......。
優雨 そんなこと言ってると本当に居座りますよ空姉は。
晴香 よし、じゃあ私らが部屋にいくわ。そうしよう、ね、卓海!
卓海 え、お、おう。
彩雪 そういうことならさあさあいってらっしゃーい。

彩雪が卓海と晴香をせかしながらはけさせる

彩雪 晴姉と卓海さんが結婚かあ。
優雨 そんなそぶり全然なかったのにな。
空  二人が幸せになるのはいいことじゃない。
彩雪 うーん、卓海さん、お義兄さんって呼んでほしいかな? それともお義兄ちゃんって
   呼んでほしいかな?
優雨 今まで通りでいいんじゃないの。
彩雪 えーそれじゃあつまんない。
空  でも卓海君昔からよくうちに遊びに来てるから、そんなに違和感ないかもね。
優雨 何が?
空  卓海君が彩雪にお兄ちゃんって呼ばれてるの。
優雨 あー、確かに。そういえば一時期こいつそうやって呼んで、卓海さんからかってなか
   った?
彩雪 え、そうだっけ?
空  卓海君がうちによく来るようになった頃?
優雨 そうそうその頃。
彩雪 あーそうだったかも。晴姉が男友達連れてきたの初めてだったから面白くなっちゃ
   って。
空  もう七年ぐらいじゃない? あの二人がお互いの家を行き来するようになってから。
優雨 それが結婚かあ......。
彩雪 空姉も早く結婚相手探さないとね!
空  大きなお世話よ彩雪。
優雨 確かに、空姉からそういう話聞いたことない。
彩雪 そうなんだよ! ね、どうなの空姉?
空  別に、何にもないよ?
彩雪 本当に?
空  うん。
彩雪 ほんとのほんとに?
空  うん。
彩雪 ほんとのほんとのほんt
優雨 彩雪、そこらへんにしとけ。空姉困るだろ。
彩雪 だってー......あ、広樹さんは?
空  広樹は大学の時からの友達だよ?
彩雪 えーつまんないのー。じゃあ、兄さんは?
優雨 は?
彩雪 いや兄さんからもそういう話聞いたことないなーって!
空  確かに。
優雨 いやいやいやなんで話さないといけないわけ?
空  姉弟なんだからいいでしょ?
優雨 ......嫌だね。
彩雪 兄さんってばノリ悪いんだから。
空  優雨、お姉ちゃんにも話せないことなの?
優雨 うぐ。
彩雪 兄さん、空姉に弱いもんねー。
優雨 いや、別に何もないから。
彩雪 絶対隠してることあるでしょ!
優雨 俺が話したくないから話さないの。
彩雪 えー。
空  まあまあ、優雨にだって話したくないことあるんだよ。
優雨 そういうこと、分かったか彩雪。
彩雪 はーい。
   ......とまあこうは喋ってるものの、私はひそかに気づいていました! 空姉も兄さ
   んも気づいてない事実。それは、晴姉たちが、嘘をついてるということです!

彩雪が話している間に優雨と空がはけて、みどりが登場

辺野 それから?
彩雪 それだけだよ。
辺野 えー! 優雨さんのお話は聞きだせなかったのー!
彩雪 私もそのあとねばってみたんだけど、全然、これっぽっちも話してくれなかったよ。
辺野 そっかー。残念。
彩雪 兄さんそういうところあるからね。なーんかとっつきづらいのよ。
辺野 でもそういうところもかっこよく見えるのが、優雨さんのずるいところだよね。
彩雪 こればかりはみどりの目がおかしいんじゃないかと思うけど。
辺野 そんなことないもーん。
彩雪 みどりは一回眼科行った方がいいんじゃない?
辺野 彩雪ってばひどい! 今まで仲良くしてくれてたのに! 
彩雪 みどり?
辺野 裏では私のことを嘲笑っていたのね!
彩雪 おーいみどりー。
辺野 そんな人を私はずっと好きだったなんて......。なんたること!
彩雪 はい終わりー。
辺野 どうだった? 今の私の演技?
彩雪 うーん、ぎりぎり赤点回避?
辺野 点数低くない?
彩雪 みどりの演技はバレバレなのよ。
辺野 うーん、これでも一年の頃より成長したと思うんだけどなあ。
彩雪 ま、成長はしてるんじゃないの?
辺野 よっしゃ!
彩雪 毎日毎日昼休みにこのくだりやって、飽きないの?
辺野 飽きない! 彩雪だってなんやかんや付き合ってくれるでしょ。
彩雪 そりゃまあね。
辺野 彩雪やっさしー!
彩雪 はいはい。それよりね、やっぱり晴姉と卓海さんは嘘ついてるんじゃないかと思うん
   だけどさ、みどり的にはどう思う?
辺野 うーん私的にはねえ......ずばり! 晴香さんと卓海さんは嘘をついてると思う!
彩雪 あーやっぱりか。
辺野 だって中学生の時から互いの家を行き来するぐらい仲良くて、今でもしょっちゅうカラオケに行ったり遊びに行ったりするのに、大学生になって今の今まで付き合ってなかったんでしょ?
彩雪 そうなんだよ。
辺野 それで今更結婚しますって、そりゃ嘘よ。
彩雪 だよねえ。
辺野 極め付けはあれだね、その結婚報告が四月一日だったってことだよね。
彩雪 しかもきっちり午前中よ。
辺野 そこもしっかり守ってたんだ。
彩雪 ネタばらしはその日のうちにってのは守れなかったけどね。空姉が大喜びしちゃったから。
辺野 なるほど。うーん、晴香さんも卓海さんもエイプリルフールとかノリそうにないイメージだったんだけどなー。
彩雪 あれ、みどり卓海さんにも会ったことあるっけ?
辺野 ありますとも! あれだけ彩雪のうちに遊びに行ってるんだもん。
彩雪 それもそっか。卓海さんもしょっちゅううちに来てるもんね。
辺野 よく見かけるよ。なんたって彩雪とはもう五年の付き合いになりますから! 彩雪について知らないことは何もないと言っても過言ではない! 
彩雪 なにもない、か。
辺野 え?
彩雪 ううん、なんでもない。そろそろ行こ? 昼休み終わっちゃう。
辺野 あ、ほんとだ。急がないと!

彩雪と辺野がはけるのと同時に谷部と優雨が登場

谷部 いつ聞いても優雨の家はにぎやかだよなあ。
優雨 うるさいだけだよ。
谷部 で、実際のところどうなんだよ?
優雨 何が?
谷部 好きな奴、いるのか?
優雨 は?
谷部 俺にぐらい言ってもいいだろ?
優雨 だから本当にいないんだってば!
谷部 じゃあ俺も見込みあるってことか?
優雨 は?
谷部 そうかそうかなるほど。
優雨 いや何言ってんだよ大地。

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