ジュリエット宣言!

(じゅりえっとせんげん!)
初演日:2010/3 作者:N's Factory

演劇チーム ピーカンブルー
       


  「ジュリエット宣言!」



            作 N's Factory


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登場人物

【ジュリ(樹莉)】
女。二〇代後半。OL。
恋愛の妄想と現実の間でユラユラしている。
気は強い。
我も強い。
押しも強い。
が、時として超ネガティブ。
一目惚れのミオを落とすことはできるのか??

【ミオ(澪)】
男。三〇歳。会社員。
普通に好青年。
ジュリに惚れられる。
犯罪者の息子。が、父とは縁を切っている。

【マキ(真希)】
男。三〇代半ば。自由業。
ジュリのイトコ。
ミオの友人。
ジュリの恋の相談相手。
ミオをジュリに引き合わせたのもマキ。

【リコ(理子)】
女。二〇代後半。
マキの彼女。
ジュリとミオの恋の行方を客観的に見ている。
恋愛論にうるさい。

【ジュリの父】
男。五〇代後半。
警察官。
娘のジュリの幸せを心から願う。
娘からミオを紹介され喜んだが、ミオの父の存在が明らかになり二人の交際に反対する。



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シーン説明

シーン数は7つ。
各場10分〜20分程度。

【第1場】
(設定)
劇中劇。ジュリの妄想の中の「ロミオとジュリエット」。
(登場キャラ)
ジュリ(妄想の中のジュリエットとして)& ミオ(妄想の中のロミオとして)
(演出テーマ)
古典劇風。

【第2場】
(設定)
マキの部屋でジュリが理想の恋愛とミオへの想いを熱く語る。
(登場キャラ)
ジュリ&マキ
(演出テーマ)
ラフな会話。普段着の空気感。

【第3場】
(設定)
告白。ジュリがミオに想いを伝える。
(登場キャラ)
ジュリ&ミオ
(演出テーマ)
詩で物語る告白シーン。
状況描写さえも台詞にしてみる。

【第4場】
(設定)
ジュリの家。ジュリの交際に反対する父をジュリは説得できるか?
(登場キャラ)
ジュリ&ジュリの父
(演出テーマ)
親の葛藤vs娘の決心。
親子。信頼できる相手ゆえの強い言葉。気持ちの削り合い。
互いに伝えたい想いは心に響くのか。すれ違ってしまうのか。

【第5場】
(設定)
マキの部屋。今のジュリの状況を論じるマキとその彼女(リコ)。
どうやらミオが逃げたらしい。
これだから男ってのは。。。
(登場キャラ)
マキ&リコ ※シーン最終部にジュリ
(演出テーマ)
傍観者の気ままさ。温度差。
互いに語る恋愛観。ジュリはどうするべきだと思う?
そして傍観から介入へ。

【第6場】
(設定)
勝負。
ジュリは自分の気持ちに素直に行動する。
ミオはそれを受け止めることができるのか?
互いの気持ちがぶつかり激しく愛を叫ぶ。
(登場キャラ)
ジュリ&ミオ
(演出テーマ)
激しく激しく。さらに激しく。

【第7場】
(設定)
最終場。
この恋、どうなったの??
(登場キャラ)
ジュリ&マキ
(演出テーマ)
最後はしとやかに。きれいに。爽やかに。和やかに。


【※第0場】
伏線設定用プロローグ的に。使っても使わなくてもどちらでも。
あったほうが後々伏線として活きてくる。
なければいきなり1場になるので始まりにインパクトが出る。



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使用楽曲等について

 本作品では、物語の方向性やキーワードを観客に提示するために、シーン間のブリッジ曲や携帯着信音等(以下、「楽曲等」と記載)
に役者の台詞との関係性を持たせています。参考として、台本中に楽曲等の曲目指定を記載してあります。作者がベストだと判断してい
る曲目です。ただし、これは上演時の楽曲等の使用曲目を制限するものではありませんので、あくまで参考としての記載とお考えくださ
い。

 なお、実際の楽曲等の使用にあたっては、著作権法等の関係法規やJASRAC等の著作権等管理事業者の定める管理規定等に従って
ください。







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                0 場

            開演。暗闇の中、ラジオの音。
            ニュースを読む男性アナウンサーの声。

    アナ   ニュースの時間です。本日午後6時ごろ、東京都千代田区永田町の首相官邸正門付近で進入してきた乗用車が爆発し、官
        邸の警護に当たっていた警察官2名が死亡、その他多数の重傷者が出た模様です。首相を含む政府関係者は無事でした。
        詳しくはCMのあとでお伝えいたします。

            出版社のラジオCM。若い女性の元気な声のナレーション。

    CM   ハイティーンの女の子たちの恋愛バイブル「スウィートラブマガジン」。略して「ラブマガ」! 今月号の特集は「男子
        がドキドキしちゃう超絶アプローチテクニック!」。あなたが恋い焦がれるあのカレも、これを読めばうま〜く落とせち
        ゃうかも! 恋する乙女はこれを読め! 月刊「スウィートラブマガジン」、ラブマガは明日発売! ピーカンマガジン
        社からのお知らせでした!

            再びニュースに戻る。

    アナ   本日の官邸前爆破事件について、反政府組織「黒十字」は犯行声明を出し、事件への関与を表明しました。また警察庁も
        午後9時に会見を開き、今回の爆破事件をテロと断定し、過去の反政府テロ事件で指名手配されている「黒十字」のリー
        ダー格・門田勇(もんだゆう)容疑者が今回の事件にも関わっているものとみて警視庁が捜査を進めています。それでは、
        官邸前からの中継です・・・・・・。

            ラジオの音、フェードアウト。






                1 場

            音楽 ベートヴェン「月光」
            照明がつくと、ひとりの青年がたたずむ。

    ミオ   月の光が照らす我が心。青く光るこの心はジュリエットへの恋の炎。青々しく猛々しくゆらゆらと燃えてはこの想いを燃
        え焦がし白き灰となり、その灰は汚れなき純白の雪となってジュリエットの元へ舞い落ちるだろう。もっと燃えよ、恋の
        炎! ジュリエットの足もとを我が恋きらめく銀世界へと変えてしまうがいい!

            遠くに光を見つける。

    ミオ   あの窓からこぼれ落ちる光は何だ? あちらは東。東に昇るは・・・。(ハッとして)我が太陽、ジュリエット! 

            ジュリエットが姿を見せる。

    ミオ   あぁ、ボクの愛しい人。あぁ、ボクの恋する人だ。この想いを伝えたい。

            ジュリエット、何かを考えてるようなつぶやいているような。

    ミオ   何か話している。・・・いや何も言いやしない。でもあの目が何かを語りかけている。ボクに? 何か答えようか? い
        や、待て。思い上がるな。相手はボクじゃない。ボクに語りかけるなんてそんなわけはない。・・・そんなわけはない。
        ・・・見ろ! あの人が頬を手にもたせかける。あぁ、あの手を包む手袋になりたい。手袋になってあの頬に触れてみた
        い!

            ジュリエット、感情を抑えきれずに。

    ジュリ   ああ!
    ミオ   何か話すぞ。・・・・・・もう一度言ってくれ、ボクの輝く天使。キミの姿は翼のある天使そのもの。この頭上にあって
        夜空に光り輝く。そのまばゆい光に人間たちがふりあおぎ驚きの目で見つめると、ゆったりと流れる雲に身を任せ、天空
        をすべるがごとく華麗に進み行く。
    ジュリ   あぁ。ロミオ・・・。ロミオ! どうしてあなたはロミオなの? お父様とは縁を切り、その名前を捨てて。それが無理
        なら私を愛すると誓って! そうすればもう私はキャピュレットではない! 
    ミオ   もっと聞いていようか。何か答えようか。
    ジュリ   私の敵といっても、それはあなたの名前だけ。モンタギューでなくてもあなたはあなた。モンタギューってなに? 手で
        もない。足でもない。腕でも顔でもない。人のからだのどの部分でもない。あぁ、なにか別の名前にして。名前が何だと
        言うの? バラと呼ばれるあの花をほかの名前で呼ぼうとも甘い香りは変わらない。だからロミオだってそう。たとえロ
        ミオと呼ばれなくても非の打ち所のない尊い姿はそのまま失いはしない。あぁ!ロミオ! 名前を捨てて! そんな名前
        はあなたじゃない。その名前を捨てて、代わりに私の全てを受け取って!
    ミオ   その言葉どおり受け取ろう! 恋人と呼んでくれればそれがボクの新たな名前。いまからはもうロミオではない。

            ジュリ、突然の声に驚きあわてる。

    ジュリ   誰? 夜の闇にまぎれてこの胸の密かな想いを立ち聞きしたのは。
    ミオ   誰と聞かれても、どうお答えしようか。ボクの名前は・・・。あぁ、尊い聖者、自分の名前が憎くてならない。それはキ
        ミの敵だから。紙に書いたのなら破ってしまいたい。
    ジュリ   あなたの口から生まれた言葉を私の耳は百とは飲み込んでいません。でも声でわかるわ。ロミオね?! モンタギューの。
    ミオ   違います。美しいキミよ。キミがイヤならどちらでもない。
    ジュリ   どうして? なぜここに? なんのために? 庭の塀は高くて乗り越えるのは難しいはず。それにここはあなたには危険
        すぎる。家の者に見つかれば、この場所はあなたにとって死を意味するのよ。
    ミオ   恋の軽い翼でこの塀は飛び越えました。石垣に恋の邪魔だてははできません。この恋叶うならどんな危険でも冒します。
        この家の者がどうしてボクを防ぐことができましょうか。
    ジュリ   でも見つかればあなたは殺されてしまいます!
    ミオ   あぁ。何十本の剣よりもあなたの目のほうが遙かに怖い。どうか優しいまなざしを。そうすればやつらの敵意もボクには
        刃が立ちません。
    ジュリ   あなたが見つかるのは絶対にイヤ。
    ミオ   見つからぬように夜の衣に身を隠しています。でもあなたが愛してくれないならいっそ見つかった方がいい。あなたの愛
        なしにむなしく生きていくより、彼らの憎悪に命果てた方が遙かにマシだ。
    ジュリ   だれの手引きでここへ?
    ミオ   恋の手引きで。唆したのは盲目のキューピッド。恋が知恵を貸してくれ、ボクが目を貸したんだ。
    ジュリ   そう。それでこんな市営グランドまで。

            ジュリの言葉が理解できず固まるミオ。

    ミオ   ん?
    ジュリ   なに?
    ミオ   今、なんて言ったの? ここがどこだって?
    ジュリ   市営グランドよ! 
    ミオ   市営グランド?!
    ジュリ   そうよ! ここは市営グランド。市営グランドの駐車場よ。
    ミオ   駐車場??

            音楽 RCサクセション「スローバラード」
            イントロのピアノ部分のみが何度もリピートしていく。

            ジュリ、バルコニーから飛び降りる。

    ジュリ   あぁ、恥ずかしい! きっといま私の頬は真っ赤に染まっているわ。だってさっきあんな言葉を聞かれてしまったんだも
        の。あぁ、いっそあなたと二人、毛布にくるまってしまいたい!
    ミオ   毛布に?
    ジュリ   そう。二人で毛布にくるまるの。ほんとはこんな真っ赤な顔、あなたに見せたくないのよ。でもこの気持ちが伝わるなら、
        この真っ赤に染まったあなたへの想いが伝わるのなら、ふたり毛布にくるまった一番近くでお見せします。
    ミオ   ジュリエット・・・。
    ジュリ   こんな女はイヤですか?
    ミオ   いえ。ぜひとも一緒に毛布にくるまりましょう。
    ジュリ   ホントに?! ありがとう、ロミオ!

            ジュリ、大きな毛布を出してくる。
            舞台中央に座り、毛布を体に掛けて片手で毛布を開く。

    ジュリ   さぁ。どうぞ。

            ミオ、毛布に入り、ふたり毛布にくるまる。
            音楽、フェードアウト。

    ミオ   ホントだ。顔が赤いです。
    ジュリ   やっぱり見ないでください!(顔をそむける) 私、あなたに夢中なの。だから軽い女に見えるかもしれない。でも信じ
        て。ね? つれないふりをして気を引く女より、ずっと真心があることがわかるはず。
    ミオ   わかってます。
    ジュリ   ありがとう、ロミオ。

            しばしの間。
            ジュリ、少し落ち着いて。

    ジュリ   ホントはね、この想いをあなたに聞かれてさえなければ、私もっと控えめにしていたはずなの。だからお願い。こうして
        あなたになびいたのを浮気な恋だと思わないで。暗い夜の闇が明るみに出してしまったのだもの。
    ミオ   誓おう。あの清らかな月にかけて。
    ジュリ   月にかけて誓うのはやめて。不実な月はひと月ごとに満ち欠けを繰り返す。あなたの恋もそんなふうに変わりやすいとい
        けないから。
    ミオ   じゃあ、何にかけて誓おう。
    ジュリ   ならばこの夜露にかけて誓って。
    ミオ   夜露に?
    ジュリ   そう。ふたりを包むこの夜露に誓って。そして、この。
    ミオ   この?
    ジュリ   このカーラジオから。
    ミオ   カーラジオ?
    ジュリ   このカーラジオから流れてくるスローバラードに誓って。
    ミオ   スローバラード?
    ジュリ   スローバラードに誓って。夜露が窓を包んで、二人だけの世界を作ってくれるわ。
    ミオ   ・・・ジュリエット、いったいここはどこなんだい?
    ジュリ   市営グランドの駐車場よ。あなたの車の中で二人毛布にくるまっているの。カーラジオからはスローバラード。夜露が二
        人を包んでくれているわ。
    ミオ   ジュリエット?
    ジュリ   おやすみ、ロミオ。この夜露に愛を誓って。おやすみ。私の愛しいひと。
    ミオ   あぁ。この夜露に愛を誓うよ。おやすみ。ボクの愛しいジュリエット。
    ジュリ   おやすみ、ロミオ。なんて幸せな気分。悪い予感のかけらもないわ。
    ミオ   おやすみ、ジュリエット。そうだね。悪い予感のかけらもないさ。



            音楽 RCサクセション「スローバラード」


            場転






                2 場

            マキの部屋。
            舞台中央にテーブル。
            テーブルの上にラジカセ。
            その他にマキが仕事で使う資料(本やCD)が雑多に置いてある。
            テーブル周りにジュリとマキが座っている。
            ラジカセではCDで「スローバラード」がかかっている。

    マキ   お〜い! 待て待て待てぇ!(ラジカセのボリュームを下げる)
    ジュリ   あ〜いいとこなのにぃ〜! もう、なによ〜。
    マキ   ジュリ。ちょっと待て。ちょっと整理しよう。
    ジュリ   な〜に〜よ〜。
    マキ   いいか? おれはいま若い女の子向けのコラムを書いている。
    ジュリ   うん。
    マキ   そのコラムはと〜っても有名な女の子雑誌に載るもので、しかもおれの文章を気に入ってくれてるそこの編集長さんから
        の直々のオファーである。
    ジュリ   うんうん。
    マキ   で。この仕事が評価されればついにおれの作家人生も大きく道が開けるようになると。
    ジュリ   なると!
    マキ   コラムのテーマは「女の子が憧れる恋愛」
    ジュリ   憧れる恋愛!
    マキ   で、ジュリが憧れる恋愛についておれは聞いたわけだ。
    ジュリ   わけだ!
    マキ   まぁ、ロミジュリのジュリエットに憧れるってのはわかる。
    ジュリ   でしょ?
    マキ   おまえが親に付けてもらった「樹莉」と言う名前をすごく気に入っていて、昔から「ジュリエットのような恋した〜い」
        と、ず〜っと言っていたのをイトコであるおれはよ〜く知っている。
    ジュリ   マキちゃん、よく聞いてくれてたもんね。
    マキ   だから、ジュリがあのバルコニーのシーンに思い入れがあるのも納得できるし、憧れる恋のシチュエーションとしてそれ
        をあげるのもよ〜くわかる。
    ジュリ   わかるでしょ〜? もうね、あの展開は究極なのよ! マキちゃんわかる? あれはね、私のみならず全世界の女の子が
        憧れる恋愛設定なわけよ。
    マキ   おうおう。いいわいいわ。そこんとこはすっげぇわかったわ。だがな、後半のあの展開はどうにも納得いかん。
    ジュリ   なんでよ〜。
    マキ   なんで?! なんでって言うか?? っていうか、こっちが「なんで?」だよ。
    ジュリ   な〜に?
    マキ   おまえな、なんで中世ヨーロッパに「市営グランドの駐車場」が出てくんだよ?
    ジュリ   変?
    マキ   (思わず笑って)めちゃめちゃ変だわ。
    ジュリ   そうかな〜。
    マキ   「そうかな〜」ってあるか!
    ジュリ   あ、でもでも、も〜しかしたらぁ、あるかもしれないじゃん?
    マキ   そうなぁ。う〜ん、もしかしたら中世イタリアのヴェローナのどっかにヴェローナ市営の総合運動公園があって、そこに
        ロミオが愛車のフェラーリ駐めて、その中でジュリエットと二人で毛布にくるまって、カーラジオからは地元FM局のエ
        フエムヴェローナが流すスローバラードが流れて、あぁすごくロマンチック。ってばかばかばか! 
    ジュリ   (笑って)バカって言われた〜。
    マキ   ひゃくパーないわ。
    ジュリ   ないかぁ〜。
    マキ   っていうかおまえね。要はRCの「スローバラード」の世界がいいと?
    ジュリ   そう! この間清志郎のライブをテレビでやっててね、初めて聴いたんだけど、この「スローバラード」がすっごくよか
        ったの!
    マキ   で、おれの部屋に勝手に入ってCDラックからRCのベスト盤をパクっていったと。って、なんでおれの部屋に入れんだ
        よ!
    ジュリ   リコさんが鍵貸してくれたよ。
    マキ   おれの知らないトコでおれの彼女から合い鍵借りるな。つ〜か、リコも貸すなっつ〜の。
    ジュリ   でねでね! そのCD、家に帰ってからヘッドフォンつけて大きな音量でじっくり聞いてみたの! ねぇ、この「スロー
        バラード」ってすっごくいいよ!
    マキ   (苦笑して)おまえが清志郎の良さに目覚めたのは非常に喜ばしい。だがな、おまえに言われんでもおれは十代の頃から
        その良さを知ってるわ。
    ジュリ   でもきっとあたしはいまマキちゃん以上に良さをわかってるね。っていうかすべての清志郎ファンのなかであたしが一番
        その良さをわかってるね。
    マキ   (大苦笑)そうか。おまえが一番か。
    ジュリ   一番だね。
    マキ   それは知らなかったわ。
    ジュリ   知らなかったでしょ。あたしもいま初めて知った(笑)
    マキ   (笑)そうかぁ。それはおれ知らなくてもしょうがないな。
    ジュリ   しょうがない。
    マキ   そら、天国の清志郎もびっくりだわ(笑)
    ジュリ   でねでね。こう、ヘッドフォンして目をつぶって「スローバラード」聞いてると、頭の中で世界が広がっていくわけよ。
        真夜中の駐車場でしとしと雨が降る中、彼と二人で後部座席のシートに座って、「ちょっと寒いね」なんて言いながら一
        緒に毛布にくるまって、そしたら彼の体温がゆっくりあたしに伝わってきて、外から聞こえる雨音をバックに、ラジオか
        らきれいなメロディーのバラードが流れてきて、「幸せだなぁ」と思いながら、横にいる彼の顔を見上げると、彼もあた
        しを見つめていて、その顔が月明かりに照らされて、なんかそれを見てあたしはぼーっとなっちゃって、そしたらだんだ
        んと彼の顔が近づいてきて、そしたらあたしもなんとなく察して目を閉じちゃったりして、そしたらそしたら、そのまま
        二人はぁ〜!
    マキ   妄想女。
    ジュリ   っだと、コラァ〜ッ!
    マキ   おまえは中学生男子か(笑) 中学生男子の妄想か。
    ジュリ   あぁそうよ、妄想よ。でも中学生ではないっ! 立派な20代女の妄想よ。
    マキ   20代女ならもっと大人っぽい妄想しろや。それに妄想につっこんで悪いけど、「雨の夜」に「月明かり」に照らされる

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