僕が思い出になる前に
○登場人物○
洋三
美里
秀二
社長 


   ○
   マンションの一室。
   引越して来たばかりの室内。
   ダンボールなどが並ぶ。
   下手が玄関。
   上手の向こうには寝室がある。
   中央のテーブルに退屈そうに座っている美里。
   玄関からダンボールを持って、寝室へ行ったり来たりしている秀二。
   美里のことは見えていない。
   何往復かする。しばらくして、

秀二 洋三、割れ物これで終わりだろ? 洋三。
洋三の声 そー。
秀二 あと俺運ぶから。ダンボール開けちゃってよ。
洋三の声 はいはーい。

   秀二、荷開けしはじめる。
   美里、退屈で秀二の前で変な顔をしてみせる。

洋三の声 結構荷物多かったね。久しぶりに疲れちゃったよ。

   と、汗を拭きながら洋三が入ってくる。
   美里が丁度秀二に悩殺ポーズを決めていたところ。
   美里の姿を入り口で見て、固まる。

秀二 (本を出している)あんまり無理すんなよ。ゆっくりでいいからさ。
洋三 何これ。どういうこと?
秀二 (洋三が来たので)じゃ、車返してくるわ。(と入れ違いに出て行こう
   とする)
洋三 誰そのひと。
秀二 え? (持って出て行こうとした雑誌を見る)ヤワラちゃん?
洋三 ヤワラちゃん?
秀二 田村亮子?
洋三 ふざけんなって。そこのひとだって。
美里 (ハッとする)
秀二 あぁ、谷亮子?
洋三 やっぱ馬鹿にしてんだ。
秀二 え?
美里 あんた見えるの?
洋三 そりゃ見えますよ。
秀二 うん、ヤワラちゃんだよね。(雑誌を見る)
洋三 そういうこと。
秀二 ?
洋三 手のこんだことすんだ。
秀二 手のこんだこと?
洋三 僕残して、後は宜しくって?
秀二 車返してくるんだって。後で手伝うって。疲れたなら無理するなよ。
洋三 ああ、そう。分ったよ。行って来ればいいよ。
秀二 何怒ってるんだよ。
洋三 分ったから行って来いよ。行って来いって。

   秀二、訳が分らないという顔で行く。

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