グッバイ、マザー

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初演日:2012/12 作者:藤吉みわ
『グッバイ、マザー』 
                               脚本  藤吉みわ



田中コズエ                                                     
母                               
井上よしこ                            
大久保マリ                            
河野真琴                             
白鳥鮎子                             
清水咲子                                                        
木下弥生先生(担任) ※先生表記                  
滝沢栄子先生(保健)                       
夢野みちる先生(教育実習)                     
ぴょん吉                            




















?@「コズエのお願い」 の巻

母「ね、なんで、そんなに東京にこだわるの?」
コズエ「だって、せっかく大学行くなら、東京に行きたいじゃん!都会のキャンパスライフ送りたいじゃん!お洒落なカフェでバイトしたいじゃん!」
母「地元にも立派な大学たくさんあるでしょ!お洒落な茶店も沢山あるしね〜!」
コズエ「茶店って言わないでよ!他にも理由あるもん。」
母「何よ?」
コズエ「一人暮らし始めるチャンスだから。」
母「・・・離れたいの?」
コズエ「うん。」
母「何で?」
コズエ「何でも。」
母「お母さんはどうなるの?」
コズエ「え、それは・・・。」
母「・・・・・。」
母、顔をうつむけ、肩を震わせ泣き始める。
コズエ「え、ごめん。」
母「なーんちゃって、うっそぴょ〜〜〜〜〜ん!」
コズエ「くっそー。マジで神様、母親交換してください!お願いしまーす!」
母「ビリビリビリ!ぐちゃぐちゃぐちゃ!」
コズエ「ってか、なにやってんの!?ちょっと!」
母、大学のパンフレットを千切り、紙を丸めて飲み込もうとする。
母「東京、フアック?東京、フアック?」
コズエ「ちょとちょっとちょっと!やめてよ!」
コズエ、母の口から紙を取り出そうとしている。
母「ふんががががが。」
コズエ、母の口から紙を取り出すことに成功。母、息切れ中。
コズエ「今日も、一日始まるよーーーん!」
○音楽かかる。
ズッキュン娘オリジナル曲「グッバイ、マザー」





?A「母、現る」 の巻

コズエの家。朝。
母「お弁当は?」
コズエ「持った!」
母「ぴょん吉は?」
コズエ「持った!」
※ぴょん吉とは、コズエが幼い頃から大切にしている、うさぎのぬいぐるみ。
母「よし。気を付けてね。」
コズエ「うん。いってきまーす!」
母「いってらっしゃーい!」
コズエ、出ていく。母、見送る。
母「ってコズエーーーー!箸忘れてるよ!んもう!」
○始業のチャイムが鳴る。
生徒と先生出て来る。
教室。
先生「おはようございまーす!」
全員「おはようございまーす!」
先生「皆さん、朝ご飯は食べて来ましたか〜?」
全員「はーい。」
先生「先生の朝食は、ワッフルとミネストローネ、それに金粉をまぶしたカスピ海のヨーグルトでした。」
清水「金粉をまぶしたカスピ海のヨーグルト!?」
先生「清水さん、復唱ありがとう。それでは、出席をとりまーす!井上よしこさーん。」
よしこ「はい、元気です。」
先生「大久保マリさん。」
マリー「はーい。ウルトラスーパーめっちゃ元気でーす。」
先生「河野真琴さん。」
真琴「パネェ元気っす!」
先生「白鳥鮎子さん。」
白鳥、声小さい。挙手した手が震えている。
白鳥「はい、元気です。」
真琴「白鳥さん、死にそうじゃね?救急車呼ぶか?」
白鳥「いえ、大丈夫です。」
先生「白鳥さん、体調悪かったら保健室行って大丈夫ですからね。無理しないようにね。」
白鳥「はい。」
先生「清水咲子さん。」
清水「はい、私本日も良好です。先生っ!」
先生「何ですか?」
清水「田中さんが、もう38秒も遅れています!あっ、今40秒になりましたっ!田中さんは2学期が始まってから遅刻しなかった日が一日もありません!」
先生「あら、それは大問題〜。」
清水「そうです!大問題です!先生、私、学級委員長として今日こそは田中さんに厳しく申し上げますね!」
コズエ、教室に滑り込む。
コズエ「す、すみませーんっ!先生、遅刻ですか?」
先生「んー・・・ギリギリセーフにしましょうか。」
コズエ「やった!」
清水「甘いっ!甘過ぎますっ!先生は甘いんですっ!3年生の2学期というのは受験を控えた非常にナイーブな時期なんです。にも関わらず、田中さんのように風紀を乱す人がいては困ります!」
コズエ「私のどこが風紀を乱してるの?」
清水、ポケットからメジャーを取り出し、スカートの長さを測り始める。
清水「校則では、膝上からスカートの丈までの長さが10センチ以内に指定されておりますが、田中さんは20センチもあいています!先生っ!これは大問題です!」
コズエ「そんな、10センチも20センチも大して変わらないよね?」
清水「か、かっ、変わらないっ。」
清水、発作が起きる。
よしこ「清水さん、大丈夫?」
清水「大丈夫です。田中さんと真剣に話しているとたまに発作が起こるんです。」
先生「ほら、みんな仲良くして下さ〜い。田中さん、これからは遅刻しないように気をつけて下さいね。」
コズエ「はいっ。すみませんでしたー!」
先生「今日は皆さんに紹介したい人がいます〜。どうぞお入り下さい。」
夢野、入室。
夢野「失礼します。」
マリー「めっちゃイケメンなんだけど〜!」
コズエ「超ストライク!」
真琴「え?誰?先生の婚約者?」
よしこ「そういえば弥生先生、指輪はめてましたよね〜!」
清水「弥生先生、結婚おめでとうございます〜!」
生徒一同「おめでとうございます〜!」
先生「実は先日、相手に婚約破棄されました。なので全部白紙に戻りました、とさ。ちゃんちゃんっと。」
静寂。
先生「あら、なんかお通夜みたいになっちゃったわね。やだやだ誰も死んでませんよ!生きてれば婚約破棄の一回や二回位あるでしょ?ね?みちる先生?」
夢野「あ、はい。」
先生「えっと、今日から教育実習生としてこのクラスにやって来ました夢野みちる先生です。」
マリー「みちる!?先生女なの!?」
夢野「はい、そうです。」
先生「では、みちる先生から一言お願いします。」
夢野「はい。えっと、この度教育実習生としてこのクラスにお世話になる事になりました。夢野みちるです。みちる先生って呼んでくれたら嬉しいです!」
先生「みちる先生っ!」
夢野「あ、ありがとうございます。えっと、この時期は受験や人間関係、また恋愛などで悩む事も多いかと思いますが、みなさんと年齢も近いですので気軽に相談して下さい!」
生徒「はーい!」
先生「みちる先生、私も恋愛について相談しても良いでしょうか?」
夢野「あ・・はい、もちろんです。」
先生「ありがとうございます。それでは、朝のホームルームを始めます。」
全員「はーい。」
母、教室に入ってくる。
母「コズエ、見ーっけた!」
先生「え??」
母「突然、どうもすみませ〜ん。コズエの母でございますー。」
先生「あ、お母様でしたか〜。」
母「いつもコズエが大変お世話になっておりますー。」
コズエ「お母さん、何しに来たの!?」
母「箸を入れ忘れたから、届けに参りました〜!」
コズエ「え、それだけ?」
母「それだけって事ないでしょうが!箸がなかったら、ご飯食べれないでしょ!?」
コズエ「ありがとありがと!じゃっ、お母さんもう帰って。」
母「そうでした、そうでした!井上よしこちゃんはどちらになりますか?挙手お願いしまーす。」
先生「え?」
よしこ「あ、私です。」
母「ちょっと、ここに来てくれる?」
よしこ、教壇に上がらされる。
コズエ「何やってんの?」
母「先生・・ってあれ!?この方どなた!?」
先生「教育実習生の夢野みちる先生です。」
夢野「初めまして。」
母「イケメン・・・やだ私ったらこんな身なりで。あの、いつもはもっと清楚系の団地妻っぽい服装なんですよ〜!」
コズエ「みちる先生女だから!」
母「・・・え?ちっ。」
夢野「え?あの、」
母「じゃあ、ミッチェルは指揮担当!」
夢野「ミッチェル?え?指揮?」
母「弥生先生は歌担当!」
先生「え?」
母「表彰式でかかる音楽を口ずさんでもらってもいいですか?」
先生「あの、」
母「お願いします。」
先生・夢野「あ、はいっ!」
母「さんはいっ。」
先生、口ずさむ。
先生「ぱぱぱぱ〜ん!ぱぱぱぱ〜ん!ぱぱぱぱんぱぱぱぱん、ぱぱぱぱん、ぱぱぱぱん!アイラ〜ビューフォエバ(号泣)ー」
母「先生、それ・・って泣いてるー!」
真琴「おい大丈夫かよ!?救急車呼ぶか!?」
先生「大丈夫です。」
母「はい、ではもう一度行きますよ。さんはいっ。」
先生「ぱぁ〜んぱぁ〜ん、ぱぱ、ぱぁ〜んぱん、ぱぱぱぱぱんぱんぱぁ〜ん」
母「表彰、井上よしこ殿、右は田中コズエとの友好関係において、全力で取り組んでくれたことにより、ここにその功績を称える。」
よしこ「え、あ、はい。」
母「おめでとうございます!」
よしこ「あ、ありがとうございます!」
母「これからも、コズエをよろしくね。あ、席に戻っていいよ。」
よしこ「あ、はい。」
母「先生、ごめんなさい。私の任務は完了しましたんで、授業続けて下さいませ〜。」
先生「あ、はい。」
母、教室の後方にスタンバイする。
コズエ「何やってんの?帰りなよ。」
母「てへぺろりん♪」
先生「・・・えっと、お母さん、授業見ていかれますか?」
母「えっ!!いいんですか。それではお言葉に甘え」
コズエ「甘えんなよ!」
母「でもね、こんな機会なんてそうそうないからね!少しだけ見させて頂きますね。みなさんは、いつものようにリラックスして授業に臨んでくださいね!」
先生「どうぞ、ごゆっくり見ていって下さい。」
母「ありがとうございますー。」
コズエ「最悪だー。」
マリー「どんまいっちんぐっ!」
一同、静まり返る。
先生「あっ、そうでした、そうでした!来月は、国語の授業の一貫として、カルタ大会を行おうと思います。」
清水「え?カルタ大会?」
先生「そうです。このカルタ大会は受験勉強の対策も兼ねて行います。」
マリー「でも、私受験しないもーん。」
よしこ「え、マリーちゃん受験しないの?」
マリー「うん、私もう学校行きたくないからさー。」
よしこ「マリーちゃんらしいね〜。」
コズエ「ってか、行く学校がないんでしょ?」
マリー「は?そんなことないし。」
先生「いいですか。このカルタ大会は四字熟語を用いたカルタになります。例えば、一期一会ということわざがありますね。この場合、最初の文字が“い”から始まるので“い”の文字が書いてあるカルタを取ります。ちなみに、現代文の受験にはよく四字熟語が出題されています。なので、この機会に楽しみながら四字熟語をマスターしちゃいましょう。」
全員「はいっ。」
母「先生、それは、一石二鳥ですねっ!」
先生「お母様、お上手っ!」
母「どうもありがとうございますっ!」
コズエ「お母さん、帰ってよ!」
母「あっ!ひらめきました!」
コズエ「何を!?」
母「カルタ大会が終わったらみなさん我が家まで来て下さい。鍋パーティーをしましょう。」
コズエ「鍋パーティー!?」
母「そう。みんなたくさん頭使うでしょう!頭を使うとお腹も減るじゃない?だから我が家に来て、鍋パーティーしましょう!そうしましょう!」
真琴「いーえ!」
母と真琴ハモる。
コズエ「お母さん帰ってよ!」
母「あ、すみません、出しゃばっちゃって。では、お返し致しまーす!」
先生「あ、はい。では、みなさん四字熟語をたくさん覚えてカルタ大会がんばりましょう!」
全員「はーい。」
○チャイムが鳴る。
母「あらっ!もうこんな時間!?楽しい時間っていうのは、あっという間に過ぎていくものですねー。コズエ、今日はシチューだよ〜!」
コズエ「えっ?」
母「今日はどうもありがとうございました。コズエを、いや、このクラスのみなさんを今後ともよろしくお願い致します。ミッチェル、実習頑張んなさいよ!」
夢野「あ、はい。頑張ります。」
母、桜吹雪をまき散らしている。
先生「それでは、お気をつけて。」
母「失礼致します〜。皆さんに幸あれ〜。」
母、教室を出ようとする。
母「コズエーっ!」
コズエ、びくつき、振り返る。
母「早弁すんじゃないよっ!よしこちゃん、よしこちゃん。またね。」
母、教室を出て行く。
先生「それではみなさん、カルタ大会がんばりましょうね〜!夢野先生、参りましょう!」
夢野「あ、はい。」
先生たち、去る。
○ 照明チェンジ








?B「白鳥さん、倒れる」 の巻

よしこ「コズエちゃんのお母さん、面白いね。」
コズエ「いやいや、全然面白くないよ。」
清水「家でもあんな感じなんですか?」
コズエ「まぁ。」
真琴「マジパネェ!」
白鳥「はらり、ひらり、すちゃ。」
白鳥、席から立ち上がり、よろつき倒れる。
全員「白鳥さん大丈夫っ!?」
白鳥の周りにみんな群がる。
白鳥「大丈夫です、大丈夫です。軽い貧血ですから、気にしないで下さい。はっ!私の周りにこんなに人が集まっているー。」
白鳥、少し嬉しそう。
マリー「保健室連れて行った方がいいんじゃない?」
よしこ「そうだね。私、保健係りだから連れて行くよー。」
清水「私も学級委員長として、同行致します。」
真琴「よっしゃ!うちも行く!」
マリー「私も〜!」
コズエ「マリーは大丈夫だから。」
マリー「え?」
コズエ「大丈夫だから!」
マリー「え、なんで?私も行くよ!」
コズエ「いいからいいから。マリーは掃除よろしくね〜。」
マリー「は?」
清水「白鳥さん、立てますか?」
白鳥「すみません、ご迷惑おかけして。面目ないです。」
清水「いえいえお互い様ですよ。一人はみんなの為に、みんなは一人の為に。これこそ私が目指していたクラスです。」
真琴「しみーず、つべこべ言ってないで保健室行くぞ!ってかこれ持てよ。」
清水「はいっ。申し訳ありません。」
マリー「ね、私も行くってば。」
コズエ「マリーちゃんは床でも磨いてて!じゃねー!」
◯ 音楽かかる。


?C「いざ、保健室へ!」 の巻

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