くにひと

(くにひと)
初演日:0/0 作者:名取ゆむ
くにひと


椎野
金井


  椎野と金井のスクールバッグがそれぞれ舞台中央の前と奥に置かれている。どうやら二人の国境を表しているらしい。
  あっち向いてホイをしている二人。

二人「最初はグー、ふんふんふん!」
椎野「あっち向いてホイ!」
二人「ふんふんふん!」
椎野「あっち向いてホイ!」
二人「ふんふんふん!」
椎野「あっちぇいホイ!」

  勝って喜ぶ椎野、負けて泣く金井。

椎野「俺の勝ちな〜」

  椎野、両方のスクールバッグを金井の方に少し動かす。

金井「あ!寄らしすぎだよ」
椎野「そんなことないね、正統な国境の寄らしだよ」
金井「いちホイでその寄らしは無いだろ」
椎野「……いちホイってなに」
金井「一回のあっち向いてホイだよ」
椎野「あー」
金井「だいたい、最後のあれ、あっちぇいホイって」
椎野「なんだ、それは、いちゃもんか」
金井「お前がちゃんと、あっち向いてホイって言ってたら、僕は勝ってたよ」
椎野「(笑)おいおい、お前まず、ジャンケンで俺に勝ったことないじゃん」
金井「うるさい!」
椎野「(笑)だいたいお前からあっち向いてホイやろうって言ってきたよな?」
金井「そうですけど」
椎野「(笑)まずジャンケンで勝てよ」
金井「言ったな」
椎野「ん?」
金井「お前、今言いましたね?」
椎野「え?」
金井「お前、今言いましたね?」
椎野「え?」
金井「お前、今言いましたね?」
椎野「あー、うん」
金井「やってやろうじゃねえか!」
椎野「なにを?」
金井「あっち向いてホイをだよ!」
椎野「あー、うん」

  金井、気合の入った準備運動。
  椎野、軽い準備運動。

二人「最初はグー、ふんふんふん!」
椎野「あっち向いてホイ!」
二人「ふんふんふん!」
椎野「あっち向いてホイ!」
二人「ふんふんふん!あいこでふん!あいこでふん!あいこでふん!」
椎野「あっえいやい!」

  斜めを見る金井。

椎野「あ、斜め見、反則!」
金井「違うよ!ちゃんと上を見たよ」
椎野「うーん」
金井「お前こそ、あっえいやいって、違うじゃん!」
椎野「盛り上がったときの、そういうんは仕方ないじゃん!」
金井「そういうのってなんだよ!!」
椎野「パッションだよ!!」
金井「……うーん」
椎野「まあいいじゃん、お互い様ってことでさ、やり直そうぜ」
金井「なにお前、いい奴感出すなよ」
椎野「なんでいい奴感出しちゃダメなんだよ」
金井「お前はそういうキャラじゃないだろ」
椎野「どんなキャラだよ」
金井「知ったかぶり天然パーマ」
椎野「(笑)殺すぞ」
金井「あ!いっけないんだー!いけないんだー!殺すぞとか言ったら先生に言っちゃうぞ!」
椎野「お前さ、恥ずかしくねえの?もう高校生だろ?」
金井「……うるさい」
椎野「やろうぜ?あっち向いてホイ」
金井「……」

  金井、頷く。
  金井、気合の入った準備運動。
  椎野、軽い準備運動。

二人「最初はグー、ふんふんふん!」
椎野「あっち向いてホイ!」

  負けて泣く金井。

椎野「……弱ぇー」
金井「……」

  椎野、自分のスクールバッグから教科書やノートの束を出す。

椎野「お前国に命ずる、この宿題を、明日までにやって来るように!」

  椎野、金井に教科書やノートの束を渡す。

金井「……え?こんなに?!」
椎野「勝ったの俺じゃん」
金井「だとしてもこの量はないよ、不平等条約だよー」
椎野「文句言うんなら賠償金請求するぞ」
金井「お金に関する事は無しって、最初に二人で決めたじゃん……」
椎野「お前国のルールなど知らん」
金井「きったねー……」

  金井、宿題を始める。

椎野「あ、今やんの?」
金井「今日塾あるから」
椎野「あ、そう……」

  間。

椎野「教室何時までだっけ」
金井「六時」
椎野「あと一時間ぐらいか……」
金井「そうだね」

  間。


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