サマーキューピット
タイトル:サマーキューピット

<登場人物>

安田 絢(やすだ あや):○△町役場福祉課高齢者福祉係臨時職員。2年目。24歳。独身。好きな作家は夏目漱石、川端康成。性格はいたって普通。

今井 春子(いまい はるこ):○△町役場福祉課高齢者福祉係次長。勤続30年目の50歳。短大卒。主婦。好きな作家は、天童 荒太。

黒谷 奈津美(くろたに なつみ):○△町役場福祉課介護福祉係嘱託保健士。5年目の29歳。主婦。好きな作家は、青山剛昌。

藤澤 玲(ふじさわ れい):○△町役場福祉課児童福祉係係長。勤続8年目の32歳。寡黙で、どんなことがあっても動じない無表情人間なため、周りから怖がられているが、今まで怒ったことはない。好きな作家は、横山秀夫。(名前のみの登場)


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絢M:「社会人に夏休みなどない」というのは嘘だ。社会人になっても夏休みをもらえる人はいる。それも結構いっぱいいる。私が勤めているこの町役場も夏は出勤してくる職員は減る。出勤しているのは、夏季休暇の概念のない臨時職員かパートか、夏も出勤しないと仕事が片付かない職員ぐらいだ。あと、ほんとに真面目な人。

絢:すいません、今井さん。課長知りません?

春子:あぁ、今日から2週間夏季休暇とってるわ。なに、どうしたの?

絢:あー…決裁もらいたかったんですよねぇ…じゃあ、補佐は?

春子:補佐は、リフレとって1週間休み。奥さんの実家に行くらしいわーいいわねぇ、沖縄だって

絢:あ…今週は決裁のたぐいは無理ですねぇ

春子:そうねぇ、私もいくつか起案してるのがあるんだけど、戻ってくるのは1週間後だわ。もう少し、タイミングよく休暇とってくれるといいんだけど。まぁ、他のことがんばりましょ。

絢:はい

絢M:リフレとは、リフレッシュ休暇のこと、年齢や勤続年数に応じて夏季休暇とは別にあたえられる休暇で、長年働いている人は夏季休暇とリフレッシュ休暇のダブルアタックでバカンスに出かけるので、役場から人が消える。

絢:いいなぁ

(後ろから声をかける奈津美)

奈津美:うらやんでもしょうがないでしょー。それなりに難しい試験受けて合格して、それなりに責任ある仕事してるんだからさ。契約のうちらは、できる仕事も時間も限られてるわけだし

絢:黒谷さん。ですよね、私たちに夏休みがない分、残業も休日出勤もないですからね

奈津美:そうそう。あ、そういえば、さっき決裁もらおうとしてなかった?

絢:はい

奈津美:今日から2週間、となりの児童福祉係の係長が、こっちの分の起案決裁見てくれるらしいよ

絢:えっ

春子:ごめん、安田さん。決裁なんだけど、となりの係長がみてくれるって。あら、もしかして黒谷さんから聞いた?

絢:はい。あーでも

春子:でも?

絢:なんか、決裁もらいに行くのちょっと…うーーん

奈津美:わかるよーあやっちが考えてること。となりの係長って、こわいって有名だしね

春子:あら、そうなの?藤澤くん、顔は怖いけど、性格は怖くないわよ、ぜんぜん
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