アニマルズ

(あにまるず)
初演日:2016/10 作者:田中 晃・呉港高校演劇部
『アニマルズ』

CAST
 相沢 あつし ・・・親との関係に悩んでいる
 尾藤 ばんり ・・・相沢のクラスメート
 千葉   ちあき ・・・相沢のクラスメート
 堂本   だいすけ・・・相沢のクラスメート
 江木   えいた   ・・・相沢のクラスメート
 古田   ふみや ・・・相沢のクラスメート
 源田   ぐんじ ・・・相沢のクラスメート
 平野   はじめ ・・・相沢のクラスメート
 市原   いくま ・・・相沢のクラスメート
 相沢父  ・・・相沢の父親
 純奈       ・・・相沢の妹
 市原父  ・・・市原の父
 市原母  ・・・市原の母
 市原小  ・・・市原の子供時代


第0場 オープニング

 音楽。


 一人一人がゴムのついた椅子を引っ張ってくる。ゴムでスペースができる。
 閉じ込められた人たち。
 そこは,檻のようにも教室のようにも見える空間となる。


第一場   放課後の教室にて


 各々,それぞれの放課後の時間を過ごす。
 古田と市原,尾藤と千葉は会話している。
 平野は隅の席で本を読んでいる。
 源田はうろうろしている。
 堂本は勉強している。
 江木は寝ている。

市原   な〜よ〜。あいついっつも本読んでるけど,いったい何読んでるんだろうな。
古田   え?平野?さあ,なんだろうな?
市原   どうせくだんねえ小説かなにかだろうけど。(笑う)
古田   おい,聞こえるぞ。
市原   は?別に聞こえたってかまやしねえよ。

 源田,割り込んで

源田   なあ,昨日のテレビ見た?
市原   なんだよぐんじ。急に入ってくんなよ。
古田   ていうか,何のテレビの話?

 しばらく3人で話す。

千葉   ねえばんり,ばんりってさ,どんな音楽聞く?
尾藤   ・・・私は最近の曲って聞かなくて・・・。
千葉   え!そうなの?何で?
尾藤   ・・・親の影響でさ。ちあきは?
千葉   そうだなぁ・・・。

 堂本,自分の席から千葉に声をかける。

堂本   お〜い,千葉〜。今日の数学のプリントやった?
千葉   まだやってないよ。っていうか,分からなかったし。
堂本   尾藤は?
尾藤   ・・・私もまだ・・・。
堂本   そっか・・・。

 堂本,教室を見渡して,一瞬平野が目につく。
 声をかけようかと思うが,ためらって,また自力で勉強を再開する。

 相沢,教室に入ってくる。
 源田,輪から離れ,相沢の元へ。

源田   あ,相沢,おはよう。
相沢   は? 今放課後だぞ。
源田   あ,間違えた。それよりもさ,昨日のテレビ見た?
相沢   え,いや昨日はテレビ全然見てないけど。
源田   いや,あの番組さ,めちゃくちゃ面白くない?

 堂本が相沢に声をかける

堂本   おーい,相沢。
相沢   ごめん源田。堂本に呼ばれたから。
源田   おう。

 相沢,堂本の元へ行く

堂本   ここんとこが分かんないんだけど,教えてくれん?
相沢   ああ,いいよ。
 
 相沢,堂本と話をする。

千葉   そういや,親の車とか乗ってると,昔の曲ばっかかかってるよね。
尾藤   そうそう。私はそれきっかけでそのころの曲にはまっちゃったけど・・・。

市原   この後,ゲーセンよって,バスケットライでもやって帰ろうぜ。
古田   おっしゃ,今日は俺が勝つ!
源田   あ〜いいな〜。俺今から部活。
古田   あれ?えいたも部活じゃなかったっけ?

 江木の方を見ると江木は寝ている。

市原   あいつ,ずっと寝てるな。        
古田   いつものことじゃん。部活のために体力ためてんだって。
市原   (ふざけて)お〜い,江木く〜ん。
江木   (寝言で何か返事をする。)
市古源   (笑う)

堂本   おお,そうか。ありがとう。
相沢   ああ。

 相沢,席につき,勉強を始める。尾藤,千葉少し相沢を一瞥するが,そのまま会話を続ける。
 相沢の姿は少し苦しそうにも見える。
 尾藤と平野は,視界に入る,その相沢の姿が少し気になったようだ。
 
千葉   じゃあ,あのタイトル知ってる?えーと,♪鏡の〜中のってやつ。
尾藤   ・・・確か,「マリオネット」って曲だったと思うけど・・・。
千葉   え!そのままじゃん。
源田   (急に話に入って)「マリオネット」ってどういう意味だっけ?
千葉   え・・・「あやつり人形」だったと思うけど・・・。


 相沢,会話を聞いて,眩暈のようなものを覚える。
 その瞬間,相沢以外が動物(イヌ)に変わる。

相沢   え…!?
相沢   何だ?今まで…。
相沢   あれ,夢…か?何で・・!?何だよ!

 相沢以外には周りは普通に見えている。自分自身も人間であると自覚している。が,見かけはイヌとして行動する。次第に,相沢がおかしいことに気付き始める。
 近づく者,遠くからいぶかしげに眺める者,からかう者,気付かない者などがいる。

相沢   おい,来るな!やめろ…!!やめろ!!!

 相沢,必死に追い払おうとする。まわりは完全に相沢がおかしいことに気付く。
 相沢以外のみなは人間として振る舞うが相沢にはイヌに見えている。

堂本   (心配して)おい,大丈夫か?
平野   (遠くから様子をうかがいながら)な,何?
千葉   (割と相沢の近くにいる。尾藤に)相沢,どうしたん?
尾藤   (おびえている)…わ,分かんない。
市原   (遠くから笑いながら)おい,何か相沢が始めたぞ〜。
古田   (市原に)寝ぼけてんじゃね?
源田   (若干楽しそうに相沢に近づきながら)何なに?
江木   (寝ていたところを起きながら)…ん?

相沢   だから来るなって言ってるだろ!なんでイヌがこんなにいんだよ!

市原   (爆笑)イヌだってよ!
古田   (爆笑)ぜってー寝ぼけてる!
尾藤   でも,様子…
堂本   おい,何の冗談だよ!
千葉   普段こんな冗談しないよね…。
平野   ・・・
源田   こわ〜。
江木   (本当に寝ぼけている)…何が…?

 相沢,教室の中を逃げる。
 相沢,(たまたま)市原の近くに行く。

市原   (まだ笑いながら)おい,目ぇ覚ませって!

 市原,立ち上がり,笑いながら,勢いよく相沢をつかみにかかる。
 相沢,逃げる。

 再びイヌに変わる。
 はた目(客)には,イヌ(市原)が相沢にとびかかっているように見える。

相沢   うわあああああぁぁぁ!

 相沢,イヌ(市原)を避けようと,必死に腕を振り回し抵抗する。
 振り回した手がかなり強く市原に当たる。
 市原,少しはじけ飛ぶ。
 一瞬,静まりかえる。

 再び人間になり騒ぎはじめる。笑う者。本気でおびえる者。など。

源田   (笑いながら)馬っ鹿で〜。
平野   お,おい。
堂本   二人とも,何やってんだよ!
市原   いっってぇな!
古田   (冗談ぽくない雰囲気に気付き始め)これ,何かやばくね?
江木   (目を覚まして)何してんの!?
千葉   私,先生呼んでくる!

 相沢は,まだかなり混乱してまわりを牽制している。

相沢   やめろ…やめろ・・・!!

 市原,きれる。

市原   何してくれんだよ!!

 市原,相沢に殴りかかる。
 市原を止めようとする堂本。はやし立てる源田。とまどう平野。慌ててかけよる江木,古田。
 混乱


第二場   相沢の回想
 
 混乱の中,相沢が叫ぶ。

 まわりの人たちはそれをきっかけに方々に椅子をもって方々に散る。
 椅子のゴムで相沢はからめ捕られた形になる。
 暗闇の中一人いる相沢。
 どこからか父の声がする。父の声は周りの人物がかわるがわる言葉を発している。

相沢   あれ…?僕は何をして…。あ,そうだ。勉強の途中だった。いけない,寝ちゃってたのか。え〜とどこまでやったっけ?
相沢父   あつし,何をしている。
相沢   あ,…父さん。…お帰り。…あ,珍しいね!こんな時間に。
相沢父   今日,純奈の学校から私に連絡があった。純奈が問題を起こしたそうだ。お前に連絡したのだが通じなかったので,学校の前に家に立ち寄ったのだが,何をしていた。
相沢   …あ,ごめん。…携帯,気付かなかったのかな…?
相沢父   お前には,家族を,純奈を支えてほしいとお願いしているだろう。私にはお前たちを育てる義務がある。仕事も抜けられない。今日は,お前に連絡が取れなかったから無理を言って抜けてきたんだ。周りからどんなに白い目で見られたかお前に想像できるか?
相沢   ご,…ごめんなさい。
相沢父   そもそも,気付かなかったんじゃなくて寝ていたんだろう。ぼーっとした顔をして。
相沢   …っ。ちょっと,疲れて
相沢父   (さえぎって)私はその何十倍も疲れているんだ!お前は勉強しているだけだろう!!いや,それもたいしてしていないか。
相沢   そんなことは
相沢父   (さえぎって)言い訳をするな!自分が都合悪くなると自分の非を認めずすぐに言い訳をする。会社でもそういうやつはろくな奴がいない。
相沢   そ,そもそも,今回の件は純奈が悪い(んじゃ…)
相沢父   (さえぎって)今度は責任転嫁か。恥ずかしい男だな。長男として,責任ある行動をとれという私の言葉は,お前には一切届いていないようだな。
相沢   いや・・・
相沢父   もういい。私は学校に行き,その後,状況次第で職場に戻る。夕食はいらないから,純奈が帰ってきたら,これからどうしたらいいか,よく話をしておけ。
相沢   ・・・・。
相沢父   返事もできないのか…,まったく…。

 相沢父の影が見えなくなる

相沢   …ちゃんと…しなきゃ…

 いつのまにか純奈(妹)が帰ってきている。純奈も女子がセリフを回す。姿ははっきりと見えない。

相沢   ・・・あ,・・・お帰り純奈。
純奈   ・・・いたの。
相沢   うん,・・・父さんは?
純奈   会社行くって。

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。


ホーム