YOUNG, BUT NOT VERY YOUNG

(ヤング、バットノットベリーヤング)
初演日:0/0 作者:
YOUNG, BUT NOT VERY YOUNG

脚本 樹

【登場人物】
ナルミ 26歳       ユウスケ 26歳 システムエンジニア
アイコ 24歳→25歳   ヨシヒサ 30歳 ナルミの兄
イツキ 26歳       ウェイター 性別も年齢も不確定

【セット】
中央にテーブル。上手、下手側に椅子が2脚ずつ。『Cafe Manhattan』の看板。

【音楽】
夢みたいなかわいい音楽が1曲と、最後の効果音が1つ。

第1幕 夢の女の子

 明転。音楽スタート。
 中央でナルミが笑う。横を向いたり、前を向いたりする。
 夢みたいに。かわいく。人間的魅力に満ちながら幻想的に輝く。
 照明は逆光。
 暗転。音楽フェードアウト。

第2幕 イツキ

 明転。
 イツキが下手から現れて語る。

イツキ    こんにちは。初めまして、僕の名前はイツキと言います。今日は本公演に来ていただきありがとうございます。突然ですが、みなさんは演劇に何を求めていますか? 何を求めて劇場に行き、物語を見ますか?
       「夢」を求めている方も多いんじゃないかと思います。ラブストーリーの名手である、とある映画監督は「人間には夢が必要だ。空気が必要なように」と言いました。人は夢を見ずには生きられません。
       多くの人にとって、人生で最後までさめずに残る夢は、「恋」なのではないかと思います。女の子の、ケーキ屋さんや女優さんになりたいという夢、男の子のスポーツ選手やお金持ちになる夢、そういう夢の多くはかなわないので、成長する過程でさめてしまいます。
       でも、この世界に女の人や男の人はたくさんいます。本当に色々な人がいて、そして、誰のことも、本当に理解することはできない。だから、男にとっての女の人、女の人にとっての男の人は、永遠にさめない夢なのかもしれません。
       僕の友だちのユウスケは、眠っている時の夢の中で、同じ女の子をくり返し見ると言っていました。そしてその人が自分の運命の人なんじゃないか、と思っていました。これはそんなユウスケに起きた小さなお話です。

 イツキ、上手側の椅子に座る。ユウスケは下手側の椅子に座っている。ウェイターが下手から登場。

第3幕 ユウスケとイツキ

ウェイター  こちらがホットコーヒーで、こちらがそうじゃない方です。
ユウスケ   じゃない方って何だよ。

 ウェイター 、下手にはける。

イツキ    今日はありがとう。忙しい中。
ユウスケ   いいんだ。最近大きな開発プロジェクトが終わったばかりでさ。
イツキ    ユウスケ、今、SEやってるんだっけ。
ユウスケ   そう。お前は?
イツキ    すごいな。僕はしがないサラリーマンだよ。
ユウスケ   SEも完全にサラリーマンだよ。
イツキ    でもなんかエンジニアはすごい感じがするよ。感じだけだけどね。
ユウスケ   何が言いたいんだよ。
イツキ    なんか、最近、人生の空しさみたいなものを感じちゃってさ。
ユウスケ   おう。
イツキ    別に、状況が悪いわけじゃなくてさ。仕事もやり続ければ何とかなるし、親も昔より年とったけど、介護が必要ってわけじゃないし。ただ、何となく……
ユウスケ   何となく?
イツキ    何もないような気がしてさ。すごく親孝行したいわけでもないし、子どもを作って幸せな家庭を築きたい、そういう気持ちもすごくあるわけじゃない。仕事も、他のことも、情熱をもって頑張りたいわけじゃない気がして。途方に暮れちゃってるというか…… 
       最近本気で、子どもに帰りたいな、なんて思うんだよ。特にこの午後5時くらい。小学校が終わって、友だちの顔があんまり見えなくなるくらい暗くなるまで公園でさ、缶蹴りとかドロケイとかして遊んでさ。あの頃みたいに、無邪気に遊びたいなって。そんでもって、7時頃には家に帰って、あったかいご飯食べてさ。
ユウスケ   よく分かんないけどさ、疲れてんじゃない。遊んだらいいよ。彼女作りなよ。
イツキ    彼女はいるよ。
ユウスケ   いるのかよ。
イツキ    最近できたんだよ。ユウスケは? 今もまだ、あの夢を見るのか?
ユウスケ   そうだなあ。
イツキ    夢なんか気にしないで、現実を楽しめよ。
ユウスケ   うるせえよ。その彼女とはどこで知り合ったの?
イツキ    そんなことより、プレゼントがあるんだ。
ユウスケ   プレゼント?
イツキ    ああ。ユウスケ、今日誕生日だろ。この前池袋でちょうどユウスケが好きそうなの見つけたんだよ。えっとな…… 
ユウスケ   あのな……
イツキ    あ、すまん。家に忘れてきたっぽい。今度、そう、またシネケンの同期で飲む時渡すわ。申し訳ない。
ユウスケ   俺の誕生日は先月だよ。
イツキ    え、そうなの? 何でだろう、一か月ずれて覚えてたんだ。
ユウスケ   一か月と四日ずれてるよ。お前そういうとこあるよな。
イツキ    なんか、すまん。
ユウスケ   まあいいよ。
イツキ    誕生日、おめでとうございました。
ユウスケ   そろそろ、出るか? 今日これから会社の人と飲むんだ。
イツキ    そうしよっか。今日は僕の誘いだから僕が払うよ。

 イツキ、ユウスケ、立ち上がり上手に向かう。ユウスケはテーブルに財布を忘れている。
 ナルミ、下手から現れる。

ナルミ    すいません!
ユウスケ   え?
ナルミ    財布、忘れましたよ。
ユウスケ   ああ、ありがとうございます。

 ユウスケ、ナルミに見とれる。イツキ、ユウスケの恋心の芽生えを察する。

イツキ    ありがとうございます! こいつ、今日誕生日なんすよ。あやうく誕生日に財布をなくすところだったな。
ユウスケ   だから今日じゃ……
ナルミ    今日誕生日なんですか?
ユウスケ   えっと……
ナルミ    じゃ、ハセガワヨシエと誕生日が同じなんですね!
ユウスケ   えっと、その人誰ですか?
ナルミ    私のおばあちゃんです。
ユウスケ   誰だよ。てかおばあちゃんフルネームで呼んでるんですね!
ナルミ    え、知らないんですか? ハセガワヨシエ。
ユウスケ   知らないですね。あなた、ハセガワさんって言うんですか?
ナルミ    そうなの。あ、ごめんなさい、私用事があって、すぐ行かなくちゃ。
ユウスケ   すごく変な話で…… 怪しく思わないんでほしいんだけど…… 多分、僕、あなたを見たことがあるんです。
ナルミ    え、どこでですか?
ユウスケ   …… 夢の中で。
ナルミ    怪しいですね。
ユウスケ   すいません。
ナルミ    でも嫌いじゃないわ、そういうの。
ユウスケ   本当によかったら、なんだけど、フェイスブックかなにかで、つながれたりしませんか?
ナルミ    いいですよ。あなたの名前は何て言うの?
ユウスケ   ウガリ、ユウスケ。
ナルミ    珍しい名前ですね。ウガリって、ケニアの料理みたい。
ユウスケ   よく知ってますね。…… 良かったら、少し話しませんか?
ナルミ    ごめんなさい、予定があって。
ユウスケ   そうでしたね。
ナルミ    でも、変な話だけど、これからユウスケさんと話す時間はたくさんありそうな気がします。それじゃ!
ユウスケ   じゃあ……

 ナルミ、上手にはける。ユウスケとイツキはそれを見届けた後、顔を見合わせて、「やれやれ」というポーズをする。

イツキ    Happy Birthday.

 暗転。

第4幕 夢みたいな時期


 明転。音楽スタート。ナルミが下手側の椅子に、ユウスケが上手側の椅子に座って談笑。ちょっと遠い距離。二人同時に立ち上がり、並んで下手手前に歩く。そこで止まる。音楽フェードアウト。

ナルミ    こっち?
ユウスケ   あっち。
ナルミ    じゃあ一緒だ。

 二人並んで正面手前まで歩いてくる。

ユウスケ   こっち?
ナルミ    こっち。
ユウスケ   俺あっちなんだよね……
ナルミ    あーあ。

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