勇者と魔王の小規模なバトル
『勇者と魔王の小規模なバトル』

【役者】男3 女1 計4人
・魔王:黒マント。頭にツノ。魔王口調。一人称は余とか我(われ)
・刑事:スーツとかコートとか、いわゆる普通の刑事。
・勇者:世界を救う勇者だが劇中では普段着。
・彼女:勇者の婚約者。一般人。

【上演時間】
 刑事パート15分+恋人パート10分 計25分
 ※片方のパートだけでの公演も可能です。

■刑事パート

(取調室。魔王座ってる。刑事が入ってくる)

刑事「……あんた……魔王さん?」
魔王「うむ、余が魔王である!よくきた、愚かなる人間よ!」
刑事「……うん。まぁ、そんな肩ひじ張らなくていいから。
   ただ、ほんとのことだけ話してくれればいいだけだから。
   え〜っと、で、言いたくないことは黙秘権があります、と。いい?」
魔王「うむ。」
刑事「えー、まず、あなたの名前は?」
魔王「余は魔王だ!」
刑事「魔王さんね。下の名前は?」
魔王「……ん?」
刑事「だから、下の名前。」
魔王「……?」
刑事「なんだ、さっそく黙秘権か」
魔王「いや、そういうわけではないんだが……」
刑事「魔王一郎とかなんかあるでしょ?」
魔王「ない。」
刑事「ないの?」
魔王「余の名前は魔王だ。それで全てだ。」
刑事「……あ。マ・オウさん?」
魔王「……うむ。」
刑事「あ、中国の人?」
魔王「いや……日本人だ。」
刑事「ふーん。変わった名前だねえ。えー次は、職業は?」
魔王「魔王だ。」
刑事「それ名前だろ?」
魔王「いや、職業も魔王だ。」
刑事「あ。俺の仕事仲間で検事をやってる健二って名前の奴がいるよ。そんな感じ?」
魔王「まぁ……そんな感じだな。」
刑事「そいつさ、面白いのがさ、苗字がカンっていうんだよ。管健二。
   外国読みなら検事官。けんじかんやってる、けんじかんってそのままだってのな。
   あはははは」
魔王「フハハハハ!」
刑事「あはははは。」
魔王「ふはははは! なんと人類の愚かなことよ!」
刑事「そんな話してないだろ。……えっと、次は、性別。男でいいな。」
魔王「いや、まて。」
刑事「なんだよ、そんないちいち引っかからなくていいよ。」
魔王「いや、性別とかそういうのは……ない。」
刑事「ないってなんだよ。……え、ないの?(下半身指さしながら)え? 女?」
魔王「いや、女ではない。」
刑事「じゃ、男だろ。」
魔王「あー、余は闇の集合体だから。性別とかそういうのはない。」
刑事「は?」
魔王「あのー、性別は、超越した存在なのだ。」
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