バレンタインチョコのひみつ
2月 バレンタイン
 室内には、植物と、人間が二人

暗い室内、起き上がるコンドウ、見知らぬ部屋を捜索
少し遅れて起きるタマミ、暗闇で交錯する面白い二人
物音にきづいたコンドウ(室内にもう一人いることに気付く)

コ「動くな!」

 しかし、タマミは反対側にいて、電気を点ける

タ「こっちだけど」
コ「!はかったな…。って、あれ、タ、タマミじゃないか」
タ「え、どうしてあなたが!?」
コ「どうしてって言われると、こちらこそ、と返さざるをえない」
タ「意味が分からない」
コ「ここにいる理由なんて分からないんだ。起きたら、ここにいて…。君はどうなんだ」
タ「え、な、何が?」
コ「君は自分がどうしてここにいるのか、知っているのか」
タ「知らないわよ」
コ「…そうか。まず、ここはどこなんだろうな。何もないようだし、シンプルがコンセプトの斬新な休憩所なのかな」
タ「さあ。どちらにせよ、早くこんなところから出ましょう。気味が悪いわ」

 出ようとするも、外から鍵がかかっているようだ。

コ「あれ、鍵がかかってるみたいだ、しかも外から」
タ「そんな。どうして外から鍵なんて」
コ「それと、おかしなことに持ち物もないんだ。財布も携帯も、ただのボールペンさえも」
タ「あなた、何か知っているんじゃないの?」
コ「おいおい、何を疑心暗鬼になっているんだ」
タ「べ、別に。ほら、あなた口では違うこと言っておきながら、浮気していたじゃない」
コ「いつの話してるんだ」
タ「あの女に関わってひどい目に遭ったわ」
コ「あの時だって、記憶がなくなるくらいに酔った、その勢いで…」
タ「何、どうしたのよ」
コ「そうだ。昨日も酔ったんだ。その勢いで眠ってしまって、そこから記憶がなくって。確か、ニトウ、とかいう男が近づいてきて」

 再現するようにニトウが現れる。
 
ニ「隣、いいですか?」
コ「(酔っていて言葉にならないやつ)」
タ「すでにへべれけじゃない」
コ「ぎりぎり記憶は保っている。確か、断ろうとしたのに、舌がうまく回らなくて、勘違いで男が隣に座ってきたんだ」
ニ「ありがとうございます。…だいぶ、酔っているようですね」
コ「(酔っている言葉)」
ニ「ほう、むしゃくしゃして飲んでしまったんですね」
タ「通じているわよ」
ニ「いやあ、僕もむしゃくしゃして、つい一人で飲みに来た口ですよ。それでも、人恋しくて、同じく一人で飲まれていたあなたに声をかけてしまった」
コ「(酔い語)」
ニ「え、まさか。こんな僕の話を聞いてくれるんですか?」
タ「さっきから都合よく解釈するわね、その人」
ニ「妹がいたんです。あ、いや、亡くなったわけではないんですけども。たぶんですね、どこかで元気に暮らしていると思うんです」
コ「何があったんですか?」
タ「急に意識がはっきりしている」
コ「こんな重そうな話をされると思っていなくて」
ニ「そんな妹にも恋人がいたんです。しかし、どうもその男に騙されてしまったようで、ショックで行方が分からなくなってしまったんです」
コ「それは大変です。こんなところで飲んでいる場合じゃありませんよ。何だったら、私も一緒に探して」
ニ「いえ、いいんです。散々探し回っての、ここですから。まあでも、あの子はそう簡単に命を投げるようなことはしないはずです」
コ「…そうですか」
ニ「(不敵な笑み)。あなたはなぜ、一人で飲んでいたんですか」
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