夢のまた夢

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初演日:0/0 作者:吉野 ヒカル

夢のまた夢

主人公





双子
双子
松田
高田
生徒
生徒
生徒
生徒
生徒
生徒


主人公 人間は夢の中だったら何だって想像できる。
 だから想像したんだ。もしも夢の中で想像した事が現実になったら
 想像してみろよ。舞台は、大海賊時代。
 まだ見ぬお宝を夢見て、海賊達は海に出た!
 幾多の荒波を乗り越え、数多の嵐の退け、並み居る海賊をぶった切り、今日も俺は海に出る!!
妹 お兄ちゃん!前方に大きな島が!!
主人公 バカ野郎!ここでは船長と呼べ!!
妹 船長!前方に大きな島が!!まだ誰にも知られていない、未知の島かもしれません!!
主人公 誰にも知られていない未知の島…か。おもしれぇ!
弟 船長!後方から怪しい船が!!
主人公 バカ野郎!アニキと呼べ!!
弟 兄貴!後方から怪しい船が!!赤と黒のドクロ……ドリー一派です!!!
主人公 ドリー一派?巷で話題のならず者集団か!!ヤツら俺たちの船のお宝が目的か…。
 目の前には未知の島、後ろにはならず者の一派、胸にはでっかい野心と野望…
弟 兄貴!どうするんですか!?
妹 船長!!
主人公 どうするかなんて決まってんだろ!ドリーのヤツらをぶっとばして、未知の島のお宝を頂く!!
 野郎共!!面舵一杯だ!!!
弟 おうよ!
妹 面舵一杯だー!!………じゃあねぇだろ!!!

     妹 主人公の頭を叩く

主人公 痛て!…え?……え??…一体、何が……
妹 何が……じゃねぇだろ!!いつまで寝ぼけてんだ!
弟 もうとっくに朝だぞ!
主人公 …朝?

     どうやら主人公の夢だったようだ

母 ほら。早く起きてらっしゃい。朝ご飯できてるわよ
主人公 朝ご飯…?
妹 私たちはとっくに食べたからね
弟 姉ちゃん。早くしないと学校遅れる
妹 あ、そうだね。こんな寝ぼけた兄に構ってるヒマはないね
主人公 もうそんな時間か……いってらっしゃい
妹 いってきます
弟 いってきます
母 …ほら。アンタも早く準備しないと。遅刻するよ
主人公 あぁ、わかってる

     主人公が学校に行くまで時間が一気に流れる
     主人公は通学に自転車を使用しているようだ

主人公 あれ?父さん、今日は休み?
父 あぁ、午後からゴルフだけどな
母 はい、お弁当。アンタの大好きな唐揚げ入れといたよ
主人公 ありがとう。行ってきます
母 行ってらっしゃい
生徒 おはよう
主人公 おはよう
生徒 おはよう
主人公 おはよう
高田 また遅刻ギリギリか
主人公 遅刻してないんだから良いだろ
高田 今日もお得意の妄想かい?
主人公 妄想じゃない。想像だ
高田 どう違うのかね。俺にはよく分かんねぇよ
主人公 人間は、夢の中だったら何だって想像できる。
 だから想像したんだ。もしも夢の中で想像した事が現実になったら
高田 なったら?
主人公 想像してみろよ。舞台は、山の向こうのそのまた向こうの奥の村。
 人里離れたその村で男は一人畑を耕しながら想像にふけっていた
生徒 オレはカカシだ。雨の日も風の日もこうして独り立ち尽くす
主人公 カカシは喋るワケがないし、動いたりするワケがない。だから想像したんだ。
 もしもカカシが自分の意志で動いたり喋ったりしたら
生徒 オレはカカシだ。誰に言われるワケでもなく、ここに立ってる
生徒 オレはカカシだ。足なんてありゃしない。歩くなんて夢のまた夢だ
生徒 オレはカカシだ。口なんてありゃしない。喋るなんて夢のまた夢だ
主人公 だが想像することは出来る。カカシが動いたり喋ったりするのをお前は想像したことがあるか?
高田 いや…
主人公 だから想像した。カカシが喋ったらどうなるか。動いたらどうなるか
高田 ここは、想像が現実になる世界か
主人公 男は畑を耕しながら退屈していた。退屈で退屈で、退屈に押しつぶされそうだった。
 だから創造した。想像が現実になる世界を。ほら、また誰か来たぞ
松田 オレはマツだ。もうずっとここに居る。雨の日も風の日も雪の日も、もうずっとここに居る
主人公 マツが動いたり喋ったりするワケがない。だから想像した。マツが跳んだら。マツが踊ったら?
松田 マツは動けないし喋れない。だからオレは自由だ。跳ぶ事も出来るし、踊る事も出来る
高田 言ってる事が矛盾してる
主人公 矛盾くらいするさ。ここは想像が現実になる世界。想像が創造される世界なんだから
高田 人間の想像は現実離れしてるって事か?
主人公 想像っていうのは、現実じゃ出来ない事を夢描くために創造されるのさ。
 ほら、お前も創造されていく
高田 オレはタカだ。空を飛び回り、鋭い眼光で睨みつけ、地上の獲物を狩る。空のハンターだ
主人公 タカは空を飛び、鋭い爪で地上の獲物を狩る。それは当たり前だ。
 だから想像した。タカが地面を走り回り、草食動物を狩る、地上のハンターだったら
高田 タカの爪は獲物を狩るためにあって走るためにない。走るなんて無理だ
主人公 二足歩行が創造できないなら、四足歩行を想像した
高田 タカの翼は羽ばたくためにあって走るためにない。走るなんて無理だ
主人公 そう。現実ではタカが走り回るなんてありえない。だから想像した。現実ではありえないからこそ
 想像する価値がある。タカは走り回れないからこそ、走り回る価値がある
高田 獲物はどうやって狩る?タカの嘴に牙は生えていない
主人公 牙なんていらないさ。獲物にその鋭い嘴を突き刺せば
高田 それだけで獲物を仕留められるのか
主人公 出来るさ。何故ならここは、想像が現実になる世界。想像が創造される世界だから

     主人公・生徒・松田・高田 思い思いに動き回る(これより前から動き回っても可)
     その流れで 松田 主人公の頭を叩く

松田 こら!!いつまで寝てんだ!!
主人公 はい!……。…え?
松田 全く……俺の授業中に堂々と居眠りとは良い度胸だな
主人公 ……居眠り?

     どうやら授業中に居眠りをしていたようだ

主人公 じゃあ……今までのは全部…夢?…あれ?でもどうしてマツが…?
松田 俺は松田だ。早く座れ
高田 良かったな。松田の機嫌が良くて。普段なら廊下に立たされてるところだ
主人公 …あれ?タカ?
高田 俺は高田だ。何寝ぼけてるんだよ
松田 ほら授業続けるぞ。今日は人間の想像についてだ。人間は何故、想像すると思う?
高田 想像するのに理由なんて無いだろ。ただ、想像する能力があるから想像するだけだ
松田 想像する能力があるから想像する。それも良いだろう
生徒 でも、能力があるという事は目的がある筈。想像する目的がある筈です
松田 その目的とは何だ?
主人公 人間が想像する目的なんて決まってる。それは、夢を見るためさ
高田 夢を?
主人公 想像してみろよ。舞台は、とある回転寿司。
 そこで回る寿司ネタたちは、自分達の夢を語り合っていた
高田 よぉ。久しぶりだな
松田 よぉ。最近どうなんだ?
高田 相変わらずだよ。玉子なんて所詮人気第5位のモブキャラさ。お前は?
松田 俺も相変わらずだよ
高田 そりゃそうか。寿司ネタの王道だもんな。マグロは。
松田 そんな事ないさ。マグロだって大変なんだよ
高田 そうなのか?
松田 お前はマグロが人気の寿司ネタ第1位だと思ってるだろ?でも実際はサーモンの方が圧倒的に人気さ。
 それに、今年はマグロが不作でね。大赤字さ。
 俺たちは所詮、サーモンの美味しさを際立たせる為の引き立て役なんだよ
生徒 確かにそうだろうな
生徒 お前たちはサーモンの引き立て役だろうな
生徒 だがオレたちはどうだ?
生徒 サーモンどころかお前たちの引き立て役のオレたちはどうだ?
生徒 オレたちは所詮引き立て役の引き立て役だ
生徒 そんなオレたちはどうなんだ?
高田 お前は?
生徒 名前すら覚えられていない
生徒 それがオレたちだ
生徒 オレたちは鉄火巻きだ
生徒 お前たちの引き立て役だ
生徒 自分の存在価値がわからない
生徒 自分がなりたい姿がわからない
高田 なりたい姿……そうだな、オレも、なりたい姿がわからないよ
松田 そんなの、わかるヤツの方が少ないんじゃないか?
生徒 いや、お前たちはわかる筈だ
生徒 自分の存在価値がわかるから
生徒 自分の夢がある筈だ
生徒 自分のなりたい姿がある筈だ
生徒 言ってみろ、自分の夢を
生徒 言ってみろ、自分がなりたい姿を
高田 夢…?さぁ、なんだろうな
松田 オレたちは皆寿司だ。美味しく食べてもらう事が夢じゃないか
高田 確かにそれはそうだ。だが、それは、食べ物としての夢であって、オレの夢じゃない
松田 お前の夢?
高田 オレはきっと、サーモンに憧れてる
生徒 サーモンの引き立て役じゃなく
生徒 サーモンを凌ぐ人気者になりたい
生徒 2番人気じゃなく
生徒 1番人気になりたい
生徒 脚光を浴びたい
生徒 それがお前の夢か
高田 あぁ。お前の夢はあるか?
松田 オレの夢……オレの夢は…やっぱり、美味しく食べてもらう事だ
高田 それが夢なのか
松田 だってそうだろ。オレたち寿司ネタの寿命は30分…早ければ20分で廃棄されてしまう
高田 鮮度が命だからな
松田 にも関わらず、マグロや玉子、サーモンは廃棄されるかもしれないのにレーンに流される
生徒 誰に食べられるかもわからないのに流される
生徒 誰の為かもわからないのに創られる
松田 その点、お前たちは良い。注文されて初めて握られる。食べたい人がいて初めて創られる
生徒 自分を必要としてくれる人がいる
生徒 自分の存在を肯定してくれる人がいる
松田 自分が誰の為に創られるのか、自分が誰の為に存在するかを、実感できている。でもオレたちは
 誰の為に創られるか分からない。それどころか、自分を必要としている人がいるのかすら分からない
生徒 自分を必要としてくれる人を知りたい
生徒 自分の存在意義を知りたい
生徒(一同) それがお前の夢か
松田 あぁ。ところで、お前にも夢はあるのか?
主人公 俺の夢?それはもちろん――

     妹 主人公の頭を叩く

妹 こら!いつまで寝てんだ!早く起きろ!!
主人公 痛て!……え?…
妹 いつまで寝ぼけてんだ!
弟 もうとっくに朝だぞ!
主人公 朝?

     どうやら主人公の夢だったようだ

母 ほら。早く起きてらっしゃい。朝ごはん出来てるわよ
主人公 …じゃあ、今までのは………全部夢…?
妹 私たちはとっくに食べたからね
弟 姉ちゃん。早くしないと学校遅れる
妹 あ、そうだね。こんな寝ぼけた兄に構ってるヒマはないね
主人公 …なぁ。俺はずっと寝てたのか?
弟 何言ってんだよ。ずっと寝てたからこんな時間に起きてるんだろ
妹 それじゃ、いってきます
弟 いってきます
主人公 ……いってらっしゃい
母 …ほら。アンタも早く準備しないと遅刻するよ
主人公 …あぁ、わかってる

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