モノクロイド
『モノクロイド』
【役者】9人(男3 女3 不問3)

1.男   :男。名前はケイ25歳。人間。貧しいけれども優しい青年
2.メイド :女性型。ハウスキーパー。メイド服。明るくて騒がしい。よく笑う。
3.ドクター:女性型。白衣。けだるそうな雰囲気。
4.ガード :男性型。ぶっきらぼうで強そう。
5.妻   :女。名前はエリ。人間。ケイの妻。おとなしい。
6.博 士 :男。人間。テンションが高くてうさんくさい。
7.郵便屋 :男女不問。無表情。足をひきずり声にノイズが走る。頭に帽子。
8.音楽家 :男女不問。無表情。楽器を携帯。
9.軍 人 :男女不問。無表情。銃を携帯。

【あらすじ】
西暦2616年。
人類は200年も昔に滅亡し、数台のアンドロイドのみが機動しつづけていた。
人間のために造られながら、人間の役に立つことができない彼らは、
家族のように寄り添いながら、楽しく、そしてむなしく、百年以上過ごしていた。

そんなある日、冷凍ケースから一人の人間が目覚める。
彼は多額の報酬につられ、コールドスリープの実験体として名乗りを上げたのだ。
六か月間で終了するはずだった実験だが、途中で戦争が始まり、実験担当者は逃亡。
男が目覚めたのは、自分の時代から二百年後の、自分以外の人間が滅亡した世界だった。

絶望する人間の男。
初めて人間に出会い、希望に胸を膨らませるアンドロイド。
時を超えた出会いは、荒廃した世界に何をもたらすのか。

「役に立ちたいんです。それが、私の生まれてきた意味だから……」

【本編】
<第一幕 朝のニュース>

男「おはよう」
妻「おはよー、ケイ。朝ごはんできてるよ。はい」
男「ああ、ありがとう。いただきます」
妻「いただきます」
男「うん、おいしい!」
妻「ありがとう。今日のお仕事はどこ? 近く?」
男「いや。今日は遠いんだ。D地区の南のほう」
妻「え……大丈夫なの? あっちは治安が悪いって……」
男「平気平気。心配しすぎだって」(リモコンつける)
   
アナウンサー(録音音声)
 「おはようございます。朝のニュースをお届けします。最初のニュースです。
  D地区でまた強盗事件が発生しました。被害者は全治六か月の重傷です」

妻「ねえ……」
男「だ、大丈夫だよ。強盗だって僕みたいな貧乏人狙わないって」
妻「でも……」
男「それに治安が悪い分給料も良かったんだ。
  1日で7500ジュエル! これで今月は楽になるよ」
妻「うん……あ! じゃあ、これ! お守り持っていって」(首にさげる小さな袋)
男「これ、エリが大切にしてるやつだろ? いいよ、悪いよ」
妻「いいから!」
男「わかったよ……ありがとう」(首にさげる)
   
アナウンサー(録音音声)
 「次のニュースです。
  昨日、第七研究所が新しいタイプの人工知能を発表しました。
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