君は、きっと解ってない
ーアツシとミホの話ー
君は、きっと解ってない

アツシとミホの話




大学の文化祭。あちらこちらから声がする。
片手にスマホ、反対の手にたこ焼きを持って、アツシが立っている。
キョロキョロとあたりを見まわしていると、電話がかかってくる。

アツシ   もしもし。…だから無理だって。…うん、わかってるよ、忙しいってことくらい。でもさ、俺も忙しいんだよ…

そこに、ミホが走り込んでくる。

ミホ   アツシ先輩!ごめんなさい、遅くなって…

ミホ、アツシが電話をしているのに気がつく。
アツシが電話を終えるのを静かに待っている。

アツシ   …うん。…だから、ごめんね。切るよー、じゃあねー。(電話を切る)
      …おつかれ、ミホちゃん
ミホ   おつかれさまです!ごめんなさい、遅くなっちゃって…
アツシ   ううん、大丈夫だよ。忙しかったんでしょ?
ミホ   そうなんですよ!お昼過ぎからたくさん人来て…。無理言って抜けてきちゃいました
アツシ   そっか、そっちも大変そうだね
ミホ   …サナエ先輩ですか?
アツシ   え?あー、電話。そう。なんか、俺んところも今忙しいみたいでさ、戻って来いだって
ミホ   戻らなくて大丈夫ですか?
アツシ   うーん、まあ、大丈夫だよ。サナエもいるわけだし、なんとかしてくれるでしょ。
…って、どうしたの?
ミホ   アツシ先輩、それ、たこ焼きですか?
アツシ   これ?うん、たこ焼き。さっき友達に押し売りされてさ。食べる?
ミホ   いいんですか!?
アツシ   うん。そこ座ろっか

アツシ、ミホ、腰かける。

アツシ   ミホちゃん、たこ焼き好きなの?
ミホ   大好きですー!だって、美味しいじゃないですか
アツシ   うん、そうだね
ミホ   まず、嫌いな食べ物がないんで
アツシ   へえ、そうなんだ
ミホ   (たこ焼きを一つ食べて)ん、これたこ焼きじゃない
アツシ   え、どういうこと
ミホ   …えび焼き
アツシ   え?
ミホ   ちょっと待ってくださいね。(もう一つ食べる)…ん!チーズ!
アツシ   チーズ?
ミホ   すごいですよ!このたこ焼き、たこじゃなくてえびとかチーズが入ってるんです!
アツシ   え、たこじゃないの?詐欺じゃん
ミホ   食べてみてくださいよ、アツシ先輩も!
アツシ   えー

アツシ、たこ焼きを一つ食べる。

ミホ   どうですか?
アツシ   …キムチだ
ミホ   キムチ!美味しいですか?
アツシ   …美味しい
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