嘘屋

(うそや)
初演日:2016/3 作者:穂村一彦
『嘘屋』

【役者】5〜6(男1〜2 女3 不問1)

 1.女 :主人公。20代。名前はリカコ。
 2.店 :嘘屋店主。怪しげな老婆。マントで顔は半分隠れている。
    (老婆でなく、男老人でも怪しげなセールスマンでもよい)
 3.母 :リカコの母。
 4.父 :リカコの父。
 5.近所:インターホンで出てくる近所の人。男女不問。出番1シーンのみ。
     舞台袖から声のみでもよい。
 6.男 :主人公の婚約者。出番1シーンのみ。
     実際に出てきても、出さずに主人公のマイムのみでもよい。

【上演時間】30分

【あらすじ】
「どんな嘘でも買い取ります。どんな嘘でもお売りします」
 嘘を売買できる奇妙な店『嘘屋』
 リカコは自分の嘘を200万円で売ってしまう。
 それは「私は浮気なんてしていない」という決して手放してはいけない嘘だった。
 売った嘘はもう使えない。200万と引き換えに浮気がばれて婚約破棄されてしまった。
 途方にくれたリカコはもう一度嘘屋を訪れる。
 大きな嘘ほど、より高い値段がつく。
 それを聞いて、入院中の父親についている嘘を思い出した。
「本当は癌で余命半年なのに、ただの胃潰瘍だから心配ない」という嘘。
 この嘘を売ったら父親に真相がばれてしまう。
 でも、その嘘の値段は一千万円。金に目がくらんだリカコは……
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【オープニングBGM 奇妙な恐ろしげな音楽】

店「いらっしゃいませ、お客様。嘘屋へようこそ。
  当店ではありとあらゆる嘘を取り扱っております。
  嘘も方便。嘘八百。嘘から出たまこと。嘘つきは泥棒の始まり。
  信じる者は救われる。正直者が馬鹿を見る。
  いえいえ、罪悪感など必要ありません。
  嘘は人生の潤滑油。生きていくのに絶対に必要なものです」
  
女「ああ、もう! なんで起こしてくれなかったの!?」
母「お母さん、ちゃんと起こしたってば」
店「嘘」
父「朝くらい一人で起きれなくてどうする?」
母「そうよ。これからは逆に、リカコがタダシくんを起こしてあげる立場になるのよ」
女「結婚したら、ちゃんとするってば」
店「嘘」
母「あ、お父さんも準備して。病院の予約10時だから」
父「必要ないと思うがなぁ。ただの寝冷えだろ。いまは全然痛くないし」
店「嘘」
母「念のために検査しておいた方が、お父さんだって、安心できるでしょ?」
父「別に、もとから不安になんて思ってないんだが……」(退場)
店「嘘」
女「いってきまーす」(退場)
母「いってらっしゃい。あ、リカコ!
  タダシさんにこないだのおみやげのお礼言っておいて!
  あれ、すごくおいしかったって!」
店「嘘」
  
店「さあさあ、ぜひ当店へ立ち寄りください。
  どんな嘘でもお売りします、どんな嘘でも買い取ります。
  当店をどう使っていただくかは、お客様しだい…………」

【BGM フェードアウト】
     
女「もしもし? (携帯電話)
  うん、いつものとこ。もうついてるけど。え、電車が?
  あーいいよ。10分くらいでしょ。このへんで待ってる。うん、じゃあね。
  ふぅ……ん? 嘘、屋? こんなところにこんな店、あったっけ?」
  
店「いらっしゃいませ、お客様。嘘屋へようこそ」
女「嘘屋……ってなに?」
店「その名の通り、嘘を取り扱っています。
  どんな嘘でもお売りします、どんな嘘でも買い取ります」
女「嘘を、買い取る?」
店「たとえば、あなたの場合……ふむふむ、婚約者に対してついている嘘」
女「しっ、失礼ね! 私は彼に嘘なんてついてないわ」
店「なるほど……『愛する男性は婚約者だけ』という嘘ですか」

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