君は、きっと解ってない
ーコウタとアユミの話ー
君は、きっと解ってない




夏の昼下がり。コウタの部屋。
床に寝転がりダラダラしているコウタ。
階下から、母親の「コウター、アユミちゃーん」という声。
適当に返事をするコウタ。
すると、ものすごい勢いで階段を駆け上がってくる足音がし、部屋の扉が勢いよく開かれアユミが入ってくる。


アユミ   コウタ!
コウタ   なんだよ、いきなり
アユミ   ミホのこと振ったでしょ!
コウタ   あー
アユミ   なんで!?ねぇ、なんで!?どうして!?
コウタ   うるせぇ、アユミ。暑苦しい
アユミ   だって、意味わかんないし。なんでミホのこと振ったの
コウタ   えー。だって別に好きでも何でもなかったし
アユミ   なにそれ、信じられない!だって、ミホだよ。ミホに告られたんだよ!
コウタ   …だから?
アユミ   だーかーらー、ミホだよ。ミホみたいなめちゃくちゃかわいい子があんた見ないなやつのことを好きだって言うんだよ!
コウタ   まぁ、ヤマダがめちゃくちゃかわいいってのはよくわかる。けど、「あんたみたいなやつ」ってどういうことだ
アユミ   あーあ、ほんとぜいたく。最低。ミホがかわいそう。あの子泣いてたんだよ
コウタ   そんなこと言われたって、しょうがないだろ、
アユミ   好きじゃないんだから!でしょ。あー、コウタがそういうやつだってことはわかってたけどさー
コウタ   なんだよ、それ
アユミ   コウタ、一回まじめに考えてごらん。かわいい、癒し、天使のミホを振って、この先、クズ、バカ、アホのあんたのことを好きになってくれる人が現れるだろうか、いや、現れない!
コウタ   おいおいおい、なんでおれはそんなに貶されているわけ?
アユミ   女の子泣かせておいて、しれーっとした顔しちゃってさ。あー、やだやだ
コウタ   じゃあヤマダと付き合えばいいのかよ!
アユミ   そういうこと言ってるんじゃないの!
コウタ   意味わかんねぇよ!
アユミ   あー、もう!あっつい!…コウタ、お茶!
コウタ   おれはお茶じゃねぇ
アユミ   お茶!
コウタ   …はぁ。はいはい


コウタ、立ち上がり、お茶を取りに行く。


アユミ   あー。あっつー


アユミ、暑さに耐えかね、シャツを脱いでしまう。


アユミ   コウター
コウタ(声) あー?
アユミ   なんかTシャツ貸してくんない?
コウタ(声) はぁ?なんで
アユミ   いいから。もう勝手に探すよ
コウタ(声) え、おい、ちょっと待てよ!


勝手にタンスを開けるアユミ。
お茶を持ってあわててコウタが戻ってくる。

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