濃セ異敵

(こせいてき)
初演日:2016/7 作者:空色こうもり
登場人物紹介
   
  三年 
  ・光井日和【ミツイヒヨリ】 (部長) 
   演劇部の絶対的権力者。部長は肩書でありニックネーム。本人的にはもっと面白いあだ名が欲しいと思っている。漢文大嫌いというよりは、今心が折れているというだけ。案外メンタル弱い。
 
  ・山郷里子【サンゴウリコ】 (サンゴ)
   演劇部の被害者。部内一の運動神経を誇り、演技における動きのキレも部内一なので、その点で部員達から実は尊敬されていたりする。(本人がそれを知ることはない)
 
  ・木野桜 【キノサクラ】  (キノ)
   演劇部の危険因子。本気を出せば部長を凌ぐ権力を発揮できると思われるが、部長のやることは信頼しているので、基本悪ノリして楽しむスタイル。演劇部以外では常識人のフリをする。
 
  二年
  ・星谷聖 【ホシヤヒジリ】 (キララ)
   演劇部のバカ。もしくはアホ。だけどみんなに愛されて世渡りだけは上手いタイプ。何故高校に入学できたのかについては謎。最近本名を認識してもらえないのが悩み。
 
  ・音羽琴美【オトワコトミ】 (ドレミ)
   演劇部の歴女。そしてキララのお守り役。普段は飄々としていてノリがいい。キララの横にいるだけで常識人に見えるマジック。歴史は日本史も世界史もそれに関する文学も全部好き。
 
  一年
  ・紅月照 【アカツキテル】 (照)
   キノの手下……というのはノリのポジションなので、特別尊敬しているとかそういうのはない。比較的誰とでも仲良くできるタイプ。このメンバーでは一番努力家かもしれない。
 
  ・水川海 【ミズカワウミ】 (海)
   純粋すぎるジャックナイフ。常に礼儀正しく失礼な態度のため人付き合いはあまり得意ではない。しかし部内は居心地がいいらしい。役者だけでなく裏方も率先してやる。

   
   
  ――― 開幕 ――― 
  
  演劇部の部室。部長以外の部員達はストレッチや雑談やトランプや睡眠など、各々好きなことをしている。更衣室(がなかったら舞台袖)から勢いよく部長登場。
   
  部長「はーい、全員集合」
   
  各々やっていたことを引き上げて部長の周りに集まってくる。キララだけは寝ている。
   
  部長「集合」
   
  寝ている。
   
  部長「(キララの耳元で)目の前には崖逃げ道は無く刃物を持った犯人はジワリジワリと距離を縮めていき心臓がどくりどくりと嫌な音をたて汗が背中を流れ落ちて    いk…」
  キララ「こおーろおーさあーれえーるううーーーー!」
  サンゴ「起きた!」
  キノ「あれってホントに効果あるんだね」
  ドレミ「キノ先輩、なんでこっち見てるんですか」
  部長「おはようキララ」
  キララ「あ、おはようございます部長」
  部長「ちなみに今は放課後だぞ?」
  キララ「ああ、そうですね。こんにちは部長」
  キノ「えーーー、だめ?」
  ドレミ「そういうのは海にして下さい」
  海「!!!??」
  部長「……放課後ってどういう意味だか分かるかい?」
  キララ「あふたー・すくーるってやつですね!」
  照「キノ先輩、私も混ぜて下さいよー」
  海「照まで!?」
  照「海もいいですけど、サンゴ先輩なんかも面白いと思いますよ〜」
  サンゴ「え!?何!?」
  キノ「もちろん、それは最後のお楽しみ♪」
  サンゴ「なにこれ超ホラー!!」
  部長「ちょっと外野、黙って」
  サンゴ「いや、でも私の生死に関わっ…」
  部長「黙れ」
   
  一同黙る。
  キララ、何かを察する。皆に助けての目線。
  皆はご愁傷様のポーズ。
  死の予感。
   
  部長「………放課後は……」
   
  キララに向かってユラユラと歩き出す。その光景はさながら崖を背にジワリジワリと距離を縮められていく恐怖に以下略。
   
  サンゴ「あの夢…」
  キノ「正夢になっちゃったねー…」
  全員(キララと部長以外)「ご愁傷様です」
  部長「部活のお時間、だろぉーーーがぁぁあ!!!」
  キララ「ぎゃああああああ!!」
   
  なんか関節技っぽいのをかける。
  キララはしばらくうめいていたが、後、白目をむいて事尽きる。
   
  ドレミ「出た…部長の必殺技…」
  照「名前は特に無いけど…」
  海「あの技からは、誰も逃れられない…」
  部長「(何事も無かったかのように)さあみんなー!部活はじめるよー!」
  全員(キララ以外)「はーい」
  部長「キララ起きろー」
  ドレミ「部長―、それはさすがに酷でーす」
  部長「ちぇー、誰だよ必殺技かけたやつー」
  照「部長―、誰でも必殺技持ってると思わないで下さーい」
  部長「あ、そっかー。うっかりしちゃった☆てへっ」
  海「部長…、それはボケですか?素ですか?」
  部長「海。純粋な言葉ほど人を傷つける事もあるんだよ」
  サンゴ「ほら、海がちゃんとツッコまないから部長が…」
  部長「そこ喋らない」
  サンゴ「扱いひどくない!?」
  部長「仕方ないなー。キノ、蘇生」
  キノ「承知」
   
  ちなみにキノの蘇生法とはくすぐりである
   
  部長「えー、というわけで、そろそろ一年生も部活になじんできた頃だと思うので、大会に向けて本格的に…」
  キララ「あはははははははは!!えっ!?ちょっ…、キノ先輩、やめてあははははははは」
  部長「キノー、静かにやってー」
  キノ「はーい」
  部長「えーなんだっけ。あ、そうそう。大会に向けて本格的に…」
  キララ「いや、それはおかしいって!!?き、キノ先輩!!薬品は止めてください!!」
   
  キノとキララの追いかけっこ勃発。
   
  海「部長…そろそろ助けた方が…」
  照「見てる分には面白いんすけどねー。さすがにキララ先輩が可哀想になってきたっス」
  部長「やれやれ…」
   
  追いかけっこしていた2人の首根っこをつかんで座らせる。とても慣れた手つき。
   
  部長「優しい一年生たちがこういうから今日の所は多めに見るけど、今後私の集合の掛け声を無視したら………コロス」
  キララ「はい。以後気をつけます」
  キノ「ちぇー。もう終わりっすかぶちょー」
  部長「まだやり足りんか」
  キノ「全然(超笑顔)」
  部長「……えー。危険因子は置いといて、さっきの話の続きに戻るけれども。あー、なんだっけ。もういいや」
  全員「ええっ!?」
  部長「長いところは割愛して…。はい、これみて」
   
  布で隠れている黒板
   
  サンゴ「見えませーん」
  部長「まあそう急(せ)くな。物事には順序ってもんがあるでしょうよ。分かる?これが演出ってヤツだよ演出。そんなことも分からないからお前は…」
  サンゴ「ごめんね!!私が悪かったよ!!存在か?存在が気に食わないのか!?」
  ドレミ「サンゴ先輩…しー(喋るなのポーズ)」
  部長「えー、では、我が演劇部の今後の目標を発表します!キララ!ドレミ!効果音!」
  二年「合点!」
  キララ「どんどこどんどこ……(口で効果音。変なダンスとかつけても可)」
  ドレミ「(なんか太鼓とかシンバルとか使って効果音)」
  二年「じゃじゃーーーん!!」
  部長「(布を剥ぎ取る)創作劇!!!」
   
  一瞬の間
   
  全員「そうさくげきーーーー!!?」
  部長「そう!創作劇!!」
  サンゴ「創作劇って…本やネットなどで探してきたすでに存在する台本で劇を作るのではなく」
  キノ「ちなみにそういった台本に少し手を加える事を潤色というがそういうことでもなく」
  キララ「まさにゼロから設定を立ち上げキャラを作りセリフを生み出し」
  ドレミ「更に時間配分や大道具、衣装、音響、照明、場転などに気を配り現実に演劇として行えるものとし」
  照「その台本を基に更に手を加えながら作っていく舞台…その創作劇のことですか!?」
  海「そんな難しいこと、私たちに出来るわけ無いじゃないですか!!」
  部長「とっても分かりやすい説明をありがとう」
  サンゴ「いや、でも部長、実際問題創作劇はハードル高いって」
  キノ「大体何で急に創作劇?」
  部長「えー、やりたくないのー?」
  サンゴ「いや、やりたいけどさー」
  キララ「はーい。どんな台本書くんですかー?」
  照「もう結構書けてたりするんですかー?」
  部長「……はい?」
  キララ「え?」
  照「部長が台本書いてるって話しじゃないんですか?」
  ドレミ「ふっ…。2人とも甘いな。部長の性格から事後報告なワケ無いでしょうが」
  海「部長は台風のような人ですからね」
  キララ「台風?」
  照「どゆこと?」
  海「自分のやることには必ず他人を巻き込まないと気がすまない」
  キララ・照「おおーーー(ぱちぱち)」
  ドレミ「海は優しくていい子なんです部長。ちょっと素直すぎるだけで」
  部長「分かってる…。分かりすぎてるからより辛いんだよドレミ…」
  サンゴ「海は部長に対抗できる唯一の刃物だからねー」
  海「??」
  キララ「そこら辺の刃物じゃ傷一つつきませんからね(部長)「キララ」ごめんなさい」
  キノ「つまり。部長はこう言いたいわけだ」
  全員(部長以外)「台本をこれから皆で作りたいと思います!」
  キノ「だよね?」
  部長「……返す言葉もございません」
  照「……ゼロから?」
  部長「その通りでございます」
  海「やってみたいキャラクターとか…」
  部長「考えてもございません」
  キララ「やってみたいシチュエーションとか!」
  部長「皆無でございます」
  ドレミ「使ってみたい音響とか、大道具とか」
  部長「私、裏方は任せっきりでしたので」
  サンゴ「そういうのはちょっと無責任なんじゃ…」
  部長「ああ?細かい事グダグダうるせえんだよ」
  サンゴ「だからなんで私だけ!?」
  部長「ああ!!もう!うるさい!!やる!!やるといったらやる!!だから誰か台本書きやがれコノヤロ!!」
  キララ「まさに台風だなー」
  キノ「しかもさりげなく丸投げしてるし」
  ドレミ「はーい!何でそんなに創作劇にこだわるんですかー」
  サンゴ「そういやそうだ。他にもやりたい台本とかあるって言ってなかったっけ?それじゃだめなの?」
  部長「そう!そこが割愛した所なんだけども!…話さなきゃだめ?」
  サンゴ「さすがに」
  海「お願いします」
  部長「やりたいから!以上!」
  一同「………台風」
  部長「なんだよその態度はー」
  ドレミ「はーい!どこに割愛する要素があったのかわかりません!」
  キララ「はーい!割愛って言葉の意味が分かりません!」
  キノ「一年!辞書!」
  照「はーい!」
  海「キノ先輩も分かって無いんですか!?」
  サンゴ「え?ホントにその一言だけ?そんだけで皆に書けって言ってんの?」
  部長「いやー、なんか大会で有利になるとか、著作権料払わなくて済むから、今年部費削減されたしそっちの方が都合が良いとかなんかそんなことも考えた気がしたりしなかったりするけど、まあ主な理由は私がやりたいからかなー」
  サンゴ「先にそれを言え!!」
  キノ「部長らしいけどね」
  部長「で、とりあえず、台本を作るって言っても柱が無いんじゃブレていくだけだから、各自で台本を書いてきて、使えそうなやつを皆で推敲していく、って形にするから」
  キララ「無茶振り!!」
  ドレミ「しかもすでに決定事項!」
  照「え、無理ですよ!私台本なんて書いたことありません!」
  サンゴ「そうだよ、言い出したんだから部長がとりあ…」
  部長「異論は認めない」
  サンゴ「せめて最後まで喋らせて!」
  キノ「書くといっても…。どんなの?」
  部長「あー、何でもいいよ。その作品がボツになっても、他の人の台本で使える所とかあるかもしれないし。というわけで、一、二年は来週までにとりあえず一本かいてくること」
  一、二年「えええええ!!!???」
  キララ「むむむむむりです!!」
  ドレミ「来週って、いきなりすぎません!?」
  照「そうですよ!!」
  海「大体何で私達だけなんですか!?」
  部長「あー、それはだな。サンゴ、説明」
  サンゴ「うえぇっ!?あー、あれだよ、ホラ。三年は今週末模試があるからー…」
  部長「というわけだ」
  キララ「後付けだって分かってるのに言い返せないぃぃ」
  キノ「はっはっはっ。頑張ってくれたまえ後輩たちよ」
  ドレミ「なんて分かりやすい態度なの」
  海「自分が書かなくて良いってなったらこれですからね」
  キノ「大体、部長がそう言い出したら天地が逆転するくらいの理由が無ければ必ずそうなるんだからあきらめなさい」
  海「でも部長…私台本なんて書いたことありませんし…。それに台本って一週間で書けるようなものなんですか?」
  部長「分からない!」
  キララ「そんなぁ!!」
  ドレミ「あんまりです!!」
  部長「あーーーー、じゃあ!短いやつでもいいし、なんなら途中まででいいし…、最悪設定だけでもいいや」
  照「わー…。なげやりー…」
  部長「では後輩諸君、よい作品に仕上がるよう、せいぜい一週間もがき苦しむんだな!!」
  サンゴ「部長それ悪役のセリ」
  部長「はーいそれじゃあ基礎練から入りまーす」
  一同(サンゴ以外)「はーい」
  サンゴ「………あと一文字くらい言わせてよ」
   
  暗転。
   
  キノ「一週間後」
   
  明転。全員部長の周りに集まっている。
   
  部長「さあ後輩諸君!分かっているとは思うが、今日が台本の締め切り日だ!」
  サンゴ「(キノに)楽しみだなー」
  キノ「私達はねー」
  部長「えーっと、そうだな、とりあえず……。ちゃんと一作書き上げたやつ、挙手!!」
   
  キララ、超張り切って挙手。
  一瞬の静寂。
  キララ猛アピール。
   
  部長「なんだ、誰もいないの。やっぱり一週間じゃ厳しかったかな」
  キララ「何でログアウト!?」
  部長「……キララかぁ」
  キララ「何で露骨に残念そう!?」
  ドレミ「キララ……すごい」
  キララ「ドレミ!!」
  ドレミ「いつの間に露骨なんて難しい言葉が使えるようになったの?」
  キララ「…海ぃ(泣きつく)」
  海「……ほらほら、よしよし」

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