中二病からの脱出

(ちゅうにびょうからのだっしゅつ)
初演日:0/0 作者:あさひ


中二病からの脱出!

CAST 
 5人 男(3)…神崎涼人(かんざきりょうと)、実況太(じつきょうた)、解説・二界堂賢(にかいどうまさる)
    女(2)…チェーニ、氷山雪葉(ひやまゆきは)
  ※母が声のみで少しだけ登場

 番組の始まる音(ナイトスクープ的な)。眠っている涼人。

実況    さあ、今宵も始まりました、「隣の中二病患者さん!」実況はおなじみ実 況太と、
      前回に引き続き、逢魔ヶ刻大学病院 中二病専門医の二界堂賢さんをお呼びしております。
      二界堂先生、お願いいたします。
解説     お願いします。
実況     まず、中二病がどういうものか、簡単に説明していただけますか?
解説     はい、中二病というのは思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好を揶揄したもので、
      DQN系・サブカル系・邪気眼系があり、現在その問題は深刻化しています。
実況     なるほど。今回の患者さんは高校生、未だに邪気眼系中二病を発病中の神崎涼人さんです。
解説     今回はどんな症例が見られるか楽しみです。

 F.Iで地明かり
 眠る涼人の姿が見える。

涼人     くっ…やめ、やめろ…っ…!
実況     始まって早々魘(うな)されているようですね…
解説     いや…これは。
実況     なんでしょう。
解説     自演ですね。
実況     はい?
解説     魘されている自分、影があってかっこいいとでも思っているのでしょう。
実況     初っ端から痛いですね…。
涼人     うっ、≪領域外部(アウトサイドフォース)≫が…俺の、呪われた力が解放されてしまう…
実況     …。これ、しばらく続くのでしょうか。
解説     そろそろ大袈裟に目が覚めて「夢か…」とでも言い出すはずです。

 涼人の様子を窺う二人。
 暫く魘され(たふりをす)る涼人。

???     (声のみ)マスター、マスター。大丈夫よ、マスター。
実況     おや?この声は…
???     マスター、暗黒の夜はもう明けたわ。
実況     誰もいないようですが…。
解説     妖精の声。
実況     と、言いますと!?
解説     妄想です。
実況     はぁ。
涼人     …あぁ、そうか。ここは…
解説     よく見てください。彼の口元を。
???     そう、ここはあの場所じゃないわ、マスター。
実況     若干動いていますね。
解説     この声は彼の裏声でしょう。あの体勢では裏声を出すのは辛いでしょうがね。
      では、彼の見ている世界を私達にもわかりやすいよう可視化してみましょう。
実況     放送上の都合で彼のイメージ通りに再現できていない場合がございます。ご了承ください。

 チェーニが放送の都合上不自然な登場をする。
 涼人の腹話術(笑)からチェーニに代わる。

涼人     夢、か…
チェーニ  マスター、目が醒めたのですね。
涼人     あぁ…チェーニか。また…あの夢を見ていたらしい…
      毎日のように同じ夢に魘されて…情けないな、俺は…
チェーニ  そんなことありません…。
      高校の制服を着たまま眠ってしまっていたのですから、
      昨日の≪闇を齎す者(ダーク・ブリンガー)≫との戦闘で余程体力を消費していたのでしょう。
涼人     以前ならあんな雑魚にひけを取る俺ではなかったのだがな…
チェーニ  それに、魘されるほどマスターに強い思いがあるということなんですから…
      しかし…もう、忘れてしまっても良いのでは…
涼人     そんなこと、そんなことできるわけないだろ…っ
      あの惨劇を忘れることなど…俺には…うっ…うぅ(頭を抱える)
チェーニ  マスター!思い詰めることはありません…マスターは悪くはないのですから。
涼人     いや、俺はあの罪を、たとえ生まれ変わったとしても
      永久(とわ)にこの身に背負い続けなければいけないんだ…
チェーニ  マスター…マスター、私はもういいのですよ。
      今のマスターが幸せに過ごしてもらえればそれで…
涼人     チェーニ…
実況     いつ終わるのか、この茶番は。
解説     ここまでで彼がかなり重度な患者であることがわかります。
      しかし、重度な中二病患者と向き合うには、
      最後まで彼らの茶番に付き合ってあげることが必要となります。根気強く見守りましょう。
チェーニ  さあ、マスター、夢のことは一旦忘れて、朝の儀式をしてしまいましょう。
涼人     あ、あぁ。そうだな。
      …ふぅ。闇に生きていた俺が光の満ちた時に起きるのは辛いものだな。
実況     低血圧なのでしょうか。
チェーニ  マスター、辛いのであれば…
涼人     何を言っているんだ、今の俺は神崎涼人。至って普通の高校生だ。
      高校生は朝に起きて学校に行くもの。そうだろ?
チェーニ  はい、マスター。
実況     この言い訳使えますね。
解説     中二病患者のほとんどがきちんと学校に通っている理由はここにあったのでしょうか。
      参考になります。
涼人     やれやれ、酷い恰好だな、俺は…

 涼人、身だしなみを整えはじめる。鏡の前でカッコいいポーズをとったりしていると尚良い。

チェーニ  すみません、私が精神体でなければ…
涼人     いいさ、これくらい。お前に頼らなくてもできる。
      …どうだ、何処かおかしくないか?
チェーニ  大丈夫ですよ、マスター。高校生にしか見えません。
涼人    そうか。…この生活にも慣れてきたものだな。

 涼人、無造作に日独辞典を開く。
 「あ、この言葉かっこいい」とか呟いていると良い。


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