演劇部員募集&新入生歓迎用短編
「のぼる君とお姉さん」新入部員勧誘version 

    【登場人物】   腹話術のお姉さん 
             のぼる君(腹話術の人形)

        お姉さんが左手をのぼる君の背中に入れて運んでくる形で登場。
        二人とも椅子に座る。のぼる君の椅子は少し高い。
        お姉さんの膝の上にいるように見えると良い。
        以降、演出により下記1・2の方法、或いはその他でも可。
        1.Aはお姉さんが話し、Bはのぼる君が人形の声で話す。
        2.全ての台詞はお姉さんが話し(お姉さんの声でA、声色を変えてB)、のぼる君はBに合せて腹話術の人形らしき動きをする。


A    みなさん、こんにちはー。演劇部の希望の星、ミクちゃんです。これから演劇部の紹介をします。さ、のぼる君からも。
B    オマエラ、よく聞いとけよ。
A    え、ちょっと、“どうぞ聞いてください”、でしょ!?
B    どうか聞いてやっておくんなせえ。
A    なんか、サムライみたいね。
B    かたじけない。
A    ミクちゃん、よくわかんないんだけど…
B    自分でミクちゃんとかって言うのはどうなんだろう。
A    う…、いいじゃない、自分で言わないと他に誰も言ってくれないんだから。
B    悲しすぎる〜。
A    じゃ、お姉さん、って呼んで。
B    いくらくれるの?
A    お金!?お金取るの?
B    イクラだよ、イクラ。鮭の卵。
A    そのイクラ…
B    天然イクラと人口のを見分けるには、お湯に入れて白くなるのが本物だよ。
A    何の話?
B    キャビアはチョウザメの卵だよ。
A    もう…。わかった。イクラ、あげるから。そんな事より今日はのぼる君から皆さんにお願いがあるんでしょ?
B    あ、そうだった。それを言わないとおやつがもらえないんだった。
A    それは内緒って………で、何をお願いするんだっけ?
B    皆さん、演劇部は楽しいです。芝居なんてできないー、と思っているあなた、あなた、あなた。(客席を指差して) ウソ、つけるでしょ?ウソさえつけるなら、もうあなたは役者です!
A    なんか、微妙な勧誘。
B    お姉さんもウソつけるでしょ?
A    お姉さんはウソなんかつかないもん。
B    うわぁ、これこそ最大のウソ!
A    そ、そんなこと…
B    お姉さん、体重何キロ?
A    え?うーんと…。リンゴ3個分♪
B    ああ、そんな見えすいたウソを。
A    の、のぼる君は上手にウソつけるの?
B    カンタンだよ。
A    じゃ、やってみて。
B    さっき、冷凍庫にあったお姉さんのアイス、ひとつ食べちゃった。
A    えーっ!?なんで?ひどーい!
B    ふふん、ウソだよ。
A    あ、そうか、ウソなんだね。
B    うん。
A    良かったー。食べるの楽しみにしてたんだl。
B    ひとつ食べたってのはウソで、ホントはひと箱全部食べちゃったんだ。
A    ええ、そんな…。私のガリガリ君…
B    ごちそうさま。
A    もう、ウソはいい。
B    わかった、じゃ、今日はもう、ウソつかないよ。
A    それは、ウソじゃないのね?
B    まあね。まだ言わなきゃならない事が残ってるんだけど。
A    どうぞ。
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