はたしてカニは生まれるか

(はたしてかにはうまれるか)
初演日:0/0 作者:鴨鹿



        はたしてカニは生まれるか



    登場人物

蝮    マムシ
蛤    ハマグリ
嵐    アラシ



        =幕



    1.カニバサミ



    青空
    浜辺
    舞台上には見えないが、黒い海と針の森がある
    ボロの服を着た子供(蛤)がいる
    顔は汚れ髪もボサボサで清潔感がない
    手で穴を掘っているように見える
    同様な姿で蛤より少し年上の子供(蝮)が壊れかけのバケツを持って現れる



蝮    ハマグリ。ハマグリなにしてんの。こっち手伝ってよハマグリ。

蛤    カニだあ!

蝮    なに。

蛤    マムシ、カニを見つけた、カニだよカニ!

蝮    カニ?

蛤    ほら、これ、カニだよ。

蝮    ・・・。

蛤    カニでしょ。すごいやったあ。

蝮    はさみだけだね。

蛤    でもカニでしょ。

蝮    ザリガニかもね。

蛤    ザリガニってカニじゃないの。

蝮    カニじゃないでしょ。

蛤    はさみ持ってたらカニじゃないの。

蝮    エビだってはさみ持ってるよ。

蛤    そうなの。

蝮    そう。小さいけど。

蛤    そうなのか。



    蛤は手に持ったはさみを眺める



蛤    マムシ。

蝮    なに。

蛤    カニってさ、

蝮    ザリガニかもだけどね。

蛤    カニかもしれないじゃん。・・・カニってさ、ハサミ失くしてもまた生えてくるんでしょ。

蝮    そう書いてあった。

蛤    じゃあさ、ハサミからカニは生まれるのかな。

蝮    え。

蛤    ねえマムシ。育てようよカニ。

蝮    ハマグリさ・・・。好きにすれば。

蛤    やったあ。

蝮    その代り。

蛤    なに。

蝮    こっちも手伝ってね。

蛤    ・・・。

蝮    ハーマーグーリー。

蛤    わかったよお。もう。

蝮    これ、捨ててくる。

蛤    バケツ。

蝮    あっちに空のいっぱいあるから。

蛤    はーい。



    蝮、バケツをもって針の森の方へ去る
    蛤、ポケットにハサミを入れて黒い海へ向かう
    蛤が大きめのボロバケツを重そうに持って戻ってくる
    蝮が戻ってきてそれを手伝う
    二人とも針の森へ消え、しばらくして2人そろって戻ってくる



蛤    マムシ。

蝮    なに。

蛤    なんで捨てちゃうの。黒い水。

蝮    なんでって、汚いじゃん。

蛤    飲めないの。

蝮    飲めるもんか。

蛤    飲んだの。

蝮    飲まないよ危ない。

蛤    危ないの。

蝮    臭いでわからない。無理でしょ。

蛤    んー。わかんない。あ、でも、おうちに戻ると薄いって感じるよ。

蝮    ・・・そっか。

蛤    どうしたの。マムシ。

蝮    いや、気にしないで。

蛤    そう。

蝮    ・・・ハマグリ。

蛤    なに。

蝮    いつかさ、青い海に行ってみようよ。

蛤    あおい・・・うみ?

蝮    うん。あの黒くなった海じゃなくてさ、この空みたいに真っ青な海。絶対行こう。

蛤    んー。うん。

蝮    なに。

蛤    全然わかんない。

蝮    青い海?

蛤    うん、本当にあるの。

蝮    あるよ。きっとある。

蛤    そっか。それなら見てみたいかも。



    ゴトゴトと車輪が舗装されてない道を渡る音



蛤    ん?

蝮    なんだろう。



    よれたコートに汚れた帽子を被った大人(嵐)がリヤカーを引いて現れる
    リヤカーには大量のポリタンクと麻袋が入っていた



嵐    ゴメーン、君たちさー、ガソリン探してるんだけどー。

蝮    なんだって。

蛤    なんですかー。

嵐    ごめんごめん。仕事中かな。うっ・・・。



    嵐、咳き込む
    少し長い



蝮    あー、臭いですか。

嵐    そんなこと・・・。いや、気にしないで気にしないで。ね。

蛤    ねえ、だれ?

嵐    え、ボク?

蝮    ハマグリ。

蛤    なに。

蝮    いいから。

蛤    えー。

蝮    ガソリンをどうするんですか。

蛤    マムシ、がそりんって知ってるの。

蝮    いいから。

嵐    マムシ、に、ハマグリ・・・もしかして名前?あ、いやごめんごめん。

蛤    変かな。

嵐    だってそれって。

蝮    もういないそうです。

嵐    え。

蝮    だから、ボクたちのとこでは忘れないようにいなくなった生き物の名前を付けてます。

嵐    外はそんなことを・・・。

蝮    ・・・。

嵐    あ、いや、うん。あー・・・うん。

蝮    中の人が何の用ですか。

嵐    中の、人、か。

蝮    なんです。

嵐    マムシくんは「中」を知っているんだね。



    嵐、帽子を取る
    頭は包帯で巻かれて左頬まで巻いている



嵐    前に、こっち来た人にさ、ガソリンがあるって聞いたから。あ、秘密なんだけどね。まあ、どこにあるか、までは教えてくれなかったけど。だから、探すの大変でさ。で。それ、たくさん持って帰らなきゃなんだよね。

蛤    どうしたの、それ。

嵐    ああ、うん。ちょっとね。こっちにあるんだよね。多分。

蝮    ・・・はい。

嵐    お礼はするからさ。

蛤    え、なになに。なにかくれるの。

蝮    ハマグリ。

蛤    えー。

嵐    あー、そこにあるさ、袋の中、好きなの取って行っていいよ。あ、でも帰りの分の食べ物もあるから、全部はやめてね。



    蛤、リヤカーまで駆けてく



蝮    ちょっと。


面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。


ホーム