おばけだぞ
おばけだぞ
   場所 小さな遊園地の一角にある、古びたお化け屋敷。

   時  現代

   人物 お化け屋敷の責任者    巴
      そこで働くお化けたち 由紀・良子・寛子・弓子・僚太
      遊園地のガードマン    飛鳥
      お化け屋敷の客(姉妹)知美・夏美
      遊園地に巣くうスリ  彩乃

プロローグ

   開演までの間、客席を一種不気味な豚の着ぐるみが、こびを売りながら歩き回っ
  ている。二ベルが鳴ると、緞帳の前で、あちらこちらから財布を取り出す。ひと
  つの財布から、嬉しそうに札を取り出したところで、人の気配がしたのか、なに
  もかも懐にしまい込み、逃げ出していく。

第一場

   幕があくとそこはお化け屋敷。女の子が二人、恐る恐る歩いている。

知美  やっぱり恐いよ。
夏美  あたりまえでしょ。恐いからお化け屋敷なの。恐くなかったら詐欺じゃない。
知美  やめればよかったな。
夏美  まったくお姉ちゃんは恐がりなんだから。平気だよ。
知美  平気じゃないよ。今、がたって音しなかった。
夏美  うそ。
知美  したよ。あっちのほう。

   「あっち」とは全然別の方から幽霊(由紀)が登場する。少女達は気付かない。

夏美  あっち?
知美  うん。ちょっと、そっちいかないでよ。
夏美  だって、せっかく来たのに何にもあわないなんてつまんないじゃない。
知美  私、帰る。
夏美  いいわよ、ひとりで行きなさい。
知美  やだ。
夏美  じゃあ、ついてきなさいよ。
知美  恐い。
夏美  じゃあ、ここで待ってるの。
知美  おいてかないで。
夏美  じゃあ、とっとと歩く。

   後ろから幽霊が知美の肩を叩く。

知美  ねえ、誰かが肩を叩いてる。
夏美  ふーん。
知美  ふりむいたほうがいいかな。
夏美  うん。

   知美、こわごわふりむき、幽霊と目が会う。

知美  ぎゃあ!

   知美、夏美を突き飛ばして走る。`その行く手を唐傘お化け(僚太)がさえぎる。

知美  あんたもお化け?

唐傘  そう。
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