人生ゲーム

(じんせいげーむ)
初演日:2012/2 作者:上杉政徳
 
     人生ゲーム


   ◆登場人物
   ◇みなみ……………(♀)とても内向的で自分の気持ちを素直に出せない、はずだった。    
   ◇麻里子……………(♀)みなみの親友。サバサバとしてみなみにお姉さんのように接する。
   ◇悪魔(ユウト)…(ー)優しさを持った悪魔。スーツを着た人間にしか見えない。
   ◇コック……………(♂)自分の仕事に自信と誇りを持っているコック。
   ◇青年………………(♂)作家志望3人組の1人。みなみに好かれている。
   ◇作家1……………(♀)作家志望3人組の1人。とても明るく活発な女性。
   ◇作家2……………(♀)作家志望3人組の1人。大人しいが言いたいことは言う女性。

   ◆初回公演時の舞台配置(あくまでも参考)
   ◇場転がかなり多めなので、舞台転換に工夫が必要。
   ◇舞台に手前の空間、奥の空間の2つを作り、奥の空間は箱馬と平台で高さを出しておく。
   ◇手前の空間で道の場面を作り、奥の空間で店・部屋の2つの場面を切り替え、両方を使い会場の場面を作る。
   ◇店・部屋の場面では照明を全点灯、道の場面では奥の照明を落とす。
   ◇店・部屋の場面からの暗転は奥のみの部分暗転、道の場面からの暗転は全暗転。
   ◇時間経過を表す暗転はフェードアウト、キープ、フェードイン。
   ◇大道具は正方形の箱4つ、長方形の箱4つ。3面を白、3面を黒に塗り、取り回すことで全場転に対応
   ◇長い場転はパーティー会場への転換(着替え済4人で15秒程)他の場転は5秒以内でできました。
   
【1】

    冬、喫茶店に青年・作家1・作家2がいる。少しして青年が荷物を持って帰りだす。
    入れ違うように麻里子・みなみが来店。コックが店の奥から出てくる。

みなみ『あ…』
青 年『あ、すいません。』
みなみ『あの…』

    青年が去る。

麻里子『あーもーしょうがないなー。』
みなみ『だって…どうしたらいいかわかんないし。』
麻里子『さっさと好きですって言っちゃえばいいじゃん!』
みなみ『ちょ、声大きいって…』
コック『いらっしゃいませ。2名様で?』
麻里子『はい。あれ、店長は…』
コック『急に用事が入ったそうで少し外に出ていまして、
    1時間ほどで戻ると聞いておりますが…お知り合いですか?』
麻里子『いえ、ただの常連です。ねーみなみ。』
コック『これは失礼しました。まだ新人なもので…』
麻里子『そうなんですか。じゃあ注文は店長が戻るまで待ったほうがいいかなー』
コック『いえ、料理は僕が作らせていただきます。』
みなみ『え、』
 
    みなみ、不安そうに麻里子の袖を引っ張る。

コック『腕のほうは店長に認めてもらっていますので、安心してください。』
麻里子『ちょっとみなみ、失礼でしょ。』
みなみ『だって…』
コック『お待ちになりますか?』
麻里子『1時間も待てないよー。あたしお腹空いたー。』
みなみ『じゃあ、あの…お願いします。』
コック『では、ご注文が決まりましたらお呼びください。』(去ろうとするがすぐ呼ばれる)
麻里子『オムライスを2つと、食後にホットコーヒーを2つ。』
コック『かしこまりました。少々お待ち下さい。』

    コック、キッチンへ

麻里子『もー、ホントしょうがないなー。』
みなみ『わかってるよ。こういう性格なの。』
麻里子『でもみなみって昔からずっとその調子でしょ?
    怒ってるところなんて1回も見たことないし。』
みなみ『そんなことないよ。私だって言うときはちゃんと言うんだから。』
麻里子『あれ?いつまで経っても好きな男の子に声をかけられないのは誰かなー?』
みなみ『そういうのにはタイミングがあって…。』
麻里子『相手が悪くても、大声出されるとつい謝っちゃうのはー?』
みなみ『あれはつい、びっくりしちゃって。』
麻里子『珍しく1人で出かけたと思ったら紙袋いっぱいにティッシュ貰ってたり。』
みなみ『だって…。』
麻里子『ドライブ中にトイレ行きたいって言えなくて膀胱炎にな(っちゃったのは誰かなー?)』
みなみ『もういいじゃん私のことは。』
麻里子『たまにはバシッと言ってやればいいじゃん。自分の気持ち。』
みなみ『でも私だって麻里子が怒ってるところ見たことないよ。』
麻里子『私はちゃんとストレス発散してるから。カラオケ行ったり運動したり、
    集中できる趣味も大きな夢もあるしさ。
    みなみもなにか趣味を見つけたほうがいいと思う。』
みなみ『私ここのオムライス好きだよ。』
麻里子『そういうのは趣味って言わないの。まあ、確かにここのは美味しいけど。』
みなみ『お店でオムライス頼むと、大体半熟卵で出てくるでしょ?』
麻里子『…言われてみれば。』
みなみ『私それが苦手なんだよね。』
麻里子『あ、そうなの?知らなかった。確かにここのはちゃんと火が通ってるよね。』
みなみ『小さい頃お父さんに、すごいうまいもん食べに行こうって言われて。』
麻里子『お父さんとの思い出の場所でもあるわけだ』
みなみ『うん』
麻里子『そっかーなるほどねー、ここのオムライスが唯一の癒しかー。』
みなみ『そんなこと一言も言ってないでしょ。でもそうなのかな。…唯一の癒し、か。』
麻里子『もう冗談だって。そんなしみじみ言わないでよ。』

    コックが料理を持ってくる。

コック『失礼します。オムライスお2つ、お待たせしました。』
麻里子『わー。美味しそうー。』
みなみ『これ違う…。』
麻里子『え?』
みなみ『これ、違います。』
コック『え?』
みなみ『これ、私の好きなオムライスじゃない。』
麻里子『ちょっとみなみ、…火が通ってないと食べられないって訳じゃないんでしょ?』
みなみ『でもこんなの嫌だ!』
麻里子『子供じゃないんだから!』
みなみ『麻里子さっき言ったよね。ここのオムライスが私の唯一の癒しだって。
    言われて初めて気が付いた。こんなのじゃない!』
麻里子『みなみ!』
コック『味のほうには自信がありますが。』
みなみ『そうじゃない!私はあれじゃなきゃ嫌なの!…帰る。』
    
    みなみ去る。

麻里子『すいません。後でちゃんと叱っておきます。おいくらですか?』
コック『いえ、お代は結構です。勉強不足で申し訳ありませんでした。』
麻里子『そんな、本当にすいませんでした。』

    麻里子、退店。 

【2】

    昼間の道。みなみがやってくる。追うように麻里子が走ってくる。

麻里子『みなみ!なにやってんのよ。』
みなみ『…ごめん。』
麻里子『私に謝らないであの人に謝りなよ。』
みなみ『私、あんなこと言うつもりじゃなくて…』
麻里子『もういいから。
    ま、みなみにだって譲れないことがあるんだってわかったしね。はい忘れ物。(携帯電話)』
みなみ『ごめん…ありがと。』
麻里子『うん。私さっき会社から呼び出されちゃってさ、ちょっと行かなきゃいけないんだよね。』
みなみ『何かあったの?』
麻里子『お客さんからクレーム。後でメールするから、また明日謝りに行こう。じゃね。』
みなみ『あ…』

    麻里子が去る。

みなみ『…クレーム…』

    みなみ、手帳を取り出して携帯で電話をする。

みなみ『も、もしもし。先日、そちらの商品を買った者ですが、商品に、傷がついてて…
    はい。いえ、いいんです。…今後は、気をつけて下さい。』

    電話を切る。再度手帳を見て電話をする。

みなみ『もしもし。よくそちらを利用する者ですが、なんなんですかあの接客は。
    もっとしっかり教育してくださいよ。…はい…もういいです。

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