太陽があの空に昇るとき、それが僕たちの明日。
『太陽があの空に昇るとき、それが僕たちの明日。』
※2011年作成

【キャスト】
岡田 幸一  (おかだ ゆきかず)   大学一年
雪村 麻美  (ゆきむら あみ)    幸一の幼馴染 七年前に死去
黒羽 さくら (くろばね さくら)   幸一の幼馴染
淀井 廉治  (よどい れんじ)    幸一の幼馴染
森谷 ルカ  (もりたに るか)    幸一の幼馴染
岡田 弦充郎 (おかだ げんじゅうろう) 幸一の父

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   七年前の冬の雨の日、岡田幸一の父・岡田弦充郎が営む喫茶店。カウンターに置か
   れたラジオからは、この日の日付や天気などのニュースが流れている。
   隅の席に座り本を読んでいる森谷ルカ。その隣でコーヒー豆で遊んでいる淀井廉治。
   隣のテーブルでは幸一と雪村麻美、そして黒羽さくらがコーヒーを飲みながら談笑
   している。
   幸一がコーヒーを口にする。

幸一   このブラック美味ーっ!
さくら  うるさっ。
幸一   やっぱりコーヒーはブラックに限るよな。この苦味こそがエクセレント、まさ
     に大人の味だね。さくらもそう思わない?
さくら  知らない。
幸一   やっぱり大人な俺じゃないとわからないか、この深い味わいは。
さくら  どこが大人?あんみたいな馬鹿は、まだまだガキんちょガッキーよ。ねぇ、麻
美?   
麻美   う、うん…。
さくら  麻美?
ルカ   間接チューだ!
廉治   え?
ルカ   間接チューだ!幸一、今麻美と間接チューした。
さくら  はぁ?
ルカ   だってそのコーヒー麻美のだもん。
幸一   え?
さくら  そうなの、麻美?
麻美   うん…。
幸一   あー、なるほどそういうカラクリか。道理で甘さもエクセレントなわけだ。お
     砂糖、良い仕事してるね。
麻美   いつも三つ入れるから…。
ルカ   間接チューだー。
廉治   おい、幸一。わざとじゃないだろうな?
幸一   馬鹿、間違えただけだよ。
廉治   じゃあ、俺も間違える。貸せ!
幸一   やだよ。
廉治   お前だけずるい。俺にもファースト間接チューの味を…。
幸一   でも子供には苦いぜ?
廉治   嘘だ。麻美のチューは絶対に甘いんだ。ていうか、お前今甘いって言ってた。
幸一   気のせいだろ。
さくら  いいじゃん、幸一。それ廉治にあげなよ。幸一には私のあげるから。
ルカ   おっ、さくらってば、ダイタン。
さくら  そんなんじゃない。私はただ喧嘩は良くないって思って。
ルカ   またまたー。でもさくらの間接チューは辛そうだよね。
さくら  ルカ、ひどい。私のだって甘いもん。
廉治   ほら幸一、お前にはさくらがホットなチューしてくれるんだってさ。だから、
     さっさと観念してそのコーヒー寄越すんだな。
幸一   やだってば。

   幸一、廉治を振り切ってコーヒーを飲み干す。
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