花火

(はなび)
初演日:2013/9 作者:木村晃純
花火                                 木村 晃純                                    
                  
ヒュードカン。花火打ちあがる。男二人。
木村「おいっ。なんだこの格好。」
谷「リンボーダンスしらんのか。俺がこの棒持ってこうやるから、お前は踊りながらなこの棒の下をくぐるんだ。」
木村「これで花火大会が盛り上がるのか?」
谷「あーー、盛り上がる。そういうバイトだ。そんでもって。これ。覚えてとけよ。」
木村「へんなバッチだな。」
谷「俺たちを気に入ってくださったお客様がいたらこれをくれる。20個集めれば特別ボーナス。次の公演費をかせげる!!」
ヒュードカン。
谷「いまだ。」
木村「はっ、ほっ、そら。」
谷「よっ、はっ。」
谷拍手。
谷「ボーナス。二万はくれるかもな。」
木村「そうか!!」
谷「しかし、実行委員会、頭おかしいな。なんで花火にリンボーダンス。」
木村「んっ?実行委員会がなんだって?」
谷「いいのいいの。なっ。俺とお前は、この花火大会の目玉。言われただろ斬新で新しい花火大会を作りたいって。そのために俺ら役者の力が必要なんだ。」
木村「おお、俺ら役者だもんな。」
谷「そうだ。そしてこの金があれば新作「ダイダロスとこたつとみかん」の稽古に入れる!!」
花火上がる。木村、花火を見ながら。
木村「俺、花火好きだーー。」
谷「すこしは人の話を聞くようにしたほうがいいぞ。まあ予行演習も済んだし。お客様を見つけにいくぞ。お客様を」
木村「おお。」
ずんずん歩いていく。
谷「おっ、いたぞ。ほら、ちゃんとした格好しろ。」
木村びしっとした格好して。
母親と娘が座っている。
谷「あのっ。」
母親「あのっ、なんでしょうか?」
谷「怪しいものじゃありません。花火実行委員です。」
母親「はあ。」
谷「今回、新しい試みとして・・」
ヒュードン
木村「はっ、ほっ、」
谷、引きつりながら、棒を横に持ちながら
谷「いかがでしょう?」
母親子供の手を引いて。向こうに行こうとする。
子供「おかあさんどうしたの?」
母親「なんでもないわ。少し場所を移動しましょ。」
子供「いやよ、あっちもそっちもうるさいんだもん。」
谷「あの・・・私たち、実行委員に雇われた役者でして、怪しいものではないんです。」
子供「あらっ。役者さん。お母さん。役者さんがいるの?私話してみたい。」
母親「本当に役者さんなんですか?」
谷「ええ。そうですよ。おいっ、デブ。」
木村、フライング。
木村「これは筋肉だ。」
谷「こちらのお客様が、シェイクスピアをお望みだ。」
木村「ほう、お目が高い。この私にシェイクスピアと。」
谷「今、お前は役者として試されているのだ。心していけよ。」
木村「よしわかった。隣の客はよく柿食う客だ。隣の客はよく柿食う客だ。隣の客はよく柿食う客だ。よし。」
谷「よしいけ。」
木村「じゅげむじゅげむ。」
谷「いつまで発生練習してるつもりだ。」
木村「ベストを尽くしたいんだ俺は。では!!いきるべきか、死ぬべきか。それは問題だ!!」
谷「がっだ。がっ。この脂肪。」
木村、フライング。
子供「お母さん、本物よ。だってあれよ。腹式でセリフ言ってるもの。」
母親「腹式。」
谷「そうです。そちらの方はよくわかってらっしゃる。役者とは古来より伝わる腹式という手法で声をだすのですよ。つまり私たちは正真正銘の役者であるということなんですね。」
子供「シェイクピアの人、いい声ね。ロミオをやったんですか?」
谷「ロミオ?これが?これで?」
木村「前回はできなかった。ぴったりだと思ったんだがな。」
子供「次はできると思う。かっこいい声よね。」
木村「ああ、つぎはな。」
谷「あの、失礼ですが、このかた。」
母「ええ、目が少し。」
子供「お母さん、少しなんていわなくていいわ。目が見えないの。まったく、すこしも完璧に。それだけ。」
母「それだけなんて。」
木村「目がみえないのに花火をみるのか?」
谷「おい、失礼だろ。この人にも事情ってもんがな。」
子供「いいのよ。へんでしょ。」
木村「面白いのか?」
子供「面白いわよ、ほら、耳を澄まして。そして待つのよ。」
ヒュードン。
木村、リンボーダンスをしようとして。谷に。
谷「それは今はいい。」
木村「んっ。そうか。」
子供「ふぁーすごい。感じた?」
木村「なにをだ?だいたいここからじゃなんも見えないな。母さんの言うとおりに他の場所言ったほうがいいんじゃないか?」
子供「まったく母さんと同じ。ほら。すわって。」
子供、木村をすわり。
木村「ほんとになんもみえないぞ。俺、本当は仕事しないといけないんだ。」
子供「もう一回花火上がるまでお仕事はまって。そうだ。目を閉じて。」
木村「なんで。」
子供「なんでも。」
木村「一回だけだぞ。」
静けさ。ヒュードン。
木村「おおっ。」
子供「ほら、わかるでしょ。すごいでしょ。風が、音なのかな。わって。とばされそうでしょ。」
木村「花火ってうるさいんだな。よくわかった。でもなーー。やっぱ花火は見るもんだよな。谷。」
谷「んっ?なに。いやーー。ほら、音だけでも花火ってのは楽しいもんだ。風がほらわってな。」

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