誰が僕の猫を殺した?
誰が僕の猫を殺した?  作 : 清野和也

―きゃすと―  □は男性、◯は女性
□歌川 国芳(画号: 一勇斎)(うたがわくによし【いちゆうさい】・浮世絵師)
◯クロ(くろ・黒猫)
◯シロ(しろ・白猫)
◯ブチ姉(ぶちねえ・ブチ猫)
□蔵之助(くらのすけ・岡っ引)
□渡辺 崋山(わたなべかざん・田原藩家老/ 学者)
◯おきょう(おきょう町娘)
□月岡 米次郎(つきおかよねじろう・後の月岡芳年/ 国芳の弟子)
□鳥居 耀蔵(かいのかみ・とりいようぞう・甲斐守/ 北町奉行 / 通称妖怪 / 悪役)
□痔男 / 遠山 景元(とおやまかげもと・通称「遠山の金さん」/ 南町奉行)
□絵草紙屋(えぞうしや/ 浮世絵を売る人。冒頭だけのチョイ役)




「上演の前に =会場挨拶=」

絵草紙屋  本日は、劇団◯◯第◯会公演「誰が僕の猫を殺した?」にお越しいただきまして
      まことにありがとうございます。

      これからおひとつお頼み申すは、観劇上の御注意。
      守ってくれれば御の字ひとつ、笑いと涙の感激をひとつと言わず、
      ふたつみつ貴方にあげましょ素敵な時間。
      まずは、いろはのい人様の持つ三大欲求が一つ。食欲に関するお願いでございます。
      会場内、飲食禁止とはいたしませんが(会場によって変える)、
      どうか他のお客様の迷惑となられませんようお願いしやす。
      なお、三大欲求うち一つ、睡眠欲につきましては我々の芝居と皆様の欲求との勝負事!
      万が一、我々が負けました場合でも、どうかイビキはご勘弁を!
      残りの欲求の一つについては… 言うまでも無し!
      ああ、もしも役者に熱をあげたら、どうかアンケートの紙にその旨を書いてくだせえ!

      さ! おまたせいたしやした! 時は天保・江戸の町! 方々から出る不満事。
      揺れる幕府は澄まし顔「あれもダメ、これもダメ」禁制! 禁制!!
      ええ加減にせえト反吐が出るのは江戸の人々。
      この物語は! そんな浮世を写すひとりの浮世絵師と彼の愛する猫たちによるお芝居でございます!

     長らくおまたせ致しました! 「誰が僕の猫を殺した?」開演いたしやす!
      どうか最後まで、ごゆっくりお楽しみくだせえ!

   一礼後、一場


【一場】

   ―天保七年・江戸の町。絵草紙屋(浮世絵屋さんのこと)が、威勢よく浮世絵を売っている。
    店構えではなく、板に浮世絵が貼ってあるだけの簡単な販売法。
    その姿を、客席から黒猫が興味なさげに見ている。
    なお、この舞台では猫たちは現代人が日常的に着る洋服を衣装とする。
    対して猫以外の登場人物の衣装は皆和服である。
    猫は決して、猫耳や猫の尻尾などはつけず、メイクで猫の髭等を描くこともしない。
    メイク・髪型も猫達は現代風とする。
    このことで、現代の服を来たキャストが扮する黒猫が、
    はじめから客席にいても違和感が無いわけである。

絵草紙屋 さぁさぁさぁ! そこの兄さんに姉さん! 寄 ってらっしゃい、見てらっしゃい。
      武者絵の国芳、新作浮世絵!

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