コント・魔法少女になってよ!
魔法少女になってよ


 【登場人物】
 男:黒子。黒い服を着て魔法の獣(ぬいぐるみ)を操る。
   もちろん本体はぬいぐるみ。そういう生き物がいる体で演じる。
   黒子の顔は見えており、ぬいぐるみを動かしながら顔でもリアクションを取る。
 女:少女。幼稚園児。一目で幼稚園児とわかる衣装。
喋り方は幼児のそれだが、言うことは結構しっかりしてる。


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声「少女の前に、突如現れた魔法の国の生き物、彼は少女に契約を持ちかけるのであった」

  照明がつく。

男「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
女「え!?」
男「驚くのも無理はないね。突然で申し訳ない。今は時間がないから詳しく説明している余裕はないのだけれど、君に、魔法少女になって欲しい」
女「・・・・・・」
男「君の願いをなんでも一つだけ叶える。その代り、魔法少女になって魔物と戦って欲しいんだ」
女「・・・・・・」
男「・・・・・・」
女「で?」
男「で、って。だから言ってるだろ。
  (キメ台詞のように)僕と契約して、魔法少女になってよ!」
女「ダメ」
男「どうして? 君は、叶えたい願いはないのかい?」
女「だって、ママが知らない人からものをもらっちゃいけないって言ってたよ」
男「──そうだよなあ。あ、でもさ、これは契約だから、大丈夫! 魔法少女になってよ!」
女「パパが未成年者が契約書にサインするときは保護者の了承と印鑑が必要だって、言ってたよ」
男「──そうだよなあ。あ、でもさ、これは契約書とかないから、大丈夫だよ! だから、魔法少女になってよ!」
女「書類などの形に残るものがないと契約はしない方がいいって、消費者管理センターのおばちゃんが言ってたよ」
男「──そうだよなあ。でも大丈夫。僕を信じて。僕が君の安全は保障するよ。つべこべ言わず、魔法少女になってよ!」
女「知らない人の言う言葉を信じるバカはいないと思う」
男「確かにっ! ・・・長年この仕事やってるけど、このパターンは初めてだな」
女「じゃっ」

  少女、去ろうとする。

男「待ってよ!」
女「なに?」
男「もう少し、僕の話を聞いて!」
女「はあ」
男「君には、一万人に一人の、魔法少女の才能があるんだ!」
女「地球上の人口が約60億として、60万人はいる計算だね」
男「計算はやっ」
女「60万か。けっこういるね」
男「・・・そうだね」
女「別に私じゃなくてもいいんじゃないの?」
男「そんなことないよ! 君のようにスカウトされる人間はものすごく稀なんだ!」
女「マレってどれくらいの頻度?」
男「え?」
女「具体的に数字で言ってよ」
男「え、さあ、考えたことないなあ」
女「そんな定量的なデータもないのに人を勧誘するんだ。気が知れないな」
男「う・・・この子供、嫌だ」
女「なにか言った?」
男「いや、別になにも・・・」
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