若葉煌めく季節の中で


「若葉煌めく季節の中で」

<登場人物>
相楽涼子(サガラ・リョウコ 生徒会長 3年)
松永麗美(マツナガ・レミ 生徒会副会長 2年)
広瀬純平(ヒロセ・ジュンペイ 生徒会書記 2年)※相楽の父の影と二役
紺野美希(コンノ・ミキ 生徒会会計 1年)
黒木和哉(クロキ・カズヤ 野球部員 3年)


   舞台は生徒会室。中央に作業台のような大き目の机があり、
   資料やら何やら雑然と積まれている。壁際の棚にも資料やら
   文書やらが押し込まれている。文書作成用のパソコンや印刷
   機などもある。壁には学校の目標や校訓などが貼られている。

   生徒会室以外の場面では、暗転にして照明等で対応のこと。

0.涼子の回想

   (上手に相楽涼子。下手に相楽の父の影)

相楽 「お父さん、本当に行ってしまうの」
父の影「ああ、父さんはもう涼子と会うことができない。だから最後に父さん
    の話を聞いてくれるね」
相楽 「お父さん」
父の影「涼子、正しく生きなさい。もし涼子の大切な友達が過ちをおかしたと
    きでも、決して見ないふりをしてはいけないよ。その過ちを正し、償
    うように導いてあげるんだ。友達だからと言って見ないふりをするな
    んて、決して友情なんかじゃない。そんなことをしたら、涼子も同じ
    罪を犯したことになるんだよ」
相楽 「私は知っているよ。お父さんは決して悪い人なんかじゃない」
父の影「でも世の中はそれで許してはくれない。母さんだってそうだ」
相楽 「だから行ってしまうの。お父さん」
父の影「正しく生きなさい涼子。友達だからといって、悪いことから目をそら
    せてはいけないよ」

   (父の影、消えていく)

相楽 「お父さん!」

1.早朝の学校。正門附近

   (バットの素振りをする野球部員、黒木和哉)
   (相楽涼子が登校してくる。黒木の姿を認め、戸惑ったように立ち
    止まる。声を掛けようかどうしようかと、しばらく逡巡するが、
    思い切って声を掛ける)
   
相楽 「お、おはよう……、黒木君」

   (バットを振ろうとした瞬間に声を掛けられ、バランスをくずした
    黒木)

黒木 「(振り返って)よう……、相楽」

    (二人のぎこちない会話が始まる)

相楽 「いつも、早いね」
黒木 「ああ、朝練が始まる前に素振り三百回というのが、俺が自分に課した
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