となりの異邦人
『となりの異邦人』


室尾劉生(ムロオリュウセイ):
 22歳。趣味は天体観測。大学を休学中、ら・カンパネラでバイトを始める。「故郷に帰らない男」
雨宮至(アマミヤイタル):
 29歳。店長。神経質。防犯カメラで店員を観察するのが日課。
宇津井小鳥(ウツイコトリ):
 20歳。バイト。自称・宇宙人の電波娘。「故郷に帰れない女」
小倉星二(オグラセイジ):
 21歳。バイト。大学生。雲井の親友で、田代とは犬猿の仲。小鳥に複雑な思い
を寄せる。
霧島樹(キリシマイツキ):
 23歳。バイト、大学院生。毎年冬に長期の旅行に出て、春に戻ってくる。ヨルダンに旅立つ。
雲井一馬(クモイカズマ):
 21歳。社員。一児の父。淡々としているが、「ハゲ」は禁句。
田代陽子(タシロヨウコ):
 25歳。社員。シングルマザー。息子の名前は「蒼太」。霧島の元カノ。
生天目聖悟(ナマタメショウゴ):
 23歳。夜勤の社員。見た目はいかつい男性だが、中身は非常に女らしい。
室尾茜音(ムロオアカネ):
 18歳。室尾の妹。美大志望。オープンキャンパスを見るため、室尾のアパートに転がり込む。

L男(細居正志:ホソイタダシ):
 M女と常に二人連れで、Lサイズのアイスココアを注文する。実は・・・
M女(鹿沼千鶴:カヌマチヅル):
 L男と常に二人連れで、Mサイズのアイスココアを注文する。実は・・・・・・



プロローグ「始まりと終わりの1月。」

舞台中央に二人がけの椅子。長距離列車の中。
男が、大きな荷物を足下に置き、窓側の席から外を見ている。
鞄の中で携帯が鳴る。妹からの電話だ。

男「はい・・・・・・ごめん、まだ電車。」

立ち上がり、デッキに出る。少し声を上げて、

男「うん、十一時に向こうを出たから、四時ちょっと前には着くよ。母さんにも言
っといて。なに?・・・・・・ああ、そっか。葬式ってことは、喪服・・・・・・どうしよう。・・・馬鹿。おまえ、学ランは無理だろ。ないない・・・・・・うん、親父にきいてみて。・・・お願いします。え?・・・・・・違うよ。茜音のせいじゃないって。何となく、帰ろうって気分になっただけ。いや・・・それも、あんまり関係ない。バイトは、続けることにした。ああ・・・・・・じゃあ後で(電話を切る)」

男「親父のスーツ入るかな」

自分の席に戻る。窓の外、列車は大きな川を越える。男、窓から見下ろして。

男「でっけえ河」

ドアがひらく。一人の女が彼の車両に乗り込んでくる。彼の横で、切符を落とす。男が拾ってやろうとして、目が合う。

女「あれ」
男「はい?」
女「なんで?」
男「?なんすか?」
女「いえ、こっちの話・・・・・・」

そのまま放心した様子で、彼の傍らに突っ立っている。空いた席は沢山あるの
に、なぜか、

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