幽霊といっしょ。

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初演日:0/0 作者:m-01
『幽霊といっしょ。』

小森 勇太  ♂ 喫茶ねこ部屋のマスター代理。霊媒体質 / 男の子(C)
小森 緑   ♀ 喫茶ねこ部屋のねこ好き店員。勇太の妹 / 女の子(B)
ミク     ♀ 記憶のない幽霊 / 女の子(A)
本間 光次郎 ♂ エセ霊媒師
西野 恵   ♀ フリーライター
田口 萌   ♀ 恋人を探している
北村 和也  ♂ 萌の恋人

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   女の子(A)が泣いている声だけが聞こえる

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   喫茶ねこ部屋。
   店内カウンターの端には大きな猫のぬいぐるみが2つと小さな猫のぬいぐるみが

  1つが置いてある。さらに、奥のソファーには様々な猫のぬいぐるみが置かれている。
   勇太がモップを持って入ってきて、店内の掃除を始める。

勇太  今日もいい天気だなぁ

   窓の外を覗きこむ。
   緑が買い物袋を持って店内に入ってくる。後ろをついて、ミクが入ってくる。

緑   お兄ちゃん、ただいま!(カウンターのぬいぐるみにも)ただいま
勇太  おう、お帰り
緑   今日もお買い得、いっぱい買ってきたよ
勇太  ありが……とう(と、ミクの存在に気がつく)

   ミクは店内奥に猫のぬいぐるみを見つけて駆け寄っていく。
   勇太はじっとその様子を見つめる。

緑   今日はシチューだよ。ビーフシチュー!お兄ちゃん、好きでしょ?
勇太  あ、あぁ
緑   外めっちゃ晴れてるね。晴れの日続くかな?
勇太  かもな。あのな、緑……
緑   もう足ぱんぱん。ブーツ、きっつぅ(ブーツを脱いで匂いを嗅ぐ)おえぇ!
勇太  緑!
緑   くせなんだよぉ。ついついやっちゃって……

   ミクはカウンターの上の猫に気づいて近づいていく。

勇太  そうじゃなくてだな……(ミクを指さして)これは、なんだ!
ミク  へ?
緑   え?

   しばらく固まる三人。

緑   なにが?
勇太  やっぱりか
ミク  え?あれ?
緑   あ!そういうこと?
勇太  変なもの拾ってきちゃダメだって言ってるだろ!
緑   ごめんなさ〜い
勇太  お前はただでさえ拾いやすいんだから、道を変えるな
緑   だって、猫ちゃんが呼んでたんだよぉ
ミク  すみません
緑   私の猫が、こっちだよ〜こっちだよ〜って言ってたんだもん
勇太  お前の猫じゃない
ミク  あの?
緑   今日の猫ちゅあん、銀色の毛でしっぽをふりふりして、じぃっとこっちを見て

    てさ。で、目がきゅるるんってしてて、すっごくかわいかったの
ミク  すみません
勇太  だからってなぁ……
ミク  あの!!

   勇太はびっくりしてミクを見る。緑は気付かない。

緑   猫、飼いたいなぁ
ミク  もしかして、私のこと、見えてますか?
勇太  あ、あぁ
ミク  やっぱり!
緑   え!飼っていいの?
ミク  声も聞こえますね?
勇太  あぁ
緑   猫の魅力、わかってくれた?
ミク  (興奮しながら)見える方に会うの、初めてで!その、うれしくて、びっくり

    しちゃって
勇太  わかった、わかったから
ミク  あ、ごめんなさい。取り乱して
緑   やったああああ!猫ちゃん、猫ちゃん!飼っていいんだ!
勇太  は?緑?
緑   待ってて、お兄ちゃん!すぐにチョイスしてくるから。これは徹夜になるよ!
勇太  緑、なに言ってんだ?
緑   夕飯、お兄ちゃんつくってね

   緑、店内奥に走り去る。

勇太  あいつ、なにか勘違いしてないか?
ミク  あのぉ
勇太  (ミクに気づいて)あぁ、はい
ミク  話を続けてもよろしいですか?
勇太  えぇ。すみません
ミク  私は、どうしてここにいるんでしょう?
勇太  あいつ、あなたのような存在、つまり幽霊なんですけど、それを拾いやすい体

    質をしているんです
ミク  体質?
勇太  本人には意思はないし、あいつは幽霊が見えないんです。だから、いつも同じ

    道を通れっていうんですけど
ミク  猫ちゃんにつられてっちゃうわけですね?
勇太  あいつは子供のころから猫好きでね、あいつの部屋、時計やタンス、テレビま

    で猫グッズなんです!猫中毒って言ってもいい。だから、街で猫を見かけると

    あっちへふらふら、こっちへふらふらってもう大変で
ミク  うふふ。お兄さんは心配なんですね
勇太  は?いやいや、別に心配なんかしてないですよ!ただ幽霊に迷惑をかけると
ミク  うふふ。照れてます?
勇太  そんなんじゃないですって
ミク  それで、このお店も喫茶ねこ部屋?
勇太  あぁ、これは伯父さんの趣味です。今はインドにいるはずです。俺たちに店を

    押しつけて、自分はふらふらっと海外にいっちゃうんですから
ミク  ご両親は?
勇太  あぁ、ウチらが小学校の時に亡くなりました
ミク  え!?あ、ごめんなさい!
勇太  いえいえ、気にしないでください。妹もいるし、伯父さんもいるし、この喫茶

    店も楽しいですし。お客さんが普通じゃないですから
ミク  あはは。私のことですね?
勇太  はい。それより、あなたは?
ミク  はい?
勇太  あなたの名前です。
ミク  私は……名前?あれ?名前、なんだっけ?
勇太  名前、わからないんですか?
ミク  あれ?名前、なんで?
勇太  大丈夫ですから。けっこうそういう人、多いんです
ミク  え?多いんですか?
勇太  えぇ。事故のショックで記憶を無くしちゃったようです。だから、探すのが大

    変なんです
ミク  探す?記憶を、ですか?
勇太  いえ、思いを探すんです。やっぱり、なにか伝えたいことがあるからこの世に

    いる人が多いんです。だから、少しでもその人たちの力になりたいって。妹が
ミク  妹さんが?
勇太  勝手に連れてきて、勝手なこと言うでしょ?本人は見えてないのに
ミク  優しいじゃないですか
勇太  勝手なだけですよ。それに……
緑   (声だけ)お兄ちゃん!

   緑がカラー図鑑を5冊ほど持って入ってくる

緑   もう、緑じゃ決められないよぉ。お兄ちゃん、決めて!
勇太  なんだ、この本!
緑   とりあえずこれだけ読めば、猫ちゃんのすばらしさがわかるから!決めて、お

    兄ちゃん
勇太  猫は飼わないぞ
緑   えぇ!!さっき飼うって言ったじゃん!!
勇太  ここは喫茶店なんだから、動物は飼えないって何度も言っただろ?
緑   そんなぁ〜、お兄ちゃんのうそつき!はげ!熟女!三十路!義理母!!
勇太  ばらすんじゃねぇ!!

   逃げる緑を追いかけて勇太は店内をぐるぐる回る。
   喫茶店に本間がやってくる。

本間  ごきげんよう!
勇太  あ、いらっしゃいませ!
緑   いらっしゃいませ!喫茶ねこ部屋へようこそ!
本間  えぇ、いらっしゃいました。といっても、お客じゃないんです
勇太  は?
本間  ここ、いますね
ミク  え?
勇太  いるって、なにがですか?
本間  えぇ。感じます、感じますよ。ここにいます、いますよ
緑   おじさんもわか……
勇太  (緑の口をふさいで)いったい何がいるんですか?
本間  ゆ〜れ〜です!!
全員  ゆ〜れ〜!?
本間  そうです!ここには霊が住み着いてます
ミク  あなたもわかるんですか?
勇太  そんなバカな
本間  わかりますよ、私には。私、ゴールドシャーマン霊媒師、本間光次郎の目には、ね!!
緑   おおおお!!
勇太  乗っかるな!
本間  (変な踊りを踊りながら)むむ〜、しゃれるる〜しゅれるる〜どぎどどん〜!

    はっ!!そこだ!!

   どうどうとミクのいるところとは、違うところを指さす。

本間  ははは!びっくりしただろう!私の目には、あなたの姿がはっきり見えてます!
緑   おおおお!!どんな幽霊なんですか!?
本間  お譲さん、やつは40代のおじさんです!しかも、かなりスケベな顔をしたお

    っさんです
緑   いぃやぁ!お兄ちゃ〜ん!!
ミク  勝手なこと、言わないでください!
勇太  あんた、人の店で勝手なことを
本間  大丈夫です、みなさん!私はモンドセレクション金賞を受賞したこともある、

    ゴールドシャーマン霊媒師!本間光次郎はお払いもできるのです!いくぞ!!

    臨兵闘者、皆陣列在前!!きえぇい!

   間

ミク  あ〜れ〜

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