やまない雨。それは流星にも似て。
キャスト
ミチル・・・孤児院、星空園でお手伝いをしている23歳の女性。星空園出身。12歳の頃に親に捨てられ、身寄りがなかったため入所する。心を閉ざしている。パラレルワールドに強い憧れを持っている。無口。自然な作り笑いくらいはする。「可能性の世界」を、共有する力がある。
サキ・・・孤児院、星空園(ちなみに県営)を任されている女性。29歳。星空園や子供たちに強い愛着を持っている。短大出で、公務員資格を取り、すぐに星空園に派遣されて今に至る。神様に祈りを捧げる癖が付いている。ダサい眼鏡のせいで、若く見えない。結構ぬけてる性格。
サトシ・・・孤児院、星空園に赤ん坊の頃から入所している。中学3年生。星空園の子供たちの中では年長。正義感が強く、サキやミチルをよく手伝う。自分にとっての哲学書はドラゴンボール。面倒見がよく、正義感も強いが成績はからっきし。楽観的なタイプだが、パニックを起こすとわけがわからなくなってしまう。
タカキ・・・ヤクザ。自分の組の鉄砲玉として、他の組の3人を打って逃亡。星空園に隠れようと忍び込む。28歳。大学2年の時、唯一の肉親である父親と連絡が取れなくなり中退。それまでの素行も良くはなかったが、徐々に泥沼にハマっていく。星が好き。
舞台監督の開演Qで、M・0(broken)・IN。サビで音上げ、同時に照明落ちていく。サビ終わりでF・Oし、(broken)のオルゴールverに曲が変わる。
4人、板付き。照明IN。場所は夜。青暗い明かり。顔はちゃんと見えている。
サトシ「それでそれで?」
タカキ「ほら、オリオン座、わかるかい?」
サトシ「わかるよ。あの、砂時計みたいなやつでしょ?」
タカキ「ミチルちゃんも、先生も?」
ミチル「うん。」
サキ「綺麗ね〜。」
タカキ「あの砂時計の左上の星。ベテルギウスっていうんだ。あの星はな、あ〜、太陽ってでかいじゃん?」
サトシ「地球よりもずっとでかいんでしょ?」
タカキ「おう。でもな、あのベテルギウスって星は、その太陽よりも何百倍もでかいんだ。」
サトシ「すっげ〜!」
ミチル「何百倍も?」
サキ「すごいね〜。」
サトシ「宇宙って、なんか凄いんだな〜。」
タカキ「ああ、もっと大きな星も沢山あるし、最近では地球と似た環境の惑星も見つかってるんだ。もしかしたら、宇宙の果てには、僕らとそっくりな人たちがいるかもしれないね〜。」
サキ「じゃあ、その人たちも、今こうして星を眺めてるのかな。」
サトシ「先生、ロマンチック!」
ミチル「全部、嘘だったらいいのに。」
サキ「嘘?」
タカキ「この星空が、全部ウソってことかい?」
ミチル「・・・ウソって綺麗でしょ?映画も、言葉も。だから。」
サトシ「だから?」
ミチル「その私たちと似た人間なんていらない。私たちがここにいれば。」
タカキ「珍しく哲学的だね。ミチルちゃん。」
サトシ「姉ちゃん、頭おかしくなっちゃったんじゃないの〜?」
サキ「あらあら、熱がなければいいけど。どれどれ?」
ミチル「ちょっと!皆して〜!」
皆笑う。徐々に暗転。M・0 C・0と同時に、銃声が2発。
ミチル、サキ、サトシは下手にはける。
タカキ「なんで・・・なんでこんなことになっちまったんだ・・・。」
タカキ、上手にはける。
舞台監督Qで明転。場所は星空園の暗い部屋。
タカキ、そろそろと警戒しながら上手からIN。上手中央で座り込む。震えている。
タカキ「なんで・・・なんでこんなことになっちまったんだ・・・。」
照明、明るくなる。(部屋の明かりの設定。)
タカキ、ビクッとして後ろの物陰に隠れる。
ミチル、下手IN。(物音がしたので確認に来た。)少し歩きまわるが、首を傾げる。
ミチル「ミーちゃん?・・・ミーちゃん。チッチッチッチ・・・。」
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