王様と家来
『王様と家来』

王様が間抜け面で立っている。頭には王冠。
少し離れた所から見守る家来。
王様と罵声ゲーム中。でもこの二人、実は……

家「おい。……おい。オイ!……馬鹿!話し聞けよ馬鹿。(その人がムカつきそうな罵声を浴びせ続ける。)間抜け面。たぬき。デコ。(その人が一番怒りそうな悪口)眉毛!」
王「おーい」
家「(土下座して)すみません」
王「おい、なんだよそれ」
家「あ、あの……」
王「お前さ、俺が誰かわかってそんなこと言ったのか?」
家「はい……」
王「じゃあ言ってみろ。俺は誰だ?」
家「この国の、王様です」
王「そう、俺王様ー。俺えらいー」
家「その通りでございます王様」
王「だったらさー、その口のきき方はないんじゃないの?」
家「はい」
王「あのさ、眉毛はないんじゃないの?」
家「申し訳ございません」
王「ホント、お前家来のくせに使えねぇよ」
家「申し訳ございません。……しかしですね、罵声ゲームやろうって言いだしたの、王様じゃないですか……」
王「何だよ、お前は俺が悪いとでもいうのか!」
家「とんでもございません!王様は、この国を治める立派な王様でございます」
王「そうそう。俺王様ー偉いー」
家「(ボソッと)お前の方が使えねぇよ」
王「何か言ったー?」
家「いえ、なんでもございません」
王「あーあ、罵声ゲームも飽きたな。次は何しよっか」
家「王様しかとゲームなんてどうでございましょうか?」
王「何それ。どうやんの?」
家「王様が何をおっしゃっても、家来は全て無視するというゲームでございます」
王「いいねー。じゃあそれ行こうか」
家「それでは、スタート!」

王「あのさあ、何も起きないよ?」
家「…………」
王「おーい、聞けよー」
家「なんか言った?」「いや、全然」
王「1人で会話すんなよー!」
家「なんか聞こえた?」「いや別に」「そういえばさ」
王「俺も入れて。1人にしないで。1人で会話しないで。おーい、無視すんなよぉ!聞いて、お願い、聞いて。おやつのプリンあげるからさあ」
家「あ、王様いらしたんですか」
王「いらしたよー。最初っからいらしたよー」
家「すみません、気付きませんで。なあ」「ああ、全く気付かなかった」「あ、王様いらしたんですか」「やっべー今気付いた」
王「そこ誰だよ。何人いんだよ」
家「それは王様が欲しい数だけでございます。私共家来は王様を愛していますから」
王「んふー」
家「んふー」
王「あーお腹すいた」
家「また唐突ですね」
王「お腹すいた。だってさっきのゲームあんまりおもしろくなかったんだもん」
家「だっての意味がわかんねえや。あんまりってことは少しはおもしろかったんですね。じゃあ次は」
王様、何かをむしゃむしゃ食べている。
家「聞けよ」
王「あ、いたんだ」
家「いましたよ。最初っからいましたよ。なんですか、さっきの仕返しですか?」
王「え?さっきって?」
家「もう忘れてる」
1/3

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム