春の予感
 「春の予感」 中島清志 作


【登場人物】♀ 上田奈津子・・・高校2年生

      ♂ 木村達也・・・・高校2年生

      ♀ 松岡麻美・・・・2人のクラス担任。国語教師。


     高校の図書室である。
     上田奈津子が1人座って本を読んでいる。
     そこへ木村達也が入って来ると、奈津子を見て少し驚いた様子。
     奈津子は背を向けているので全く気付かない。
     達也は入り口付近で携帯電話を出すとメールチェックするが、誰からもメッセージはないようだ。
     達也は奈津子の背後に近寄ると声を掛ける。

 達也「あのう・・・」

奈津子「きゃあっ!」

 達也「あ、ごめーん・・・」

     奈津子、読んでいたハードカバーの分厚い本を胸に抱き、あからさまに警戒して達也を見ている。
     変なことを仕掛けて来ようものなら、又大声を出すぞという感じ。

 達也「あー、いやー、何つったらいいんだろう・・・」

奈津子「何か用ですか?」

 達也「えーと、何やってるの?」

奈津子「何って・・・遊んでるように見えますか?」

 達也「いや、遊んでるって・・・
    ドキドキしちゃうな、そんなこと言われると。」

奈津子「はあ?」

 達也「何か大人しそうだもんね、君。」

奈津子「何言ってるんですか!」

 達也「あー、だけど気は強そうだね。」

奈津子「用がないんだったら、ほっといてください。」

 達也「つれないな。」
     
     奈津子、無視を決め込んで読書に戻ろうとする。

 達也「やだなあ、シカトしないでよ。
    僕すねちゃうよ・・・
    ねえ、何やってるのかって聞いてるんだけど。」

奈津子「本を読んでるんです。」

 達也「見ればわかるよ。」

奈津子「じゃあ何で聞くんですか!」
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