いちたすいちは2!?
「いちたすいちは2!?」
作・皆木達也


〜登場人物〜

近藤仁美

稲森陽子

高杉冴子

渋川浩介


〜シーン①〜

東京からそれほど離れてはいないが、自然が多く残っている場所に建てられた病院の一室。
精神科医・渋川浩介の部屋。診察室と研究室を兼ねている。・・・が診察には使われていない。
舞台上手奥に渋川の机と椅子。
舞台下手奥には診察兼仮眠用のベッドがあり、下手の見えるところはカーテン。
舞台正面奥下手に廊下へ通じる通路があり、その奥にはドアがある。

精神科医・渋川浩介がいる。

渋川「うん、やっぱりここに黒板がほしいよな〜。」

書類を見たり、部屋の中を歩きながら考え事をしている。
黒板と言っていた前で講義をするような仕種をしている。
精神科医・稲森陽子が入ってくる。

稲森「浩介、いる〜?え!?何これ?」
渋川「やあ。」
稲森「やあ、じゃないわよ。あなた、何やってるの?」
渋川「何って?」
稲森「この部屋!こんな変なふうに改造して。」
渋川「変・・・とは失敬だな。」
稲森「私なんか患者の診察で忙しくて大変なのに、うらやましいわ。」
渋川「忙しくてよかったね。」
稲森「(カチンときて)ん?ふん。いくら暇だからって部屋の模様替えですか?」
渋川「暇とは失礼な。これは、お仕事です。」
稲森「はあ?仕事?模様替えが?」
渋川「まあまあ。ねえ、それよりさ、この部屋、何に見える?」
稲森「(見渡して)・・・部屋。」
渋川「そのまんまじゃん。そうじゃなくて、この部屋を見渡してみて、なんか懐かしさとか感じない。」
稲森「感じない。」
渋川「・・・もういい。お前に聞いたのが間違いだった。」
稲森「だから、何なの?」
渋川「(何か言いかけて)・・・いいや。」
稲森「言いかけてやめるのやめて。何?何なの?」
渋川「・・・教室。」
稲森「は?」
渋川「学校の教室に見えるでしょ?」
稲森「・・・はい?」
渋川「どこからどう見ても教室だろ?わかってよ!」
稲森「そんな言われても・・・。」
渋川「・・・。(落ち込む)」
稲森「・・・わかったから・・・いじけない。それで、なんでここに教室なんか再現してるの?」
渋川「高杉先生に頼まれてさ。なんか、今日ここに入院する患者さんの為に、勉強する部屋が必要なんだって。」
稲森「高杉先生に?」
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