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あの日に還りたい

〜nostargic karaoke night〜

Tell-aholic
　　　戯曲「あの日に還りたい
　　　　　　　　　　〜nostargic karaoke night〜」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　Q

　　登場人物
　　　　　佐伯秀幸
　　　　　津村和雄
　　　　　木下尚美
　　　　　及川　誠
　　　　　店員

　　舞台
　　　　　密閉感のある個室。
　　　　　シンプルなデザインの小さな椅子が四つ。
　　　　　中央に低めのテーブル。
　　　　　テーブルの上にワイヤレスのマイクが二つ、リモコンが一つ、灰皿が一つ。
　　　　　曲目リストが二、三冊。
　　　　　壁にインターホン。
　　　　　役者はそれぞれに飲み物の入ったグラスを持って入場する。
　　　　　もしくは店員がタイミング良く持ってくる。
　　　　（但し公演中の水分補給を兼ねるので、乳製品や炭酸は禁止。
　　　　　また、アルコールはもってのほか）

プロローグ

　　　　どこかの屋上。
　　　　時間は正午を少しまわった頃。
　　　　二人の人影。
　　　　尚美と誠。
　　　　誠が寝ころんでいて、尚美はどこか空の向こうを見ている。

尚　　　「ねえ、そろそろ出ないと遅れるわ」
誠　　　「…そうだな」
尚　　　「もう、何よさっきから。まさか行きたくないなんて言わないでしょうね」
誠　　　「…」
尚　　　「秀が帰ってくるのよ？」
誠　　　「…」
尚　　　「ねえ、…誠ったら」
誠　　　「わかってるよ」
尚　　　「会いたくないの？」
誠　　　「そんなわけないだろ」
尚　　　「だったら」
誠　　　「あのな、尚美。言っちゃ悪いけど秀に会うのは俺がいちばん楽しみにしてるん
　　　　だよ」
尚　　　「それこそわかってるわよ。だから言ってるんでしょ、何であたし達はこんなこ
　　　　としてんの？　遅刻決定よ、もう」
誠　　　「会いたいか？」
尚　　　「何？」
誠　　　「秀に、会いたいか？」
尚　　　「…会いたいわよ、そりゃ。何が言いたいの？　あんただって、会いたいって言
　　　　ったじゃない」
誠　　　「…」
尚　　　「ねえ、何を気にしてるの？　４年経ってるのよ、もう」
誠　　　「…」
尚　　　「何かわだかまり？　あたしの知らない何か、秀とあったの？」
誠　　　「そんなんじゃねえよ」

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