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Fly Me To The Moon

-Ballad for lonly cats-

Tell-aholic
　　　　戯曲「Fly Me To The Moon
　　　　　　　　　　-Ballad for lonly cats-」決定版

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｑ

登場人物

　あや：夜の歌姫にして殺し屋人形。
　ゆう：迷い猫少女。

　とおる：黒衣の男。

舞台

　あやの部屋：リビングルーム。ソファ、テーブル、舞台奥に大きな窓。
　　　　　　　テーブル。簡単なオーディオ。オーディオの上にメトロノーム。
　　　　　　　その脇に写真立て（客席から写真は見えない）。
　　　　　　　窓際に観葉植物の鉢。

一幕
　一場

　　　　あやの部屋。
　　　　暗い部屋に月明かりだけが射している。
　　　　誰かが入ってきて、部屋の明かりを点ける。
　　　　黒っぽい服装のあやが、赤いドレス姿のゆうを連れて帰ってきたところ。
　　　　ゆう、少し足元がおぼつかない。

あや　　　ほら、座って。何か飲み物出すからちょっと待ってて。

　　　　ゆう、無言のまま倒れるようにソファに座り込む。
　　　　それをちらっと見やって、あやは奥のキッチンに向かう。
　　　　途中で振り返って、

あや　　　何がいい？　コーヒーか紅茶、ジュースもちょっとあるけど。
ゆう　　　お酒は？
あや　　　まだ飲む気？　ふらふらじゃないの、お水出した方がいいかな。
ゆう　　　あるんでしょ、お酒。
あや　　　あるけどね、そりゃ。…コーヒーいれるね。
ゆう　　　コーヒーはいや。
あや　　　何で？
ゆう　　　眠れなくなるから。
あや　　　…子供みたいなこと言わないで。それでお酒欲しいなんて言うんだからね、
　　　　呆れたもんね。

　　　　あや、袖に消える。

あや　　　（奥から）ミルクは入れる？　砂糖は？
ゆう　　　（小さく歌う）白くて小さな砂糖をひとさじ、白いミルクにゆっくり溶かす。
　　　　小さなお鍋を火に掛けて、ママの匂いのホットミルク、……

　　　　あやはまだ戻ってこない。
　　　　ゆう、ふらりと立ち上がってオーディオの側へ。
　　　　ちらりとキッチンを窺ってスイッチを入れる。
　　　　流れ出す旋律。
　　　　キッチンから戻ってきたあやが袖口に立っている。

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