REAL WORDS
Tell-aholic
    『REAL WORDS』ver. 2.0
    by Q



登場人物

  詩人 明
  情婦 聖
  少女 恭子

  男 透
  女 あずみ

  編集者




 プロローグ「掲げよ、ともしび」


  闇の中に浮かび上がる六人の人影。
  一人一人、どこか遠くへ、それぞれに見える道の果てへ投げかける言葉。
  決意に満ちて。
  後悔を抱きしめ、乗り越えて。

男1‥‥余りにも我らは脆く、
女1‥‥水滴にはじかれて壊れていく、
女2‥‥そして積もっていく硬質の記憶、
男2‥‥澱のように、溶けて凍る、砕ける。
女3‥‥一滴の毒に犯されて汚れていくことを受け容れよ、
男3‥‥軋む、心、記憶のささやかな復讐、
全員‥‥捨ててしまえたら、何もかも捨ててしまえたら!
    さあ、立て、独りこの地平に立て、
    掲げよ、汝、青ざめて輝く、そのともしびを、
    薄っぺらなガラスを割って、さあ、世界を始めよう!

  闇。
  雨が降っている。
  その中に、三人のシルエットが浮かぶ。
  影の演じる無言劇。
  原稿に筆を走らせる詩人と、寄り添う女。
  女は何事かを詩人に語りかけている。
  二人を見つめるもう一人の男。
  やがて詩人はそっと女を引き離し、
  今度はもう一人の男が詩人と語り合う。
  詩人の手は休まらないが、
  やがて詩人は女の方を向いて、

明‥‥‥世界は終わるよ、遠い遠い時間の果てに、僕たちがもう一度出会うことが
    出来るなら。
    さよなら。この一編を預けていくよ。僕と…透の、たった一つの合作だ。
    決して世に出ることのない、君の為の一編だ。
透‥‥‥明、
明‥‥‥さよなら、僕は君の側にいるまいと決めた。僕の歩む道を、
    君はきっと共に進むことは出来ない。僕を導くともしびを、
    君は見つめることが出来ない。
    笑ってくれないか、笑って見送ってくれないか。
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