星拾いのラジオ
星拾いのラジオ

部長 天文学部部長。
後輩 天文学部部員。星が好き。
先輩 天文学部部員。よく寝てる。

部室内。先輩は寝ている。後輩は部長のラジオいじりに痺れを切らす。

後輩 部長、もうやめませんか?何時間やっても同じですって。
部長 何言ってんだよお前。折角ここまでやってきたっていうのに諦めるのか?
後輩 ここまでって。そのちっこいラジオ弄ってるだけじゃないですか。
部長 だけって何だ、だけって。さっきも説明しただろ!ラジオ放送っていうのはな、こうやって周波数を合わせることで聞けるようになるんだぞ。
後輩 そんな事は分かってますよ、何歳だと思ってるんですか。そうじゃなくて、いくら弄ったって宇宙の周波数をとらえて?宇宙人のラジオを聞くなんて…現実見て下さいよ。

部長は後輩の言葉を無視してラジオをいじり続ける。

後輩 部長意地になるのも分かりますけど、もっと有意義な事しましょうよ。

部長はいじり続ける。

後輩 部長。部長…話聞けよ!
部長 お前な、夢はないのか?夢は。
後輩 はい?
部長 はなから不可能だって決めつけて諦めるなんて、ロマンのないことをよく言えるな。
後輩 はなからって、かなり付き合ったと思うんですけど。
部長 あいつを見てみろ。今日も今日とて宇宙人との交信に挑戦し続けてるじゃないか。

部長は未だ寝ている先輩を指差す。

後輩 あれは寝てるだけですって。
部長 シュレディンガーの何とかっていうだろ。お前ははなから決めつけすぎなんだって。
後輩 そんなこと…先輩、起きて下さいよ。

後輩は先輩を揺すり、起こす。

先輩 …なーにー?
後輩 先輩は今まで寝てたんですよね!
先輩 んー?まあ寝て_
部長 いーや、宇宙人との交信に挑戦していたんだろ。
先輩 …交信してたねー。
後輩 絶対嘘じゃないですか。
先輩 嘘じゃないよー。今日も頑張ったよ。
部長 ほらな。お前が嘘だと思っていても、それが真実だって事はいくらでもある。物事は疑ってかかれ。自分が全知全能だと思うなよ。
後輩 それは、そうですけど。
部長 そうだ。お前は自分で体験していないから不可能というレッテルを貼ってしまうのではないか?
後輩 普通にどう考えても不可能でしょ。
部長 そう考えれば話は早い。

部長が後輩にラジオを渡す。

部長 お前、やってみろ。やればきっと宇宙人の魅力に気付くはずだ。
後輩 ええ…(諦めて受け取る)。
後輩はラジオをいじる。
後輩 やっぱり何も聞こえません_

ラジオから音がなる

「将来は満天の綺麗な星空を見て、宇宙人に会いたい!会っていろんなことを話すんだ。そっちから見た地球は綺麗ですかー?」

後輩 何、今の。
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