辻褄合わせ
「辻褄合わせ」 作・東 詩依
【登場人物】
大人1
大人2
大人3
舞台は公園である。
舞台中央にベンチが置かれていて、その周りには立ち入れないように規制線が張られている。
◯公園(昼)
1がベンチに横たわっている。
時折、お腹を擦っている。
そこに2が通りがかる。
1が規制線の中にいることを疑問に思い、話しかける。
2 あのぉ……。
1 (気づいて)はい?
2 そこ、あまり中に入らないほうが……これ、警察があれしてるってことでしょうから。
1 あれ?
2 ですから、何かしらの事件が起きてですね……。
1 殺人とか?
2 そう、殺人です。それで封鎖してるんですよ。だから早く外に出たほうが……。
1 そのことでしたらお構いなく。私、関係者ですから。
2 え? そうなんですか?
1 えぇ。
2 すみません、警察の人には見えなかったもので……。
1 あぁ、そうじゃなくて。
2 じゃない?
1 私、被害者なんです。
2 え……?
少し間。
2 ……殺されたんですか?
1 えぇ。(お腹を指し)こう、ナイフでザクッと。
2 うわぁ、痛そう……。
1 あんなのは二度とごめんですね。あなたも殺される羽目になったとしても、ナイフだけは避けたほうがいい。
2 覚えておきます。それで……ここで何してるんです?
1 え?
2 いや、死んだのならあの世に行かないのかなって。
1 いやまぁ、行ってもいいんですけどね。
2 はい。
1 ただちょっと、心残りがありまして。
2 未練ってやつですか?
1 そんな大それたものじゃないんですけどね……誰が私を殺したのか、それを知りたくて。
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