セピアの深愛
『セピアの深愛(せぴあのしんあい)』
作・加藤佳苗

ミノリ…人間。記憶喪失中。
アム…本名アムネシア。魔法使い。身体が弱い。能力は〈記憶喪失〉。
マギー…本名マーガレット。魔法使い。能力は〈真実〉。
ヒナタ…ミノリの妹。故人。






















1場
アム、ミノリ明転。鳥の声SE。テーブルにはセピア色のバラが飾ってある。2人は寄り添うように座っている。

アム「……そろそろかな。」
ミノリ「…もう行っちゃうの?」
アム「長く生きられたほうだよ。」
ミノリ「…ごめんなさい…わたしの…」
アム「こら。」
ミノリ「……。」
アム「優しい人のごめんは嫌いだよ。」
ミノリ「……そうね。ごめんなさいじゃなくて…ありがとう。」
アム「…うん。その方が僕は嬉しい。」
ミノリ「………うん。」
アム「そんなに泣かないで。僕が勝手にやったことなんだから。」
ミノリ「でも……。」
アム「ミノリ…。君と居られて幸せだったよ。」
ミノリ「私も。」
アム「良かった。」
ミノリ「ねぇ、何かしてほしいことはない?」
アム「して欲しいこと?」
ミノリ「ええ。最期くらいワガママ言って。」
アム「そうだね…。じゃあ、お願いしようかな。」
ミノリ「何でも言って。」
アム「…歌って欲しい。」
ミノリ「歌?」
アム「うん。」
ミノリ「そんなことでいいの?」
アム「それがいい。……君の声、好きなんだ。もう一緒に歌う力はないけれど。」
ミノリ「…いいよ。アム、ありがとうね。」
アム「こちらこそありがとう。ミノリ。愛しているよ。」

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