グレーボックス
「グレーボックス」

【登場人物】
八木当真(やぎ とうま):高校生。アルバイトをやっている
坂下美葉(さかした みよ):高校生。生徒会所属
奥峰光太郎(おくみね こうたろう):高校生。外国語研究会所属
北山桃寧(きたやま ももね):高校生
長尾陣(ながお じん):高校生

○放課後、空き教室の一角。一つの箱がある

八木 「・・どうする?」
奥峰「どうするつったって」
北山「取り出すしか、ねえ?」

   坂下入ってくる
坂下「あれ?こんなところにいたの?もう帰ったのかと思ったよ」
奥峰「坂下」
八木「生徒会は?」
坂下「終わった。今はそんな忙しくないからね。奥峰は?そっち今日、外国語研究会でしょ?」
奥峰「休み。火、木は無いんだよ」
坂下「ん?何その箱?」
八木「長尾」
坂下「え?」
北山「正確には長尾のなれの果て」
奥峰「そこまで正確でもないだろ」
坂下「長尾って長尾陣?」
八木「そう」
坂下「E組の?」
北山「そ。うちらと同じクラスで昼は毎回あんぱんと牛乳のあの長尾陣」
坂下「・・ビスケットオリバではない?」
奥峰「ビスケットオリバもこんな真四角じゃないだろ。顔見えないし」
八木「確かに理解が追いつかない気持ちはわかる。こんなはてなボックスが長尾なのは、は?ってなるよな?でも俺たちは見ちゃったんだよ」
北山「長尾が箱に封じ込められるところを」
坂下「ランプの魔人みたいなこと?」
奥峰「まあ、ニュアンスは近いかもな」
八木「どんな感じで封じ込められたか知りたいでしょ?ダンナ?」
坂下「知りたい」
八木「まず、俺たちはこの空き教室でだらだら話していたわけですよ」
北山「そこで、この箱を見つけたってわけ」
坂下「この教室にあったの?」
奥峰「そう。ほら、ここ備品とか色々置いてるとこだから」
八木「こんな新品みたいな真緑の箱見たらそりゃ見たくなるでしょ?」
坂下「そうかもだけど。で?その時はまだ長尾はいたんでしょ?」
奥峰「長尾はずっとここにいるけど、まあ俺たちと会話は出来てた」
八木「で、その箱を取り出して、開けられたから開けてみたのよ。そしたら長尾だけ封じ込められた」
坂下「どんな感じで封じ込められたの?」
北山「まず、箱から掃除機みたいに吸い込まれる感じになって、長尾が正座みたいに足を折りたたまれて、四角い形で無理やり入れられてた」
奥峰「スーツケースに旅行の持ち物無理やり入れる感じ」
坂下「えぇーなんかもっと吸引力でスポって入るわけじゃないんだ」
八木「逆逆子みたいな感じ」
奥峰「なんだそれ」
北山「まあ一つわかってることがあるとしたら、この箱もしくはこの箱の持ち主がいるとしたら、整理整頓は絶対下手だってこと」
坂下「じゃあ、この箱から取り出さないと長尾は戻ってこれないってこと?」
奥峰「そうだな」
坂下「えーどうすんのよ」
八木「俺に考えがある」
北山「考え?」
八木「よく見て、箱の開ける角にセロハンテープが貼ってあるだろ?」
奥峰「あんな封じ込め方して、セロテープ貼っただけかよ」
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