穴を掘る
「穴を堀る」 作・東 詩依




【登場人物】

 大人1
 大人2
 警官




   舞台は住宅街の片隅にあるような公園である。
   舞台中央に大人が横になれるくらいの穴があり、その傍には大量の土が積まれている。


◯公園(夜)


   1がスコップで穴を掘っている。
   そこに2が通りすがる。
   2、1の穴掘りを興味深そうに眺める。
   1、2に気づき手を止めて。


1 あの、何か……?
2 あぁいえ、ごめんなさい。つい珍しかったもので。
1 珍しい……?
2 えぇ、穴が。
1 (穴を見て)あぁ……。
2 こんな夜更けに大変ですね。私にはお構いなく、どうぞ続けてください。
1 すみません……。


   1、再び穴を掘り始める。
   少し間。


2 埋めるんですか?
1 え?
2 この穴、掘るからには何か埋めるんでしょう?
1 そうですね……えぇ、埋めますとも。
2 やっぱり。穴ですからね、埋めるんじゃないかって思ってたんです。
1 えぇ、穴ですから……。
2 それで、何を埋めるんです?
1 (一瞬掘るのを止め)私です。
2 そうですか、あなたを……。
1 えぇ……。


   1、掘り続ける。
   少し間。


2 埋まらないんですか?
1 え?
2 もう随分大きく見えますけど。
1 そうですかね……。
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