雨のち晴れとなるでしょう

雨のち晴れとなるでしょう



キャスト
星野 宙 (ホシノ ソラ)
大月 晴香 (オオツキ ハルカ)

(音声のみでも可)
先生
研究者

Scene0

舞台中央に宙。

宙   父の仕事は、空の上の、雲の向こうで働くことだと、小さいころに母が言っていた。

  セミの声IN。

宙   あれは夏の暑い日。今でも覚えている。うるさいほどのセミの声と、真っ青な空。そしてそこに浮かぶ、分厚い入道雲のさらに向こうで、父は。

  セミの声CO。

宙   星になった。

Scene1

  暗転。
  舞台、初夏。学校の屋上。晴香入ってくる、手にはプリントを持っている。

晴香  (ため息)そんな急に言われたって書ける訳ないじゃん。

  晴香にスポット。

晴香  私の名前は大月晴香。青春真っ只中の高校二年生! 高校生ってキラキラしてるじゃん? もう青春って感じじゃん? だから私も高校デビューだー! って友達大量で、部活に命ささげて、「ねぇ晴香ちゃん、今日帰りどっかいこーよー」「え、全然行く!」って友達とオシャレな星のコーヒーショップで恋バナとかして、イケメンな男の子に片思いなんかしちゃってさぁ、そしたらある日、「ちょっと話いいかな」って呼び出されてキャー! …………とか思っていた時期が私にもありました。

  晴香が話している間に静かに屋上に入ってくる宙。
端に座って空の様子をスケッチしている。

晴香  念願の高校に受かったってのに、入学式早々に風邪をぶちかました私は、最初一週間の友達づくりの波に乗り遅れ、やっと登校した時にはクラスの中にもうすでにグループが完成。見事に私はぼっちJKへ。
  いや、別にいじめられてるとかそういうのじゃなくて、普通にすれ違ったらおはよー、っていう子くらいいるし、体育のペアづくりだって一人でポツン、なんてことにはなってない。
    でも、二年生夏現在で帰宅部だし、放課後は一人で家に直帰。そんな感じだから、もちろんいいなーって思える男の子ができるはずもなく……。
  なんでこうなっちゃったかなぁ……。
晴香 / 宙  あーー!!!
晴香  え?! 何?!

  宙、立ち上がり空を指さしている。

晴香  だ、誰?いつからそこに……ってもしかして、私のさっきの独り言……
宙   あの形の雲、どこかで見たことあると思ったら……やっぱり、三か月前のゲリラだ。気圧も低めだし、風向きも変わった。これはくるな……。

宙、ノートをめくったり、空を見て書き込んだりしてテンションがあがっている。

晴香  ね、ねぇ……

宙立ち上がり、ノートを抱えて屋根の方へ走っていく。

晴香  な、何……?
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