似非ロマンチストのプレゼント
「似非ロマンチストのプレゼント」 作・東 詩依




【登場人物】

 大人1
 大人2
 大人3
 大人4
 大人5




   舞台は住宅街の片隅にあるような、何の変哲もない公園である。
   舞台上手にベンチ、その傍に煙草の吸い殻入れが置いてある。
   (舞台装置の指定は以上だが、公園という枠組みの範囲内であれば自由に設定してよい)


○昼下がりの公園


   園内では暇を持て余した大人たち(1・3・4・5)が散り散りに過ごしている。
   ベンチで愛読書を読む1。
   スマホで恋人とのメッセージのやりとりを楽しむ3。
   (4と5に指定はないが、3を含めてベンチから離れた場所にいること)


   そこに、下手から2がやって来る。
   2は吸い殻入れを見つけるとベンチへ近づき、1に話しかける。


2 なぁ、ちょっといいか?
1 ……。


   2が話しかけるものの、1は読書に集中していて気づかない。


2 なぁ。
1 ……。
2 (肩を叩き)なぁって。
1 (驚き)わっ! (2に気づき)あなたは……?
2 悪い……驚かせるつもりはなかったんだけど、声かけても反応がなかったからさ。
1 そうでしたか……すみません、集中するとこうでして――それで、私に何か?
2 いや、大したことじゃないんだけどさ――(煙草を見せ)いいかな?
1 あぁ……はい、別に構いませんよ。
2 悪いな。


   2、煙草に火を付け一服する。


2 ……気軽に吸える場所も、随分減っちまった。
1 そうなんですか?
2 今じゃ文字通り、どこに行っても煙たがられる。何で変わっちまったかなぁ……。
1 (少し考え)……時勢、ですかね?
2 時勢……? 何だそれ?
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