傘
雨が降っている。
そこに1人、傘もささずにバス停に佇む人がいる。←田中
傘(できれば深緑)を差した人が歩いてくる。無言であいあい傘をする。
田中「...ありがとうございます?」
金子「・・・。」
気まずい様な、そうでもない様な空気が流れる。
犬塚が傘にいそいそと入ってくる。金子は自らを犠牲にして入れてあげる。
犬塚「いやぁ〜まさか雨が降るとはねぇ〜」
金子「...この前、このくらいの雨なら避けれるって言ってなかったか。」
犬塚「やだな〜そんなにこの人と相合傘したいの? というかこの人誰? もっと早く説明するべきなんじゃないの?」
金子「いつ説明できたんだよ。 私もこの人が誰かは知らない。」
犬塚「知らない人と相合傘してるんだ。あー、自己紹介くらいしよっか、はい、金子から。」
金子「初めまして、私です。」
田中「私さん?」
犬塚「ちゃんと自己紹介くらいしなさいって。」
金子「個人情報は保護しなければならない。」
犬塚「こいつは金子 英司。学生。趣味はぼーっとすることと筋トレと読書。変人だけど親しくなるといい奴。」
金子「この人は犬塚 綾人。学生。趣味はアニメ鑑賞とゲーム。私の友達イコール変人。」
犬塚「んー、僕は変人じゃないよ。」
金子「類は友を呼ぶのだ。」
犬塚「後で5時間くらい弁明させてもらうからな。じゃあ、お姉さんどうぞ。」
田中「田中 花です。社会人になって数年目です。趣味は...ありません。」
金子「忙しくなると好きなことすらできないことありますよね。僕も読書は好きですが、進学してからはついつい寝にいってしまって。」
田中「そうそう、そうなんです。私、家に帰ると何にもできなくなるんです。」
犬塚「社会人って大変なんすね。」
バスが来る。
田中「あっ、バスが。」
田中「お先に乗ってください。」
金子「僕乗らないです。」
犬塚「ただ傘を貸すだけの為にいたのかよ。」
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